表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/241

海賊と人魚姫

メルゥイーーークリスマスッ!!

お待たせしました。明日からは通常運転

出来るようにつとめます…………

100話


「ビエエエエーーーーン!! ヒドイヨーーー!

ヒドイヨーーー!」


 泣きじゃくる少年の身体には鱗が生えており、

頬にはエラらしきものが生えていた。身長は

150cm程の細身の中学生といった所で、

ミューやイシュタルよりも低い。因みに

イシュタルは分からないが、ミューはアバターの

身長を現実と同じにしているので、彼の幼さが

際立つ。


「よぉ、ボーズ。男がそんなに泣いちまってどうした?」


 アレウスは姿に似合わず人魚のような優雅さで

接近し、彼に声をかけた。


「だってぇ…………弱いボクにも優しかった人魚姫様が、

幽霊海賊達にさらわれちゃったんだもん。ボク、

何もできなくて…………」


「可哀想に…………」


 話を聞いたミューが同情していると…………


「明らかに魚人系かつ、NPCの彼が、俺達に襲い

かかるどころか身の内の話を相談している。つまり、

彼は大航海時代におけるクエスト受注トリガーだ!」


 クラフトが雰囲気そっちのけで推測したことを

提示した…………ので


「クラフト様、仕組みを理解したことが嬉しくても、

雰囲気を壊さないように伝えることが大事ですわよ」


 イシュタルに「空気読め(要約)」と伝えられて

しまった。


「そーだぞ、話聞いた後にでも伝えてくれりゃ

何も言われねぇ事だぜ」

「今は緊急性も無いじゃん」


 クラスメイトの2人にまで文句をつけられた。


「ははは…………まーな」


「で、俺達に助けて欲しいって事か?」

「はい…………相手はかつて、海賊でありながら、

拷問などの手段を最小限に抑えながらも、同時期の

海賊で最も成り上がった海賊…………サミュエル・

ベラミーです!」


「サミュエル…………」

「ベラミー?」


 アレウスの海賊知識はかなり中途半端なため、

全く知識無しのミューと共に、首をかしげた。


「魚人のボクが言っていたような穏健派の海賊よ。

彼の船上では完全民主主義が執り行われ、船員の

1人は10歳にも満たない少年だったと言われて

いるわ。物知りなのね、ボク」

「エヘヘ…………人魚達は人間の事情にも精通して

いるので、ボクも教えて頂きました」


 イシュタルに撫でられ、魚人の少年は照れている

ようだ。


「NPCなのに、まるで書物で読んだような知識だな。

設定と言い、つくづくこのゲームの作り込みには

感心するな…………」

「「そこ、世界観ぶっ壊さない!」」


 クラフトはクラフトなりにゲームを楽しんで

いるのだが、今回ばかりは他3人の楽しみを

壊してしまっているようだ。


「けど、嵐か海上戦で沈没してからは、海の

生き物相手に好き勝手するクズに落ちぶれ

たんだな」

「死んでからの行いも大切なのね」

「私、この子を助けたいわ!」

「ああ、人魚姫を一目見てみたいしな!」

「そういうわけで、俺達はお前を助ける腹積もりだ」


 アレウス達の意見は同じだった。


「皆さん…………ありがとうございます!

