表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/57

53.


公爵夫人襲来事件から、一週間後。

私は、父の執務室に来ていた。

何故だが、既視感を感じる。


目の前の父は、不機嫌で椅子に座っている。

何かあったのだろう。


「セレン、すまないが、聖ロベスタ公国に行ってほしい。」


行ってほしくなさそうな声で、父が言う。


「何かありましたか?」


「神殿が痺れを切らした。大神殿で聖女に会わないのなら、治癒魔術師の派遣を止めると。」


「脅し、ですか。」


「ああ。だが、奴らは、本気でやりかねん。」


「わかりました。」


「すまないな。」


父も国も、抵抗はしたのだろう。

ただ神殿の方が、強かっただけの話。

一人の民を守るために、その他大勢の民を犠牲にはできないだろう。

だが、時にはそれも必要だと、彼らは知らないだけ。


私からの印象が悪くなる。

ただ、それだけだ。




ーーーーー


今回公国に行くのは、ルオンダークに着いて来てくれた随行員の人間たち。

見知った方がいいと言う判断だ。


そして、留学中の聖女候補と聖騎士候補、後見人の大司教が同行する。

聖女候補は、私を大神殿に招けると聞いて、純粋に喜んでいた。

聖騎士候補と大司教は、関わったことがないし関わらないでいい。


聖ロベスタ公国は、ルオンダーク皇国の隣国で、王国と一つ国を挟んだ先にある。

ルオンダーク皇国に行った時よりも、少しだけ移動時間が短い。


唯一神クロトアを崇め、各国に手足とも言える神殿を持つ、ある意味、世界で一番権力がある国だ。

聖騎士という最高戦力と、信者という名の戦力を併せ持っている。

また、治癒魔法師を独占している国でもある。

当代最高の治癒魔法師を大聖女、それにつぐ、二番手から五番手を聖女と称している。


公国や神殿は知らないだろうが、現状、(女神)と敵対関係にあると言っていい。


今回の訪問は、敵情視察としていい機会だと思う。

滞在中にできるだけの情報を集めよう。

もしかすると、もう二度と来ないかもしれないから。



馬車の移動中は、聖女候補が色々と話をしてくれたので、退屈はしなかった。

だが、彼女の話は何というか、絵本の世界というか、夢物語を聞いている感覚に陥る。

彼女はきっと、綺麗な世界しか見てこなかったのだろう。

そして純粋ゆえに、何の疑いもなく、あるがままに正しい事として吸収して来たのだろう。


彼女を見て、洗脳、と言う言葉が頭をよぎったのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