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海上浴

単純に海の上で遊ぶ回です。戦闘は次回にでも

89話


「よっしゃあ! 海へ、ピョーーーーン!!」


 大海原を進む船の真横に突如現れた水飛沫、

アレウスが出港早々に泳ぎ出したらしいのだ。


「よぅし、俺も泳ぐ! ジェルマン、お前も

たまには泳ぐぞ!」

「待って! ぼぼっ僕は!」


 レイルがジェルマンを引き連れて飛び込んだ

ところ、レイルがクロールですいすい泳いだのに

対し、ジェルマンはカナヅチなのか、その場で

もがき続けている。


「ありゃ! スパロウ、ヴィスケスフレイル!」


 その様子を確認したアレウスは、ジェルマンを

抱えつつ、自慢の脚力で半身を浮かせた。そして

駆けつけたテイムモンスター達に綱引きをさせ、

危なげなく救出できた。


「フゥ、助かったよ。アレウス君、ありがとう。

スパロウ君達もね」


「カチチッ」

「ニャゴ」

「ウキッ!」


「無理やり飛び込ませて悪かった! けどジェルマン、

何で止めろって言ってくれなかったんだ? 言えば

強制はしなかったぜ?」


「う~ん、流石に女子全員がいる前で堂々と

泳げないなんて言えなくてさ…………」


「あー…………まぁ、そりゃそうだよなぁ」


「兎に角、僕は見張り台の上にでも居るよ。

2人で楽しんでおいで」


「分かったぜ」

「ウッディ、ジェルマンさんの移動を

手伝ってくれ」


「ウキキッ!」


 ウッディは一足先に見張り台を登り詰め、

ロープでコツコツ登っているジェルマンを

引き上げた。


「ありがとう」

「ウキッ!」


 嬉しそうに返事をしたウッディは、ロープを

使ってある程度降りた後、帆を支えるロープに

移り、森の猿のように縦横無尽に動き始めた。


「あれはあれで面白そうだな。後で俺たちも

混ざろうぜ」


 レイルはウッディに釣られてロープ移りを

楽しみ始めたウィントやスパロウの様子を見て、

アレウスに誘いをかけた。


「勿論ッス。アイツ等が楽しめて俺等が楽しめない

ことは無し、逆もしかりッスよ!」

「ああ、ガキや動物が楽しいことは、何歳(いくつ)

