87.わたしの入院生活⑦
ゆりとみほが、わたしのいる病室を出た後、
わたしは、入院している間に、自分の居場所が少しずつ無くなって来ていることに気付いた。
ゆりもみほも、小学校の頃からの同級生だ。
だから分かる。
2人とも勉強が出来る。
中学の頃、ゆりはまり姉から勉強を教えてもらっていて、元々わたしより成績は良かった。
みほは、周りに気を向け過ぎている分、ゆりと比べると少し成績は低かった。
それでも、わたしが少し上だったという程度だ。
わたしは、もう3ヶ月以上まともに勉強していない。
今更、みんなに勉強で追いつける?
追いつけなかったら、どうなるの?
退院した後も、普段の勉強に加えて、次期当主として朝夕のお務めを行う。
本当に出来るの?
そんな事を考えていると、不安ばかりが浮かんでくる。
そもそも、わたしはいつ退院できるの?
関節すらまともに動かないんだよ。
ようやく状態を見ながらシャワーは出来るようになったけど、まだ自由とは程遠い。
声は出るけど、長時間話すことは出来ないし、違和感も今だに残っている。
あー、たまに来るなー。
この気持ちが沈み込む時……
沈むだけじゃなくて、浮上するのにも時間がかかるんだよなー。
だけど、
今、出来る事を精一杯やるだけ!
今のわたしは治療に専念する。
そうする事で早く良くなる。
早く良くなれば、早く学校へ行ける。
早く学校へ行けるようになれば、早く勉強にも追いつける。
だから、今は治療に専念だー!
……はあ。
みんな青春してるんだろうな。
あのあっくんでさえ、
まり姉、ありさ、まきと宜しくやってたわけだし……
そう言えば、この家の当主になったらどうなるの?
わたしは、じいちゃんが亡くなったら、自動的に繰り上がる状態だって言われてたけど、本当に大丈夫なのかな?
あっくんに聞いたら、
『やった事ないし、するつもりも無いから知らない』
って、当たり前の顔で言いそう。
ただ、お父さんが言ってた。
当主には凄い力があるって。
それは何?
どうすれば使えるようになるの?
デメリットは無いの?
同じ敷地に住んでいるのに、じいちゃんと絡まなさ過ぎて全然わかんない。
今度、お見舞いに来た時に、お父さんかあっくんに聞いてみようかな。
そう思いながら天井を見上げる。
静かな病室。
聞こえてくるのは機械の音だけ。
……また誰か、お見舞いに来てくれないかなー。
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