電脳世界の王
「はあっ・・・はあっ・・・」
四方八方から銃声が聞こえる。
今までに何回死んだかわからない。
絶対向いてないよこれ・・・
僕、『月島 良太』は友達に誘われ、俗に『FPS』と呼ばれているジャンルのVRMMOゲームの大人気タイトル、『military affairs』をつい数分前に始めたのだが、案の定、死にまくっている。
「おい!ryo!いくぞ!」
「早くしないと置いてっちゃうよ!」
そう僕に声を掛けるのは僕の友達、「朝比奈祐也」と僕の幼馴染の「水野ひより」。
プレイヤーネームはそれぞれ「sunset」と「hina」である。
オンラインゲームでは、リアルの話はしないのが原則らしく、僕たちはゲーム内ではプレイヤーネームで呼び合うことになっている。
しかし、僕は自分の名前すら覚えておらず、二人の呼び掛けに応じるのが少し遅れてしまった。
その瞬間背後に現れた敵に背中を何発か打たれ、死亡。
ほんと向いてないよこのゲーム。
スコアボードを見てみると、
倒した敵が 0
死んだ回数が30
たった数分の間にこんなに殺されるとは。
本日30回目、拠点で復活すると、モニターに若い男が映るのと同時に、大きな音であるアナウンスが流れた。
『やあやあ君たち!このゲーム、楽しんでるかい!』
それはこの場にはとても似合わないテンションの声で皆に問うた。
『銃、ぶっ放すのをやめて、ちょっと聞いて欲しいんだけどいい?』
アナウンスは僕らプレイヤーに聴衆になるように要求する。
だが、それに従わずまだ続ける者がいるようで、銃声はまだ止まない。
『だからさあ〜、やめろっつってんだろ?』
その言葉がフィールド全体に響き渡った瞬間、何発かの銃声がし、止まなかった銃声がぴたりと止んだ。
何が起こったのかと気になり、恐る恐る、数発の銃弾の一つが着弾した地点へと向かった。
たどり着いた地点には頭を撃ち抜かれ、復活しないまま血を流し倒れている30代ぐらいの男がいた。
なぜ復活しないのか、その答えはアナウンスによってすぐに明らかにされた。
『あのねぇ、このゲームのトップランカーの僕に逆らったらこうなるの分かるでしょ? 頭使いなよ!
ほんとバカだねぇ。命を粗末にしちゃってさ。』
呑気な声でこう続けた。
『さて、本題。
今からこのゲームはデスゲームと化しましたー!
さっきの奴らみたいに、今からこのゲームで死んだ
ら、現実でも死ぬようになったからね?』
場は一瞬にして凍りついた。
『そろそろ、このゲームも飽きてきたからさ、面白くしようと思ってさ!
運営のサーバー、ハッキングして、乗っ取って、こんな仕様にしてみたんだ。
今からは「僕一人対君たち全員」の勝負にするの。
もちろん君たち同士でも殺しあってもらうけどね。
僕はこの広大なオープンワールドの中動き回って君たちを殺して、全員を殺せたら勝ち。君たちは僕を殺せたら勝ち。
かなりいいハンデでしょ?』
なんなんだこいつは・・・
『あ、君たちの持つ資源は、全部消しといたからね。
資源はプレイヤーを殺せば手に入る仕様にしたよ。
つまり、互いに殺し合わないと、生きてけないってわけ。
じゃ、楽しみにしてるよー!
頑張ってー!』
全プレイヤーに挑戦したその男は目の前の一番高いビルの屋上にいたようで、ヘリに乗り、遠くには消えていった。
「なんだよ・・・それ・・・」
そのサーバーに参加していたプレイヤー、約5000人はあっけにとられると同時に、恐怖に怯えていた。
僕は確実にそれ以上の恐怖に襲われていた。




