お宝発掘のモンスター達
前回得た経験が、今回身を結ぶこととなる…………
95話
「ウィント、ドリル掘削! スパロウ、約50cmの
等間隔で足場を作ってくれ。ウッディはまた声を
かけるから、その時に指示通り動いてくれ。
俺も掘るぜ!」
ウィントは両腕を突き出し、全身をきりもみ回転
させて穴を掘り出した。アレウスも両腕に籠手を
装備して、これまたウィントと同じように回転して
掘り出した。
「フニャニャニャーー!!」
やはり競争事だと闘争心が働くのか、ウィントは
後ろ足から旋風を巻き起こすことで、更に加速して
掘り始めた。
(へへ、やっぱウィントは負けず嫌いだよなぁ。
それにしても…………)
アレウスは十数分前の事を思い出していた。
「イ、イシュタル! 大丈夫か!?」
船の上でアレウスにお姫様抱っこで抱えられ
ながら、イシュタルは白目を向いて泡を吹き出して
いた。こうなる直前に、大技を放つために彼女の
身体を音速付近の速度で振り抜いていたのだ。
「アレ君…………流石に今回は全力でぶんまわし過ぎ
だったよ」
「人間は10Gの負荷がかかれば失神で死ぬと
言われているからな。流石に科学技術者倫理に
基づいているSAFで人が死ぬような衝撃を再現
するとは思わないけど…………」
「お、俺が乱雑だったばかりに…………戻ってきてくれ!
イシュタルーーーーー!!」
アレウスが渾身の慟哭をあげると。
「ア、アレウス君…………とても耳がキーンと
しましたわ……………………」
「あ、イシュタル! 良かった! 生きてたか!!」
「うん、突然天にも登りそうなカックンが来た
次の瞬間に、自室に居たので30秒ほど放心状態に
なっていましたわ」
目が覚めたと同時に何事もなかったかのような
様子で返事を返してきた。表情的にも自然体
そのものだ。
「そう言う事だったのね。なら良かったわぁ」
これには魔法系jobの先輩となっている
マリリンも安堵の表情を浮かべた。
「皆さーん! 向こうに島が見えてきましたよーー ー!!」
マストのジェルマンが、島の発見を仲間達に伝えた。
「上陸の準備を行うぞ。初上陸の島なら高確率で
財宝があるからな」
「島に眠る秘宝!」
ミューがレオナルドの発言に目を輝かせた。
「ほう、島が見えてきたのか」
「じゃ、俺はローグになりますかな」
甲板から一仕事終えたジャンヌとレイルが
現れた。レイルは宝探しの能率を上げるため、
盗賊系中級jobのローグになることにした。
「お宝、見つかると良いね」
「だな」
「4人で見つけようよ!」
「よし、予め作っておいたダウジングマシンの
出番だな」
同級生組は、先輩達より早く見つけようと
躍起になり始めたのだった。そして、マリン
テイマーのアレウスはモンスター達を引き連れて
単独で探すことになった。
「風は使えなくとも、壁を蹴れば加速出来るぜ!」
アレウスも熱くなったら人が変わる性格なため、
相手が愛猫であろうと真剣勝負の姿勢は崩さない。
「フニャニャニャニャニャニャニャ!!」
ウィントは掘る。
「オラオラオラオラオラオラオラオラッ!!!」
アレウスは掘る。
「フニャニャニャニャニャ!」
掘る。
「オラララララララッ!」
掘る。
「フニャニャニャニャニャニャニャニャ!!!」
「オラオラオラオラオラオラオラオラッ!!!」
掘るっ!
『『ガッッ!!』』
2人して何かと衝突し、停止した。
「シュー、シュー」
スパロウが丁寧に2人の掘った穴の端から端まで
糸を繋げている。今は荒く全体的に掘っているだけ
なので、糸も単調に繋いでいるだけだが、そのうち
足場職人も仰天の作業現場が完成することだろう。
「?」
糸を伝う振動や、音からスパロウは違和感を感じた。
「スパロウ! 一旦脱出だ!!」
アレウスの声が聞こえてきた為、スパロウは
跳躍ですぐに脱出した。10m程度の落差は2歩で
どうにでもなる高さなのだ。
「おっ。この辺まで張ってくれていたのか…………
折角頑張ってくれてたのになぁ…………」
アレウスはウィントを肩に乗せて、壁を垂直に
かけ上がりながら、スパロウの努力が無駄になって
しまうことを悲しんだ。
「さて、図らずもヌシを起こしちまったな…………」
非job専用武器の籠手を外し、job専用武器を装備
しながらヌシの出現に備えた。現在のメンバーは
アレウス、ウィント、スパロウ、ウッディだ。
フラッシュは陸上活動が苦手なので、船の見張り番を
ジェルマン、マリリンと共に行っている(そして
マリリンとフリスビーで遊んでいる)。
『ヌボオオオオオッ!!』
蛇のような鱗を持った鰻のような顔をした
怪獣・ヘビウナギが現れた。全長は5m程であり、
ついばみ(?)攻撃の攻撃速度が持ち味のA級
モンスターだ。
「寝てるところにぶつかってすまなかった!」
アレウスとウィントがぶつかった地盤は
ヘビウナギだったらしく、大変ご立腹な様子だ。
『ヌボオオオッッ!!』
超高速のついばみ攻撃を繰り出してきた。
「かわせ!」
超高速バック転で回避しながら、仲間達にも
回避を命じた。
「にゃむ、のぁむ♪」
「ふしゅぅぅ…………」
ウィントは余裕げに回避しており、スパロウも
冷静で的確な回避行動をとれている。
「ウキッ! キッ! キキッ!?」
ウッディは2回は避けられたのだが、3回目で
脚を咥えられた。
「ウッキャーーー!!」
しかし、伸縮性のある腕を伸ばして殴る技
『ルンバーナックル』をヘビウナギのピット
器官に当てたことで、怯ませて脱出することが
出来た。
「流石だ。さてと、残念だがボスモンスターは
テイム出来ねぇ。てことで」
一息つかぬ間に鞭を振るい、ヘビウナギを
麻痺状態にした。
「3人でトリプルカット!」
ウィントの爪攻撃、スパロウの牙攻撃、
プラチナソード装備ウッディの一閃により、
ヘビウナギは倒された。
「お、金銀財宝じゃん。やっぱりドロップアイテム
だったんだな。おお…………」
宝を回収し終えた時、アレウスは自身の時間感覚が
加速していることに気づいた。
「お前らも変異の時かぁ!」
まず、ウッディの姿が少し大きめの猿から筋骨粒々な
チンパンジーの姿へと変異した。
「この変異は大きな自信になるだろう。これから
スゲー活躍するはずだぜ!」
「ギシャ~~~~!!」
ウッディは天を仰ぎ、全身を小刻みに震えさせて
喜びを表現した。性格がかなりファンキーになったの
かもしれない。
「スパロウ、お前…………は……………………」
アレウスは目を見開き、軽く絶句してしまった。
「ニャ?」
「ギシャ~~~…………ギギ?」
対するウィント達は、変異したスパロウを
見ても特にノーリアクションであり、ファンキーな
ウッディはアレウスの様子を見て鎮まっていた。
いつも読んでくださりありがとうございます。
挿し絵が出来そうなので、金土日のうちに挙げる
つもりです




