求道者達の雑談と資格取得
前半はちょっとしんみりして、後半はスカッと
モンスター討伐です。
68話
「はーあ、結局アレウスには1度も有効打を
与えられなかったなぁ」
「私もよ。改めてアレウス君の反応速度と
筋肉のスピードが異常だって分かったわ」
アレウスの友人2人は残念さと感嘆と呆れが混ざった、
表現不能な様子で話した。
「何いってやがる。俺の速筋系列の才能が
高ぇのは事実だけど、これくらいなら極限の
集中力で鍛えれば誰でも到達できるぞ」
アレウスはそうだろ? といった様子で返答した。
「あのな、その集中力もお前レベルになったら、
天才の最高効率超絶努力がなけりゃあ、到達
できねぇ次元だぜ?」
「そうだよ、こないだ見せてもらったデッドリフトの
時の集中力ときたら…………私が大会で矢をつがえている
時よりすごくて、危うく絶望しかけたんだからね」
「そうなのかなぁ? やっぱ親父の教え方が
神がかって上手かったんだろうな! 俺は
中学まで本ッッッ当に何一つ優れた要素が
無かったからな」
アレウスは昔落ちぶれていた過去を照らし合わせると、
どうしても自分に凄まじい才能があると思えないのだ。
「アレウス、1つ大きな勘違いをしているぞ」
「何だ?」
アレウスにお姫様抱っこされているクラフトが、
真剣な眼差しで指摘を開始した。
「お前は才能があれば、その才能が勝手に
開花すると思っているんだろうけど、実際は違う。
いくら速筋繊維が多くて、骨格的に走りに適した
体を持っていても、幼少期に独房に閉じ込められて、
殆どタンパク質を摂取できない環境にいたら、
肉体が貧弱すぎてとても走れないだろう。
逆に、そこから肉を食べまくって筋肉をつけ、
短距離走の練習を重ねていけば、経験と肉体が
リンクして、最強のスプリンターになれる」
「まぁ、そりゃそうだよな」
「要するに、才能があっても、それを開花させる環境や
材料がなければ、才能も働いてくれないって事だ。
アレウスも中学の時は環境とかが整ってなかっただけで、
こうなる為の才能自体は眠ってたんだよ」
「…………なる程な、なんかスッキリしたぜ。
ってことはよ、一見平々凡々としていそうな
多くの人々も、実は1人1人がずば抜けた
何かを成し得る才能を持っているってことか!?」
やや失礼な表現をしつつ、疑問をぶつけた。
「そう言うこと。けど、その殆どは指導者の
力不足やクソヤロウ達の邪魔が原因で潰され、
あまつさえクソヤロウの一員に成り下がって
平凡街道を歩んでしまうんだよ」
「確かに、人類最高峰の人達って、程度の差はあれ
皆穏やかで、どこか悟りを開いている感じがするよね~」
「ああ、それこそサイボーグさんが言ってた
道を極めた者が行き着く先は皆同じって言うのが
的を得ているって感じだよな!」
「私、アレウス君には筋肉を極めてほしいなぁ…………。
筋トレしている姿、見ていてすごくやる気が上がって
くるもん…………」
おぶられているミューが、更に身体を密着させながら
呟いた。
「おいおい、さっきは絶望したって言ってたのに、
無理して取りつくr…」
「本当だよ。同じ求道者としても、誰かの打ち込んでいる
姿を見るのは、モチベーションアップに繋がるんだよ。
ましてやそれが…………」
「それが…………?」
アレウスは最後の方が聞き取れなかったので聞き返した。
「んーん、何でもないよ~~」
「そうか」
「そう言うことなんだな~。俺も早いところ、
何のエンジニアを目指して、どんなオンリーワンの
成果を挙げるか決めないとな」
「そういやクラフトって滅茶苦茶勉強出来るけど、
あくまで夢は物作りに携わる事だったな」
「ああ、そうなんだ。模試で全国一位とか
言われてるけど、あくまで勉強は手段の1つに
過ぎないよ」
「す、既に行き着く先に行き着いていらっしゃるわ…………」
クラフトのナチュラルな爆弾発言に、ミューは
うちひしがれた。
「ミュー、俺の腕は2本ともクラフトに使ってるから、
ちゃんとしがみつくんだぞ」
「う、うん…………」
うちひしがれた際に若干脱力した為、アレウスが
心配をしてくれた。
「ってことで、さっさとグラス・コープへ帰るぜ!」
2人抱えても、アレウスは時速55kmで走っていった。
~冒険者ギルド~
「う~ん…………後3つか……………………」
現在、アレウスはA級の昇格試験を受けるために、
残り3つのB級クエストを受ける必要があった。
「何を悩んでる? アレウス」
「副長。俺、後3つクエストを受けたら、
A級昇格のクエストを受けられるんですよ。
それでどれとどれとどれを受けようか
迷ってたんです!」
「なる程な、それならば私も後1つ受ければ
昇格試験を受けれる状態だ」
ジャンヌもA級間近のラインにいるらしい。
「だったら一緒に…」
「いいや、別々に受けよう」
「えっ…………どうしてですか??」
自分が同行した方がジャンヌのクエストも
早く終わると思っているアレウスは、
ジャンヌの指示に戸惑った。
「お前の足の速さと残り時間からして、今日は
個人で昇格資格を獲得し、明日、1番にタッグを
組んでA級になる方が効率的だ」
「…………確かに。副長と俺ならそれが1番効率的
かもしれませんね」
「そうと決まれば直感で3連続達成してこい!
私は黒竜をソロで討伐してくるぞ」
「うっし、だったら俺は…………」
~断崖絶壁地帯~
「行くぜ! 連続スパークサンダー!」
アレウスは関節を外した腕で錫杖を振り回し、
連続で魔法を唱えた。
『『『グギャアアアアッ!?!?』』』
飛竜の群れは、一瞬にして倒された。
「マリリンさんやイシュタルほどMAGはねぇけど、
唱え方次第で圧倒的な手数になるぜ!」
雷魔法の場合、ステッキや錫杖の振るい方によって、
電気の軌道が定められるため、アレウスのように
速く振るえれば、超連続攻撃になるらしい。
~氷河地帯~
「メガフレイムホームラン!!」
火の中級魔法で巨大火球を生成し、ジャスト音速で
スノーアーマードラゴンに命中させた。勿論即死である。
「ソロはソロで気兼ね無く大技を出せるのが
良いよなぁ~~」
ノーマルモードプレイヤーからすれば、
大技どころでは無い。
~ジャングル地帯~
『ジャア!!』
「うおおっ!?!?」
いきなり速攻型のモンスター・草竜ジャングルザードが
最高速度でぶつかってきたので、それこそ
錫杖をバットのように振るってホームランを
かっ飛ばしてしまった。
「…………俺、絶対ハイプリーストじゃねぇよな」
物理でぶん殴ってばかりの自身を省みて、絶対に
中級魔法系jobじゃないと思った。
何はともあれ、これで明日昇級クエストを受けられる。
おまけがネタギレしました(笑)。近い内に何か考えます。
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これからもよろしくお願いしますm(_ _)m。
11/25 本日は夜に投稿します。




