80.兄が見ている世界 —料理対決21—
みきが開こうとしている動画は、今朝のあれだと思った兄は、
『それは、俺が今朝、間違えて操作してしまったものなので、見ずに削除して欲しいです。』
と言った。
みきは、これは面白いものだと確信した顔になった。
スマホの持ち主のまきは、何なの? という顔をしている。
まき母が、
『もう制服のウエスト、限界まで大きくしたから、これ以上になったら買い直しだからね!』
と、まきへ言った。
まきは、
『はい。』
と返事をする。
まき母が続けて、
『最近、家でもよく食べてるし、成長期だから仕方ないけど、注意しなさい。』
と言った。
すると、みきがまきのスマホをまき母に見せながら、
『これが向こうでの食事だってー。
毎食二、三杯おかわりしてたってさー。』
『お泊まりしてのお手伝いも、今日みたいに作った料理の試食で、買い物の手伝いもお腹いっぱいで行ってなかったみたい。』
と、悪意のある告げ口をした。
その後、兄を見て、みきはニヤリと笑った。
みきは、
『姉ちゃん、この動画見ていい?
さっき、間違えて撮れたって聞いたけど。』
と言った。
まきは、
『いいよ。
内容はよく分からないけど……』
と答えた。
再生された。
『ガー、ゴー、ガー、ゴー……』
『起きて。』
『ブッ』
『プーーッ、ブッ!』
まきのいびき。
そして、起こされたときのオナラでの返事が二回。
まきは顔を真っ赤にした。
まき父とまき母は絶句している。
みきだけが大爆笑していた。
『姉ちゃん、最高ー!
面白すぎるーー!!』
『このいびきとオナラだけなら、オッサンじゃん!!』
みきが笑いながら、
『それじゃ、もう一回!』
と言った。
笑い過ぎて、お腹を押さえながらヒクヒクしている。
『ガー、ゴー、ガー、ゴー……』
『起きて。』
『ブッ』
『プーーッ、ブッ!』
みきは、
『きゃーははは……
何回見ても面白いー!
この動画、私、貰うねー』
と言った。
まきは怒って、みきからスマホを取り上げた。
『もう、この動画見るの禁止!』
と言った。
まき母は、目線を彷徨わせながら未開封のゴムの箱を見つけた。
もしかして、と思った顔をして、まきに耳打ちをする。
まきの返事を聞いて、安心した顔と納得した顔をした。
まきが、
『カツ丼とカレー、美味しかったでしょ?
私、お腹空いちゃった。
私も食べよ。』
と言った。
みきが、
『何で、姉ちゃんが作ったわけじゃないのに、姉ちゃんが自慢げなの?』
と言うと、
まきは、
『私がいっぱい試食した結果だから!』
と胸を張った。
まき父とまき母は、ため息をついた。
まき母が、
『私も食べようかな。』
と言い、
食べ始める。
兄は、それぞれの感想をメモしていくのであった。
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