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白熱の決勝戦(前編)

寝落ちして遅れました( ノ;_ _)ノ。

前後編に分けます。

81話


「さぁ、いよいよ今大会シングルバトル部門の決勝戦が

始まります! 赤コーナー、使用モンスターはまさかの

低級モンスターウィンドキティとジャンプソンのみで

決勝まで上り詰めた猛者、アレウス選手~!!」


名前を呼ばれたアレウスは、歓声に答えるかのように

腕を振り上げた。風の子猫ウィンドキティのウィントは

毛繕い中で、大蜘蛛ジャンプソンのスパロウは足を

消化液で掃除していた。2匹ともかなりマイペース

なのかもしれない。


「青コーナー。これまた使用モンスターがなぁんと!

ドレットブラック1体のみで上り詰めた優勝候補!

フィンチ選手~!!」


ピンク色ショートヘアーの勝ち気そうな女の子が

傍らの暗黒竜・ドレットブラックの首を撫でていた。


「さぁ、最強同士の2人が今、ぶつかる!」


「スパロウ! 頼んだ!」

「アーウィン! お願い!」


アレウスはスパロウを、フィンチはアーウィンという

名前の鳥を出してきた。左半分が燃え盛り、右半分が

凍りつく見た目をしている。


「スパロウ、スパイダーネット!」

「燃やして、ミストストライク!」


スパロウはアーウィンを捕らえるために、凧のような

形の糸を出したのだが、アーウィンは炎エネルギーを

高めることで燃やして回避した。

そして、冷気エネルギーも増大させた状態で

急降下してきた。


「かわせ!」


8本足から発揮される加速能力により、すんでの

ところで回避することが出来た。


「な、なんという爆発っ! ヒート&ゴールドの

ランデブーにより、凄まじい水蒸気が広がって

います!」


アーウィンが着弾した部分から広がるように

水蒸気が発生しており、熱エネルギーと冷気が

いかに極端であったかが伺える。


(次は蒸気の中から見にくい攻撃が来るか?

あるいは…………ん?)


相手の方を見ると、フィンチが悪そうな笑みを

浮かべていた。


「(いいや、そんな次元じゃ済まねぇ。だったら)

スパロウ、兎に角見えねぇところからの攻撃を

避け続けるんだ!」

「カチッ!」


スパロウは大きく牙をならして返事をした。刹那、

大きく動いたかと思うと、先程まで彼がいた場所の

草が片側は燃え、片側は凍結した。


「うっそ!? 避けちゃったよ!」


これには主のフィンチも驚いた。


「でも結局有利なのは私たちだからね!

