表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/241

テスト前日な日曜日の過ごし方

85話


 日曜日


・朝(現実世界・ヤクザしたっぱのアジトにて)


「かーーっ! 久々に飲み食いしたなぁぁ!!」

「おーーうよ! 人生最期の晩餐(ばんさん)だと思えば、これっ

くらいは破目(はめ)外さねぇとなぁ!!」


 6名のヤクザのしたっぱ達が、大規模な晩餐を行って

いた。彼等は、無名の高校生1人に纏めて敗北したと

いうことで、最悪死ぬこともあり得る何かしらの罰を

受けることが、確定しているのだ。


「リーダー! 肉食うぞ!!」

「好きにしろ。まだまだあるからな」


 と、その時


『ジリリリリリ、ジリリリリリ』


 開発されてから100年以上はたったであろう、

ダイヤル式の電話が鳴り響いた。


「「「「「……………………」」」」」


 こんな連中の、時代錯誤なダイヤル式電話に連絡する

人物は、彼等の上司に他ならない。そのため、先程まで

叫んでいた彼等は、一斉に黙った。


『ガチャ』

「…………極道(ごくどう)組織・七罪組(しちざいぐみ)憤怒隊(ふんぬたい)したっぱリーダーの

セキドです。…………はい。…………はい、私も誠に()(かん)

思っております。……………………分かりました。部下達

にも、そのように伝えておきます。…………はい、失礼

します」


 一通り指示を聞いたらしく、受話器を戻した。


「…………俺らに関係のある内容は、極限の処罰を覚悟

すること。んで、連れてくる女次第で罰を軽減するって

事だったわ」


「あーあーあー!! 今や顔面が腫れ上がったクソブス

共しか居ねぇじゃねーか!!」

「こうなったのもクソブス共の働きが悪かったから

だ!!」

「けどリーダー。残り2つなんか言われてたけど、

何だったんだ?」


「1つはブリーダー関連で、収益を支えてた奴が逮捕

されたことに対する愚痴(ぐち)。もう1つは、嫉妬組の俺達

みたいなのが、義賊系不良グループ・レールガンズに、

コテンパンにやられたことに対する愚痴だ」


「結局愚痴じゃねーかよおおおお!!」


 リーゼント男がウザそうにわめき散らした。


「静かにしろ。録音されてたら厳罰化するかも

しれねぇ」


 スキンヘッドがリーゼントの(ほほ)を殴り、黙らせた。


「何にせよ、人目のつかねぇど田舎で、見てくれの

良い女数人を誘拐する他ねぇな」


 リーダーはそう言いつつ外出の準備を始めた。


「それしかねぇよな。今居るのは論外だし」


 襟足(えりあし)ロング男がため息混じりに話した。


「おめぇらぜっっってええええっ! 逃げんなよおお

おおお!!!」

「これだけ(しつけ)たんだ。逃げなんて考えないさ」


 リーゼントが釘を刺し、6人はワゴン車で何処かの

田舎へと向かった。


「…………()(レイ)()女阿里(メアリ)ー。動ける?」


「「勿論よ…………」」


 絶世美女(ぜよびめ)の問いに、残り2人も答えた。


「先ずはこの薄汚い部屋から抜けるわよ」


 古びた玄関扉を蹴破り、迅速(じんそく)に外に出た。


「どこ行く?」


 富礼夜が人任せに聞いてきた。


「さてと…………アイツらが帰ってくる前に身を

(ひそ)めないとね」


 絶世美女はそこまでは考えてなかったらしい。


「あ、良いこと思い付いた! 一先ず可哀想アピール

して、校長のところで立て直そうよ」

「いいなそれ! 最悪抱かせれば何でも言うこと聞くしな」

「便利グッズというわけか。まずは服を新調しなくちゃな」


 女阿里ーの意見を採択し、校長の家へと向かった。


・昼(SAFにて)


