おまけ いつかの風景
天高く空は晴れ、爽やかな風が吹き渡る。丘の上に色とりどりの花が咲き乱れるのどかな風景。
首都郊外の丘の上にある孤児院に向かって延びる道を、その風景に少々馴染まない二人の青年が歩いていた。
動きやすそうだが丈夫そうな綿のズボンにシャツ。捲り上げたシャツから出た腕はしなやかな筋肉に覆われている。そして若葉色の目の青年の方は一対の、東方では小太刀と呼ばれる刀を腰に差していた。
「なんか久しぶりだよな~。ノアさん元気かな~」
「おい、ノアに手ぇ出すなよ」
「えぇ~~。久しぶりなんだから、抱きつくくらいいいでしょ?」
「だめだ」
「けち~~。じゃあ手を・・・」
「だめだ。お前なんかがノアに触れたらノアが汚れる」
「えぇ~~!仮にも俺はお前の相棒だろ?そんなこと言うなよ~」
「よ・ご・れ・る!!」
「ちぇ~、誰がお前の休みをもぎ取ってやったと思ってるんだよ~」
「ルカ」
「俺がルカさんに将軍を説得してくれって頼んだんだぞ~」
「・・・」
「もう半年も帰ってなかったじゃないか」
「・・・」
「いくら仕事だからってなぁ。真面目過ぎんの!ノアさんだって心配してたし」
「・・・---」
「ん?何だって?」
「・・・ありがとう!これでいいか!?」
「どういたしまして。まぁ、俺もノアさんに会いたかったし~」
「感謝はしてるが、それとこれとは別だっ!」
「えぇ~~」
あれから8年が過ぎた。差し出された手を握った先にあったものは温かい家族。
今はもう世界に二人だけだなんて思わない。帰る場所はここだ。
孤児院からこちらを見つけて走ってくる子供たちを目を細めて見ながら、ロウは口元に満足げな微笑みを浮かべた。
読んで下さってありがとうございました。
アルカーク商会は裏設定をいくつも考えているので、いつか御披露目できたらいいな、と考えています。
これにて終幕です。




