グラス・コープ防衛戦
お待たせしました。今日の1話です。
評価ポイント500pt超えありがとうございます~!
58話
「運営さんも頑張るよなぁ……」
「本当な~」
冒険者達が、眼前を多い尽くすモンスターの
大群を見ながら呟いている。
「百鬼夜行イベントってか? 面白ぇな、
良い経験値稼ぎになるぜ!」
「俺はモンスターと自軍の戦力を見比べて、
時にPKも交えて戦力調整するとするわ」
現在行われているイベントの内容はこうだ。
魔王軍の幹部格がやられたことで、魔王軍の
大進撃が起きた。したがって、冒険者達は
即刻現地の街を防衛せよ。という緊急大規模
クエストなのだ。
生存すれば、戦果に見合った報酬を与えられるらしい。
「アグロフラッシュメンバー、配置完了だ」
レオナルドが指揮官のNPCに団員達の配置報告を行った。
『ご苦労様です。…………そろそろ、時間です。
これより、対魔王軍・グラスコープ防衛戦を
開始する! 超遠距離部隊、発射用意…………』
高台を陣取るジェルマンも配置されている砲撃部隊が
構えを取った。そして異色を放っているのが…………
『ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!
ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!
ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!
ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!
ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!』
「うおおおおおおおっ!!! いつもチャリで
通学している俺の力を発揮する時だぁ!!」
「アレウスファイトー!」
クラフトが開発した"発電バイシクル"を全速力で
漕いでいるアレウスだった。後ろに置かれている
得体の知れない機械のメーターの表示が恐るべき
早さで高くなっていく。
(((((何する気だよ…………)))))
ジェルマン以外の狙撃主達は完全に思考が
一致していた。そして…………
『射て!!!!!』
「アレウス! 100万ボルト!!」
「食らいやがれ!!」
指揮官の掛け声と共に狙撃主達が砲撃を行い、
同時に携帯獣トレーナーの少年みたいに指示を
出したクラフトに答えるかのように、アレウスは
発射ボタンを押した。
今回の砲撃で、突撃してきたモンスターの5%を
倒すことができた。内、3%は100万ボルトの
功績だ。
『第2撃用意!』
狙撃主達は構え、アレウスは発電に勤しむ。
「じゃ、タンク部隊に合流するわ!」
「おう! 頑張れよ!」
クラフトは発明品に不具合が無いことを
見届けたため、ジェットパックで空中移動
することで、本来の配置であるタンク部隊へ
合流することになった。
『発射!!』
この攻撃も、第1撃と同じような戦果を
上げることに成功した。
『タンク部隊前進! 魔法部隊と物理部隊も続け!
弓矢部隊、発射用意!』
モンスターが大分近づいてきた為、次の動きへ移った。
「「「「うおおおおおおおっ!!!」」」」
盾を構えた暑苦しいタンク部隊がモンスター達と
正面衝突した。鍛えが足りない者達はこれだけで
即死した。
『魔法部隊攻撃!』
各々が高威力の魔法だったり圧倒的連射性の
魔法だったりを放った。その中でも飛び抜けて
強かったのは…………
「ギガトン・グラビティ!!」
半径10mの円内に巨大な重力を発生させ、A級
モンスターだろうと圧死させた闇魔導士マリリン。
…………と、見せかけて
「メガロ・ウェイヴ!!」
本来、精々5m程の水塊を直撃させる程度の
中級魔法であるはずが、高さ10m程の津波で
モンスターの群れを一気に押し殺したイシュタル
であった。
「イシュちゃんどんだけ~って感じなんですけど…………」
「上手くいって良かったです!」
マリリン含む魔法部隊がドン引きしても、無邪気に
作戦の成功を喜ぶだけのイシュタルであった。
『弓部隊発射! 物理部隊畳み掛けろ!』
弓系jobの冒険者達が一斉に射撃を行った。
中級jobハンター成り立てのミューも、
熟練のハンター達以上の貢献を見せている。
「やっと出番だなぁ!!」
血の気の多い近接物理jobの皆さんは、やっと
出番が回ってきたことに嬉々として駆け出した。
…………しかし、彼らを待ち受けていた運命は、
決して明るいものばかりじゃなかった。
「全霊撃!!っ効いてn…」
戦士がフレイムドラゴンに片手斧の技を打ち込んだ所、
1ダメージも与えられずに食い殺された。
「バーカ、目を狙うんだよ!」
中級jobグレートソルジャーの男は片手槍を投擲し、
フレイムドラゴンの目に直撃させた。
『グオオオオオオッ!!!』
しかし、微量のダメージしか与えられず、
かえってフレイムドラゴンを怒らせる結果と
なり、他のユーザーごと焼き殺される結果と
なった。
「お前ら場数が足りねぇぜ、ドラゴンは…………」
盗賊系上級jobグリムリーパーの金髪男レイルが
目にも止まらぬ身のこなしで、フレイムドラゴンの
首に張り付き…………
「こうやって倒すんだよ!」
逆鱗を短剣の1刺しで貫き、即死させた。
「「嘘だろ…………!?」」
これには付近の全員が驚いた。そして向こうでも…………
「うわあああ! こんなの勝てるかぁ!!」
筋骨粒々な男達がC~B級のドラゴンの群れから
情けなく逃げている。
「だらしないな。どれ、手本を見せてやるとするか」
大剣を構えたジャンヌが男達の隣を突っ切り、
ドラゴン達の弱点部位を叩き切る無双を開始した。
「な、なんだよあのねーちゃん…………化け物じゃん」
「さっすが副長だな。でもそれ以上に…………」
レイルはモンスターに埋め尽くされている前方を見た。
「ぬぅん!!」
レオナルドが敵陣のど真ん中で両手斧を振り回し、
A級所か弱めのS級モンスターまでも一撃の元に
粉砕していたのだ。
「えっ!? コイツ急に死んだぞ!?」
とあるユーザーが注意を払っていたモンスターが
急に死んだ。その頃高台では…………
「…………これくらいの距離なら楽勝だな」
「ま、まさかこの距離から狙撃しているのか……??」
ジェルマンがスナイパーライフルで、1キロ以上先の
モンスター達の急所を狙撃していたのだ。
そして少し離れた場所にて、アレウスが低い体勢で
何かに狙いをつけていた。
「皆に負けてられないわ!」
ミューが山なりに矢を放ち、モンスターの頭上に
命中させることで一撃で倒している。タンク部隊の
死者が増えて余裕が無くなってきたのだ。
「イシュちゃん、ぶっぱなすわよー!」
「はいっ!」
魔法系の2人も広範囲、高火力の魔法で次々と
モンスターを倒していく。
「鬱陶しいんだよっ!」
クラフトは受け止めたら爆発する盾に持ちかえ、
突撃してきたスプリゴンをカウンターで仕留めた。
「全く、忙しいなぁ。けど」
「そろそろ来る頃じゃねーっすか??」
「さて、お楽しみの時間だな」
前衛3人が待ち望んでいるもの、それは…………
『ドォン…………ドゴォォォオオン!!!!!!!』
「お・待・た・せしましたっ!!」
高台から飛び立ち、残り35%になった敵陣に
降り立った男、アレウスだ。
「こっからは柔術を極めたい男、アレウス様の
独壇場だぜぇ!!!」
パワードスーツを着用したアレウスは、約1.2km
移動してきて早々に手頃なサイズのモンスター達を
掴み、音速以上で振り回し始めた。
「止めれるもんなら止めてみやがれぇっ!!」
轟音を撒き散らしながらモンスター達を粉砕していく
ぶんまわし攻撃は、残ったモンスター達をものの
10秒で全滅させてしまった。
「よーし、すかさず回復っ!!」
上回復ポーションを飲み、勝利のポーズを取った。
これにてグラス・コープの防衛は成功に終わった。
武器(片手斧)について
戦士系jobが用いる武器。威力に優れ、雑魚モンスター
ならこれを装備すれば一撃という場面も多々ある。反面、
攻撃速度に難があり、リーチも片手槍より短い等、命中・
回避の面では不利な部分もある。
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おります。今後とも作品の質の向上に努めたいと思います。