「大分奥まで来たな。何か強い奴出てきたら

アーステイマーもカンスト出来るんだけどな…………」


 拓人は塾、美優は部活で、自分だけ暇人化したので、

ウィントとスパロウを引き連れて、ジャングルを当ても

なく冒険しているようだ。


「おっ、あれは…………2人とも見てみな」


 アレウスはウィント達に猿の腰掛けでくつろいでいる

ゴリラの子供を観察させた。


「あれはリーフゴリラの子供、リーファントだ。

1人でご飯食べてるのかな?」


 子供モンスターは基本的に逃走AIのみ備わって

おり、倒して得られる経験値も少ない。しかし、

テイム難度が低いため、育成好きには高い人気を

誇る。


「さっと近寄りスキンシップテイム!」


 アレウスは裸の上から着ていたロングコートを

脱ぎ捨て、巨大な大胸筋を鋼のごとく固めてから、

ドラミングを行った。


「ウキッウキッウキッウキッ!」


 リーファントもそれに答えてドラミングをした。


『テイム…………SUCCESS(サクセス)!』


「共に強くなろうぜ!」

「ウキッ!」


 互いに右手を取り合った。


「そうだなぁ…………これから大木のように太い筋肉を

目指して…………うん、お前の名前はウッディだ!」

「ウッキィ! ウキキッ!」


 どうやらアレウスが着けた名前を気に入ったようだ。


「よし、ちょうど木亀竜が出てきたし、実戦練習

するか!」

「ウッキィ!?」


 いつの間にか全長5メートル程の背に大木を生やした

亀のような竜が現れた。ウッディは一瞬前に気づいた

ばかりであり、動揺している。


「B級モンスター、木亀竜・ドゥラゴ・タート・

ルッディだぜ!」


 巻き舌も交えた英文読み風の発音で、モンスターの

名前を述べた。


「3人とも構えな~。ウッディはこれでも装備してな」


 ウッディは中々質の良いプラチナソードを装備した。


「ウキ~…………」


 数秒にらみ合いが続いた。


「跳べ!」


 アレウスの声と同時に、3人は跳んだ。同時に

木亀竜は首を少し伸ばしながら、薙ぎ払ってきた。


「…………ウキッ??」

「大丈夫か?」


 咄嗟に跳躍出来なかったウッディは、アレウスが

抱えることで木亀竜の攻撃から守った。


「キキッ……キーキー…………」

「なぁに、構わねぇさ。バトル苦手なんだろ。だったら

観察から始めて慣れてこうぜ」


 そう言って、木亀竜から遠ざかり始めた。


『グオオアッ!!』


 木亀竜はアレウスを逃がさないとばかりに背中の木を

しならせ、実っていた木の実を数個飛ばしてきた。


「スパロウ、ネットフレイル! ウィント、

ドリルストライク!」


 スパロウは糸を網目状に展開し、捕縛した木の実を

鉄球代わりに振り回し始めた。


「フシャアアッ!!」

『グオオオオオアッ!!』


 ウィントの回転爪アタックは木亀竜の首筋に直撃し、

相変わらず山猫とは思えない量のダメージを与えた。


「畳み掛けるぞ!」

「シューーッ、シュッシュッシュッシュッシュッッ!!」


 スパロウが木の実鉄球を連続で浴びせ…………


「ホウアッ!!」


 アレウスが極超音速の鞭でとどめをさした。


「ウキー…………」


 アレウス達の圧倒的な戦闘力を見て、ウッディは

放心状態になっていた。


「大丈夫さ。一段ずつかけ上がれば肩を並べて戦える

ようになる。それに、嫌なら戦闘を強制しないし、逆に

参加を拒絶もしない。俺達はウッディ自身の心に従って

くれるのが望みなのさ」

「フニャッ」

「カチカチ」


「…………ウキッ! ウキキッキ~~」


 アレウス達の言葉を聞き、ウッディは安堵の表情を

見せた。完全に自らのペースで頑張っていくことに

したようだ。


・夜(現実世界、アレウスの通う学校の校長宅)


「ふー、やっぱ校長チョロいわー」


 フワフワの寝間着を(まと)った絶世美女が、笑いながら

話す。


「ヤクザとの関係を示唆しただけで、()びへつらって

きたからなぁ」


 同じく寝間着姿の女阿里が、笑いを(こら)えるのに

必死そうに話す。


「そして念には念を重ねて、身体も手なずけてやった

から、完全に犬化したも同然!」


 やはり寝間着姿の富礼夜が、自信溢れる表情で

豪語する。


「一時はあの筋肉野郎に媚びるとか情けねぇことも

考えちまったけどさ」

「これであたしらは何やってもOKだ!」

「待ってろよ的場…………その心臓を一突きにしてやる」


 悪い顔をする彼女等の手には、ナイフ、日本刀、

金属バットが握られていた。

ブクマ、評価、感想、レビューが励みになっています。

本当に寒くなりましたね!


12/10 本日の投稿は少し遅れそうです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