名乗り遅れましたが、ボクはブルーと

いいます」


「俺はアレウス、そこの人間3人がそれぞれ

ミュー、イシュタル、クラフトで、モンスター

4人がウィント、スパロウ、ウッディ、

フラッシュだぜ。8人で人魚姫は救いだしてやる

から安心しろ!」


「あ、ありがとうございます…………。ベラミーの

船はあちらの崖の底にあります。どうか皆様と

人魚姫様のお顔を見れることをお祈りします!」


 行き先を教えられ、お祈りもされたので


「じゃ、行ってくるぜ!」


 アレウス達はベラミーの船へと向かった。


「マッターー!」


 突如響き渡ったスパロウの声に、全員が注目した。


「ブルーだっタッケ?」

「は、はい…………」


 量頬を膨らませたスパロウが、ブルーの目の前

まで近づいた。


「キミ、人魚ヒメ助けに行けナクテ、悔しくナイノ!?」

「く、悔しいですよ…………!! でも、ボクじゃあ

ベラミー達には敵いません!」


 その言葉に


「デモ、今は私タチが居る! だから、ブルーも

一緒にイコ!」


 ブルーの同行を強く進言したのだった。


「…………そーだな、ブルー、もしお前自身の手で

救出したい気持ちがあるなら、同行を許可するぜ」


 アレウスも快く同行許可の姿勢を見せている。


「ど、同行させてください!」


「OK。じゃ、行こうぜ!」


 皆が泳ぎ始めた。


「さ、私にツイテ来るn…ンニャア!?」


 ブルーを引っ張り、ガンガン先導しようとした

スパロウだったが、逆に引き連れられて動揺した。


「皆さん! 奴らはこちらに居ます! くれぐれも

奇襲に注意しながら着いてきてください!」


 銛を片手にスパロウの腕を引くブルーは勇気と

責任感に満ちた顔になっていた。


「それでこそ男だー!」

「ンニャア!? アレウスマデー!」


 アレウスもスパロウの腕を引きながら先導し

始めたので、スパロウは更に動揺した。


「アレウスー、ブルー、俺達を置いていくなよー!」


 比較的遊泳速度が高いウッディとフラッシュ、

そしてフラッシュにしがみついているウィントは

ともかく、人間3人は速くないので置いてかれて

しまっている。


~沈没船の入り口~


「へぇ、50隻位あっただけあって、船の残骸が

山のようだぜ」


 サミュエル・ベラミーはかつて、嵐に沈められる

前までは50隻以上の船団を構えていた。それらが

積み重なって出来た残骸は、大質量だ。


「お気をつけ下さい、穏健派といえど大海賊。

戦闘力は侮れない筈です」

「へーきへーき! こっちには鮫相手に力で勝る

テイマーに、ドラゴンも瞬殺する火力のハイ

プリーストが居るもの!」


 強大な敵を前に、不安がるブルーをミューが

安心させようとした。


「俺は!?」


 クラフトが紹介されなかったことを突っ込む。


「あー…………潜水艦の1つや2つ作ってたら

何か紹介したけど…………今回は無し!」

「トホホ…………」


 屈託無い笑顔で返され、残念そうにため息を

つくしかなかった。


「ま、何でも良いけど入ろうぜ」


 ズカズカと船内に入った。


「ん!?」

「え!?」

「まぁ!?」

「これって…………!!」


 人間4人は驚き、クラフトはいち早く

酸素マスクを外した。


「「「「息が…………できるっ!!」」」」


 まぁ、SAFでは窒息ダメージを負おうが

息苦しさは無い。しかし、それでも海底で

呼吸できることは、4人にとって感動的

だったのだ。


「フニャッ!」

「パクパク」


 逆に、完全に空気に包まれている環境に出たことで、

泳げなくなったフラッシュは、ウィントに背負われた。


「!、アレウス、前!」


 スパロウが何かの振動をキャッチしたので、

アレウスに伝えた。


「…………ベラミーの手下が向こうに居やがるなぁ。

となると、とるべき行動は1つ!!」

『ダアァァン!!!!』


 強力無比な踏み込みにより、轟音と共に

アレウスの身体は超加速した。


「待ってよ!?」


 ミュー達も走り出すが、アレウスとの距離は

離れていく一方だ。それは速度特化と評しても

良い、ウッディ以外のモンスターズも同様だ。


「ベラミィィィーーーーーー!!」


「え? 赤いピューマ!?」

 

 船員は、急接近するアレウスを見て、ピューマと

勘違いした。


「どっせぇぇええええい!!」

「ガハッ……」


 アレウスの飛び蹴りにより、後で「チーン」

という効果音が似合いそうなやられ方をしながら、

そのまま扉へと衝突した。


「ベラミーーーー!! 居るのか!!」


 宴会を行っていた海賊達の真ん前で、叫びを

上げた。


「よぉよぉ、随分荒れ狂うお客さんだなぁ」


 肩まで伸びた金髪と、整った容姿の男が反応した。


「待ってくれよ、アレウス」


 ウィント達に続き、クラフト達も宴会場に

入場した。そしてアレウス含む彼らは一斉に

叫んだ。


「「「「レイルさん!?」」」」


 そう、船長らしき男の容姿はあまりにも

レイルにそっくりだったのだ。


「いや、俺はベラミーだが…………」

「あーーーーー! 人魚姫様ーーーーーー!!」


 ブルーも無事に人魚姫を発見し、叫びを上げた。


「あら、ブルー。久しぶりね。ベラミー様、

彼は幼馴染みのブルーです」


 そう言った人魚姫は


「チュッ」


 ベラミーの頬にキスをしたのだった…………。

読んでくださりありがとうございます。

これからケーキと焼き鳥を自作します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