攻めまくるのよっ!」


彼女の声に答えたアーウィンが、何度も突撃を試みた。


「とことんかわしまくるぜっ!」

「な、何が起こっているんだぁ!?」


それから2分ほど、突撃と回避の応酬が繰り返された。

途中、アレウスはスパロウに読心術を使わせて何かを

伝えた。


「ピーーッ!!」

「ちょ、アーウィン!?」


突如光の屈折を解除し、地面に落ちたアーウィンにフィンチは驚愕した。


「麻痺効果発動。ポイズンファング!」


「ギギッ!!」

「ピィーーーーッ!!」

「離脱だ!」

「アレウス選手の素早い判断! スパロウ選手の

迅速な実行! 確かな絆を感じます!」


攻撃後、敵が熱と冷気を強化することを予め

予測していたアレウスは、直ぐにスパロウを

敵から離れさせた。


「くぅ~~こうなったらスピード勝負よ!」

「望むところだ!」


単調なスピード勝負は完全にスパロウに分があった。

触覚、聴覚、そしてハエトリグモ並の視力により、

認知能力が高く、8本の筋肉質な足が瞬発力・敏捷性を

確保しているからだ。


「ミストストライク!」


数度の水平攻撃をスパロウが回避する流れを経て、

再び空中から急降下する技を繰り出してきた。


「かわせ! そして…………」


スパロウが避けて1秒後、アレウスは


「ヴィスケスフレイル!」


投げ縄蜘蛛の粘球攻撃を指示した。


「…………まさか」


フィンチの表情は青ざめた。


「手応えありか! だったらぶんまわしまくれ!」

「ギギギギッ!!」


牙を食いしばり、8本足を踏み込んで、捕獲した

アーウィンをぶんまわしまくった。


「ぬ、抜け出すのよっ!!」

「木に叩きつけろ!」


そして木にぶつけることで、戦闘不能へと追い込んだ。


「アーウィン、戦闘不能!」

「な、何で糸で捕縛できたの…………??」


高熱と凍てつく冷気を纏ったアーウィンを

捕まえられる訳がないとフィンチはアレウスに

問うた。


「姿を隠している時はそんなに極端な熱や冷気に

なってないと思ったのさ。事実糸は千切れなかったろ?」


「…………フフっ、やられたわ。ならばメタクラー。

鉄壁の防御で2体とも倒すのよ!」


約1.5mの硬そうな蟹が出てきた。


「スパロウ、シャドウヘイズ!」


約5つの影分身に別れた。


「そのままポイズンファング!」


その敏捷さのまま数ヵ所に毒牙をかけた。


『ガチッ! ガチッ!』

「へっへーん! うちのメタクラーに物理攻撃が

効くわけ無いでしょう! 挟んで!」

「避けろ!」


スパロウは挟み込みを辛うじて回避した。


「鉄壁要塞のメタクラー。スパロウ選手はどう

攻略する?」

「ウォーターショット!」


口から圧力高めの水鉄砲を放った。


「とことんかわしつつ、隙間から連続スパイダーネット!」


紙一重で水鉄砲をかわしつつ、蟹を糸だらけにした。


「引きちぎるのよ!」

『ギギッ…………!! ギ…………?』


蟹は糸を引きちぎろうとしたが、千切れる様子はなく、

それどころか力の配分ミスなのか、右腕があらぬ方向

へと曲がってしまった。


「右腕に全速力で突撃だ!」


『バキッ!』

「メタクラー選手が頑丈な糸で悶えている隙に

ハサミを折ったー!?」


良い音が響き渡り、右腕が折れた。


「糸で右腕を鉄球代わりに殴りまくれ!」


「シューーーー!!!」

『ギギッ! ギギギグァ!!?』

「メ、メタクラー!?」


想像を超えたダメージ量に、モンスターも主も驚愕する。


「とどめだ!」

「シュッ!!」

『ギグァーーー!!』


「メタクラー、戦闘不能!」


「流石だぜスパロウ!」

「カチチッ!」


「フフ、今度はその子の天敵を出して上げるわ。

行け! デスニードル!」


体長30cm程の蜂が出てきた。


「アサシンホーネットか。確かに天敵だな」


「シャドウヘイズ!」

「シャドウヘイズ!」

「なんというスピード! 誰と誰が本物だぁ!?」


両者とも影分身を繰り出した。向こうの方が数は多い。


「ポイズンショット!」


7体の影分身から一斉に毒針が襲いかかる。


「避けて連続スパイダーネット!」


蜂の針を紙一重で避けつつ、糸を多重展開した。


「避けなさい。そしてニードルストライク!」


デスニードルは影分身こそ消えたものの、幾つかの

糸の隙間を潜り抜けて急降下アタックを試みた。

影分身の規則性もバレているようだ。


「牙で弾け!」


間一髪、スパロウはデスニードルの針を牙で弾いた。


「ヴィスケスフレイル!」

「かわして!」


投げ縄は容易く避けられた。


「スパロウ、チェンジ!」


ここでアレウスはスパロウを交代させた。


「気合い入れていくぞ! ウィント!」

「フシャッ! グルルルルルッ!!」


キカン猫時代の凄まじい声を張り上げ、

相手を威圧する。


「そんなキカン猫は一瞬で眠らせてあげるわ!

デスニードル、ニードルバズーカよ!」


『ヴヴッ!』


デスニードル自身が時速80km程の速度で突撃し、

更には針をライフルのように発射したので、その

速度は時速200km近くまで加速された。単純な

物理威力だけでウィントは死ぬ。


「いっけええっ! カマイタチ!」

「フシャアアアッ!!」


しかし、ウィントは全く臆せずに突進し、

紙一重で針を避けつつ、渾身のカマイタチ

攻撃でデスニードルをしとめた。


「デスニードル、戦闘不能!」

「どうよ! ウィントの威嚇でチビらせる作戦は!」

「フフフ、ここまで追い詰められちゃあ出すしか無いわね」

「後ろの彼だな」


後ろに控える切り札と思われる

暗黒竜・ドレットブラックに言及した。


「ドレイクは女の子よ! か・の・じょ!!」

「ああ、失敬失敬」

「思い知らせるわよ。GO!」

『グオオオオオオオオッ!!!』


明らかに他とは違う威容に、先程ウィントの

威圧にビビっていた観客達はチビったそうな。


「ウィント、一旦スパロウとチェンジだ」

「フーニャ」


好戦的な彼にしては珍しく、素直に応じた。

これも信頼度が上がった証拠だろう。


「スパロウ、シャドウヘイズ!」


いつもの影分身だ。


「黒炎でなぎ払うのよ!」


当たると追加ダメージのある呪い付きの炎で

なぎ払ってきた。


「かわしてヴィスケスフレイル!」


スパロウは黒炎を回避後、暗黒竜の尾に

投げ縄をかけた。


「飛んでから焼きなさい」


暗黒竜は飛翔後、普通の炎を糸に向かって吐いた。


「手繰り寄せて張り付け!」


スパロウは一瞬で尾に張り付くことで、

炎を回避した。そして


「両翼を糸で縛り上げろ!!」


すかさず暗黒竜の両翼を糸で巻き付け始めた。


「引きちぎるのよ!」


流石に背中に炎を吐けるほど首は柔軟でないらしく、

力業での引きちぎりを試みた。


「この隙に翼にポイズンファング!」


相手が糸に手間取っている間に何度も翼に

毒牙をかけた。ダメージこそ無いも同然だが、

毒は確実に注入できた。


「旋回して着地!」

「麻痺毛針!!」


初戦のアーウィン相手にこっそり使った技を

使ったのだが、流石に地面に叩き落とされた。


「黒炎で焼き尽くすのよ!!」


明らかなオーバーキルの炎でスパロウを焼いた。

当然一撃KOだ。


「スパロウ、戦闘不能!」


「良く頑張った! お前は大金星だ。たすきは

ウィントと共にゴールまで持っていくぜ!」


スパロウが控え室に転送され、ウィントが

フィールドに転送された。いつになく表情が

真剣だ。


「フフフ、私は既に本気よ。今さら本気を

出したって遅いんだから」


フィンチはアレウス達を挑発した。確かに

ドレイクの強さは他とは違う。


「俺は、俺達はいつだって本気だぜ。最初から

本気を出してない君達に負けないぞ。全力で

たすきを繋いだスパロウの為にも勝つぞ!」

「ニャーーーー!!!」

ブクマ、評価、感想、レビューをありがとうございます。

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