剛力ダガー使いの盗賊
サクッとお昼の暇潰しにでもどうぞ~
追伸 : VR週刊でも43位になっていました。ありがとうございます!
28話
「オラオラッ!」
アレウスは荒ぶるような動きでダガーを振るい、
モンスターの群れを捌いていく。
「動きが荒すぎる。切り返しの力みをなくせ」
「こうッスか?」
「そうだ。まずは滑らかにダガーを滑らせる練習から
していけ」
「了解ィ!」
細かい注意点をレイルに言ってもらいながら、
対モンスターの実践経験で確実に腕を上げていく。
「おっと、モンスターが全滅しちゃった」
正確なフォームの獲得を目指し、速度よりも
正確性重視のダガー捌きだったが、アレウスの
基礎力が高すぎるため、結局は直ぐにモンスターが
死ぬのだ。
「お、ちょくちょく欲しいアイテムが落ちてら。
指導料金としてこの辺貰うぜ」
「どうぞどうぞ」
一部の目ぼしいアイテムは、レイルが貰うと
あらかじめ約束を取り付けてある。仲間同士
とはいえ、無償サービスというわけには
いかないのだ。
「じゃあ次は投擲の基本を教えるぜ。柄か切っ先を
持って回転させて投げる。まあ、基本的にはナイフ
投げと同列に考えて良いぜ」
全力で投げ、50m程先の木に命中させた。
「おおー…………所で何で回転させるんですか?
漫画だと真っ直ぐ飛んでいってましたが…………」
「ん~、多分重心位置の都合上、回転させても
刺さるのと、そもそも真っ直ぐ投げるのが難しい
からだろうな。長物ってちょっとでも軸から
ずれたら回転するじゃん」
「確かに…………それじゃ、投げてみますかな」
先程のレイルのフォームを真似て、熊型モンスターの
頭に投げナイフを命中させた。
「一発じゃねーか。お前、投擲のセンスあるなぁ!」
肩をバンバン叩かれ、褒められた。
「いやぁ、それほどでも~ あ、ゴーレムです」
昨日レイルと共に倒したものより一回り小さい
3mほどのゴーレムが歩いてきた。
「よーし、投擲の練習だぁ!」
「行くぜぇ!」
全速力の投擲を試したところ、ダガーはゴーレムの
眉間を貫き、一撃でHPを空にした。
「…………おめぇに教えることはもう何もない。と、
言う前に早投げと連続投げの基礎だけやっとこうか」
「ウィッス」
それからも練習は盛り上がり…………
「アレウス。お前の技を見せてみろ!」
「うおおおおおっ!!」
全力で叫びながら、モンスターの群れを素通りした。
「イッツ・パーフェクトリー・スティーールルル
(巻き舌)!!」
「上出来だな」
どうやら物理的な速度でモンスターを欺き、
アイテムを盗んだらしい
「か~ら~の~瞬殺!!」
連続早投げによって、一掃した。
「注釈 : 物理ダメージ」
アサシンのレイルのように急所をついて即死効果を
発動させるのではなく、圧倒的なSTRによる物理
ダメージで瞬殺するのがアレウスのやり方だ。
「お、クエストの指定ボスが出てきたぞ!」
高さ7m程の樹木モンスターが現れた。
「もう一つの特技も練習だ。ベノムダガー!」
両腕の関節を外し、可動域をフルに確保した状態で、
黙視不可能な連続斬撃をおみまいした。
「よっし、関節外しも少しは使いこなせるようになった!」
「タコ踊り猛毒バージョンってか?」
多段ダメージと毒のダメージによって、沈んだ樹木モンスターを尻目にレイルはアレウスを茶化した。
「いやいや、まだまだ脚の練習が不足してますってぇ!」
そこには四肢をぐにゃぐにゃさせて踊るアレウスと、笑い転げるレイルの姿があった。
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