なっても楽しいぜ!」


 公の場では殆んど言わないであろう発言を

飛び交わせながら、一先ずは全速力で泳いだり、

潜ったりを繰り返していた。


「わー! スポーツマン達何か楽しそうな事

やってる--!」


 甲板からレイル達の様子を見てマリリンが

興味をもった。


「水泳ですね。私、スピードは兎も角、遠泳は

得意なんですよ」

「ん-、私は短距離をバタフライで一気に泳ぎ

きるのが好きかなぁ? アレウス君行くよー!」


「ん? うおおおっ!?」


 突如ミューがアレウスめがけてダイビング

してきたので、反射的にキャッチした。


「一緒に泳ごうよ!」

「あー、ビックリした! 良いぜ」


「レイルいっくよーー!」

「やべっ!」


 レイルはマリリンが飛び込もうとしているのに

気づき、逃げようとした。


「連続ウェイブ!!」

「うおおっ!?」


 しかし、素早く動けない水中に水の塊を

投げつけられたことで、全く動けなくなった。


「ライドオーン!」

「グアアッ!!」


 いくらギルド最軽量のマリリンとは言え、

重さで表すと、大きめの猿のウッディが○匹分。

大蜘蛛スパロウ○×3匹分。山猫ウィント○×4

匹分の体重があるため、甲板から飛び降りれば

相当な運動エネルギーとなる。

 レイルは大きく水中に沈んだのだ。


「ちょっとレイル! アレ君見習ってちゃんと

泳ぎなさいよ!」

「魔法撃ってまで人の背中に乗る奴が居るか--!!」

「ここよ!」

「堂々と認めんな! それと水中は地上のように

運べねぇ! プカプカ浮きながら勝手に泳げ!!」


 どや顔のマリリンに対してレイルが言い放った所


「はぁ!?それって…………私が体脂肪率30%超えの

ブヨブヨ皮下脂肪を纏っていてその上内臓脂肪

ダルッダルの骨スカスカ筋細々だから海の上を

アヒルちゃんみたいにプカプカクルクル永遠に

1人孤独で波に流され続けろって言いたいの!?!?」


「…………早口すぎて何て言ったかわかんねぇ!!」


 早口記録大幅更新、1.5秒で「それって…………」

以下の発言を言いきった。


「兎に角、システム上溺れない以上はアレ君を

見習ってレディを運ぶのよ!」

「はぁ…………俺はパワー系じゃねーんだからよ」


 渋々泳ぎ始めると


現実(リアル)だとベンチプレス100kgあげてる

そうじゃない♪」

「何でそんな都合の良いことばかり覚えてやがる

…………(そういや最近筋トレしてなかったな。そろそろ

再開するか)」


 マリリンの都合の良い記憶力に呆れつつ、筋トレを

再開しようと思っていたことを思い出したレイルで

あった。

 それからはイシュタルとジャンヌ、クラフトも

加わり、リアルフィジクスモードの状態で船の船尾

から船首まで競争したところ、ジャンヌが凄まじい

パフォーマンスを見せ、アレウス以外に大差をつけて

勝利した。

 まぁ、優勝は圧倒的にアレウスだったが。


「へぇ、いくらアレウスとは言え、この重量で

あの速度が出せるとは思わなかったな」


 と、ジャンヌが言うわけは、筋肉や骨は水よりも

比重が重く、沈みやすいのだ。そのため、アレウスの

ような一般人より桁外れに筋肉量が多く、体脂肪が

少ない者は、"水中に身体を浮かべるための力"を多く

必要とする。したがって、体脂肪が多い人物と比較して、

前に進む力を多く注げない…………筈だった。


「ま、圧倒的な力があれば、自重(136kg)位

軽いものですよ」


 スクワット、デッドリフトが共に500kgを

大きく上回り、その脚力で地上を最速の馬以上の

速度で駆け回れるアレウスからすれば、水上を

鮫のように泳ぐことなぞ造作もないことだった。


「フフ、これでもプロスイマーの声かけをもらった

ことがあったんだけどな」

「いやいや、十分すぎますよ」

「ってか、パワードスーツコッソリ着た俺より速い

って凄すぎません!?」


 どうやらクラフトはパワードスーツを着用する

ことで、この2人よりも速く泳ごうとしていたらしい。


「クラフトテメー! ずるしやがってよぉ…………」

「そうよ! それで私達の事脳筋とか思ってるん

でしょー!」


 レイルとミューは本当に僅差で到着したようだ。


「それは誤解だよ」

「そうですわ。ズルなのは間違いありませんけどねっ」


 弁明するクラフトに、イシュタルはフォローすると

見せかけてズルを強調した。


「そうか、俺もパワードスーツを装着すれば

良いんだ。確か前は水上を走れていたし、

問題ねぇな!」


「「「「「やれやれ…………」」」」」


水飛沫を跳ね上げ、アレウスは水上を爆走した。


「ハローハロー!」

「ミギャアアッ!!!?」


A(アーミー)B(ブラック)T(テイルド)G(ガール)と呼ばれるウミネコモンスターは、

突然海を走るユーザーが現れたことで、ウミネコが

出してはいけない声を出してしまった。


「いやー、海上でこのスピードを出せるのは

気持ちいいぜぇ~~! お?」


向こうで全長200mはありそうな巨鯨(きょげい)

浮遊前宙を行おうとしているのが見えた。


「ちょいと…………」


アレウスは垂直になりつつある鯨の背中をかけあがり、


「借りるぜ!」


先端部の速度が最大まで加速されつつある尾を

全力で踏み込み、大ジャンプを行った。


「きーもちいいーーー!!」


天空に飛び立ち、風圧を受ける。


「広がれっ…………広背筋!!」


アレウスは自らの広背筋を翼に見立て、目一杯広げた。

前方からの抵抗を受け、揚力に変えるためだ。


「上昇している…………気がするぜ!!」


…………まぁ、殆んど気のせいであった。下降し始めるや

否や、今度は出来るだけ空気抵抗を減らすようにして、

高速でダイビングをした。


(水中を速く泳げるとか楽しすぎだろ!!)


バショウカジキもビックリな速度で泳ぎ始め、

煌めく水面(みなも)、漆黒の海底、延々の青の周囲を

見渡しつつ、青色を着色する魚達の泳ぎぶりも

楽しんだ。


「ただいま!」


そして甲板に上がり、普段の服をちょっとだけ

海賊風にした服装に着替えた。


そして少したった頃…………


「2時の方角に禍々しいオーラを纏った船を発見!

幽霊船と思われます!」


見張りをしていたジェルマンが、報告を行った。


「全員戦闘準備! ジャンヌ率いる大砲班は

弾を詰め込め!」


レオナルドの合図で全員が配置についた。


「うっし、始めての海上戦をやりますか!」

いつもお読み頂きありがとうございます。ブクマや評価

等々とても励みとなっております。

来年の夏に向けて、冬にバルクアップ、春先から夏までに

筋肉を維持した減量をしていく所存です!

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