1.プロローグ
大坂亜衣17歳、高校二年生。
わたしは兄より頭がいい。背も高い。
そして顔もいい……はず。
だって同級生や先輩から告白されたこともあるし、まだ誰とも付き合ったことはないけど、それなりにモテる方だとは思う。
家族は、県庁職員の父と、祖父母の手伝いをしている母。
特に父は、わたしに期待してくれている。
兄よりもわたしの方が優秀だから、『この家を継ぐなら兄ではなく、わたしの方がいい。』そんなふうに言われたこともあった。
住んでいる地域は、電車すら走っていない『ど田舎』だ。
だからなのか、わたしには特別な夢も、やりたいこともない。
知らない土地へ行きたいとも、あまり思わなかった。
…とはいえ、大学に進学したらその期間は、都会には出たいと思っている。
髪を染めて、ピアスを開けて、勉強以外のこともたくさんしてみたい。
これが、わたしの兄…
大坂篤志17歳、高校三年生。
第一印象は、とにかくチビ。
兄の身長は158センチ。162センチあるわたしより低い。
最近は成長期だからか、少しずつ身長差が縮まってきているけれど。
通っている高校も、偏差値45くらいの工業高校。
偏差値65の進学校に通うわたしの方が、当然頭もいい。
うちは、祖父母が母屋、わたしたち家族が離れで暮らしている。
兄は毎朝、五時前には起きて母屋へ行き、仏壇に手を合わせる。
雨の日は行っていないみたいだけど、その後は墓へ行き、供え花を替え、水を替え、簡単な掃除や草取りまでしているらしい。
古くから続く家らしく、墓石だけでも四つ並んでいる。
少し放っておくだけで、夏場はすぐ草だらけになるそうだ。
ちなみに、わたしはしていない。
朝は弱いし、授業についていくだけでも精一杯だから。
夜遅くまで予習復習をしないと、進学校の授業にはついていけない。
でも日焼け止めはちゃんと塗るし、リップの手入れくらいはしている。
勉強優先とはいえ、その辺りは大事だ。
兄は学校へ行く前に墓参りをし、学校帰りにもまた墓へ寄って手を合わせてから帰宅する。
わたしは学校が終われば、そのまま帰宅。
…と言っても、兄もわたしも高校まではバスで片道一時間かかる。
授業で分からなかったところを先生に聞いたり、補習を受けたりしていれば、寄り道をする時間なんて残らない。
夕飯を食べ、お風呂に入る時は兄が先だ。
「あいちゃん、入浴時間長いから〜」
以前そう言われて、
「お前はささっと頭と体を洗うだけだろうけど、女子は時間かかるんだよ!」
と言い返したこともある。
けれど、結局いまはこの順番で落ち着いている。
その後、兄はまた母屋へ行き、仏壇に手を合わせてから離れへ戻って寝る。
兄の部屋は二十一時頃には電気が消えている。
一方のわたしは、化粧水と乳液をつけ、軽くストレッチをしてから勉強を始める。
寝るのはいつも深夜零時から一時くらい。
顔を洗い、もう一度化粧水と乳液をつけてから眠りにつく。
そんな何気ない日々を、わたしは送っていた。
―少なくとも、あの日までは。
恥ずかしいですが、初めて投稿してみました。
拙い文章ですが、ご感想など頂けたら嬉しく思いますので、軽い気持ちで宜しくお願いします。




