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神の雷

お待たせしました~、どうぞっ!

94話


『グギャオオオオッ!!』

「左旋回!」

「オラァッ!!」


 ジェルマンが、マストの上でリヴァイアサンを

狙撃しつつ、尾の一撃を仲間達に伝えている。

 そして指示を受けたアレウスは、剛力に

任せて縄を引き、帆を動かして船の進行方向を

左にずらした。


「回避成功!」

「流石だ、ウッディ」


「ウキッキー!」


 舵取りによる方向転換は、ウッディが行っている

ようだ。アレウス、レオナルド、ジャンヌ、ウィント

以外のメンバーよりSTRが高く、尚且つTECを支える

器用な両腕があるからだろう。そして、いざとなったら

舵を固定して、瞬時に別の仕事に移れるAGIもある。


~船内・BF1階~


「…………大砲、効いている気がしないッスけど」

「…………ああ、以前私が海に出た時に遭遇した

巨大モンスターなら、既に討伐出来ている位は

弾を当てている」


 大砲を操るレイルとジャンヌが行き詰まる現状を

認識し始めた。


「なんか別角度のアプローチを考えましょうぜ。

このまま弾を連続で当てても意味ないッスよ!」


 その言葉にジャンヌは


「連続で当ててもダメ…………ならば一気に大質量を

1点に当ててみるか?」


 現在のように単体の弾を連続砲撃するのではなく、

幾つもの弾を1点に向かって当てるという方法を

出したのだ。


「良いッスね。俺はしばらく小粒の弾を撃ち続ける

んで、その隙に副長は大量の弾を一気に詰め込んで

ください!」


 レイルは特化したAGIをフルで活かし、縦横無尽に

弾を詰め込みまくった。


「フッ、これでも食らうと良いさ!」


 ジャンヌは特化したSTRにより、150kg程の

砲弾が入った箱を、殆どスピードを落とさずに巨砲へ

投げ入れた。こんなことは他メンバーだとアレウスか

レオナルド位しか出来ないだろう。


~甲板~


(砲撃のペースが上がった? 弾切れ大丈夫かな…………)


 ジェルマンは、ハイペースで消耗する砲弾を見て、

弾切れを心配し始めた。大航海イベントは長く、

モンスターバトル以外にも海賊との戦いがある。

そして砲弾はいつでも入手可能なアイテムでは

ない為、無駄遣いは出来ないのだ。


『ボッッッッ!!!!』

『グオオオオオッ!!?』


 突如、かつてない規模の爆発が起こり、

リヴァイアサンは焼け焦げる逆鱗をしならせ

ながら、大きく怯んだ。


「畳み掛けろ!!」


 レオナルドは全身を回転させ、大技の準備を

しながら指示を出した。


「「「食らえっ!!」」」


 クラフト、ミュー、マリリンがそれぞれ

高圧電流、爆発の矢、上級氷魔法を放った。

極限まで熱した後に、急速冷凍させることで

大ダメージを狙ったようだ。


『グオオオッ!!』


 リヴァイアサンの体色が一瞬どぎつい紫色に

変わった。スパロウの猛毒ダメージが効いている

証拠だ。


「ウィント、ゲイルダッシュを最大まで重ねろ!

スパロウ、ウッディ、フラッシュ、協力して

スーパーダブルアクセルファング!」


 アレウスはイシュタルを抱えながらマストを

かけ上がりつつ、テイムモンスター達に指示を

出した。


「ウッキャアッ!!」


 両腕にスパロウ、フラッシュを抱えたウッディは、

関節はずし+伸縮性を利用した投擲で、2匹を

時速100kmまで加速した。そして2匹はその勢いで

自らの物理技を1段強化し、リヴァイアサンに当てた。


「風神ノ・山斬」


 レオナルドは溜めきった技を発動させ、

大規模な飛ぶ斬擊を放った。


「とっておきの一撃だぜ!」


 ジェルマンも貴重な弾を1つ使い、火力に

特化した爆撃を行った。


『グオオオオオッ!!!』


 未だHPが6割強あったリヴァイアサンだったが、

遂に半分を切り、4割程度に低下した。


『グワオオッ!!』


 そして逃走を開始する。


「今だ! 紫電の頭突き・爆速!!」

「フニャッ…………」


 1度両足を踏み込むだけで甲板を砕き、前足を

離陸させる頃には後方へ暴風が発生していた。

そして船の最後尾から一息もつかぬ間に先端の

2m手前まで移動したウィントは、もう一度の

踏み込みと共に


「ャアゴオッッッ!!!!!」


 マッハ4まで加速して、海面に目線を向けていた

リヴァイアサンの顎に衝突した。


『ゴブッ!?』


 思わず怯んだリヴァイアサンのHPは残り3割。

ウィントも足に纏った風の力でアクロバティックに

船へと戻ったので、天高く昇ったアレウス達が

動き出した。


「行くぞ、イシュタル!!」

「うんっ!」


 腕の関節を全て外し、全身と杖を一直線に

伸ばしたイシュタルを抱えたアレウスは、

一息で彼女を振り下ろした。


      "(ゼウス)(レイジ)"


 刹那、リヴァイアサンがミミズに見えるほど

巨大な雷が落ち、着弾した海の蒸発と共に、

船が後方へ少し浮遊した。当然リヴァイアサンは

オーバーキルで即死だった。


「よっと。大成功だ! 流石だぜ、イシュタル!」


 イシュタルのナチュラルボーンなMAGの高さに

アレウスの筋力由来の加速テクニックが合わさって

成し得た結果だった。故に彼は彼女を褒めたのだった

が…………


「…………」


 彼女のアバターは白目を向いて泡を吹いた状態で

ノイズが走っていた。瞬間的に普段の何倍ものGが

かかったので、当然といえば当然である。

いつも読んでくださりありがとうございます。

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