↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神に抗いし者  作者: あbc
第一部 孤独な少年と能力
PR
15/40

第十五話 血を継ぐもの

放課後、


神聖能力学園。


教室には、まだ何人かの生徒が残っていた。


「マイル、今日どうする?」


光が振り返る。


「今日は訓練場に行こうかな」


「また?」


「うん。昨日の戦いで、まだまだ自分の能力を使いこなせてないって思ったから」


蓮が立ち上がる。


「なら俺も行く」


「私も!」


「……私も参加します」


信徒も続く。


「よし、4人で行こう!」


⸻


訓練場、


四人はそれぞれ準備をしていた。


「今日は能力の連携を試そう」


蓮が言う。


「俺が重力操作で相手の動きを制限する」


「光が援護」


「信徒が相手の能力を無効化」


「そしてマイルが攻撃」


「昨日と同じだね」


光が言う。


「だが、今日は条件を変える」


蓮が続ける。


「マイルは途中で一度だけ能力変更をしていい」


「……!」


マイルが反応する。


「いいの?」


「ああ」


「能力変更には頭痛があるんだろ?」


「うん」


「それも含めて訓練だ」


マイルは少し考える。


能力変更。


その瞬間から、今使っていた能力は7日間使えなくなる。


だからこそ。


変更するタイミングが重要になる。


「分かった」


訓練開始。


標的として、二体のゴーレムが出現する。


「二体!?」


光が驚く。


「想定より多いな」


蓮が構える。


「予定変更だ」


一体目が突進してくる。


「重力操作!」


ズンッ!!


ゴーレムの動きが鈍る。


マイルが走る。


現在の能力は――


身体強化。


「はあっ!」


拳を叩き込む。


しかし、


ゴーレムは倒れない。


「硬い……!」


もう一体が横から迫る。


「マイル!」


光が叫ぶ。


マイルは後ろへ飛ぶ。


(このまま身体強化で戦う?)


しかし、二体同時では厳しい。


(結界生成なら……)


マイルは能力を変更する。


「……っ!!」


激しい頭痛。


視界が歪む。


「マイル!」


光が駆け寄ろうとする。


「来ないで!」


マイルは片膝をつきながら耐える。


「……大丈夫」


数秒後、


「結界生成」


巨大な結界が展開される。


一体目の攻撃を防ぐ。


二体目の攻撃も防ぐ。


「今だ!」


蓮が重力を集中させる。


二体のゴーレムが地面へ押し付けられる。


信徒が一体へ触れる。


「能力無効化」


一体の動きが止まる。


「マイル!」


「分かってる!」


マイルは結界を変形させる。


ゴーレムの動きを封じる。


ドォン!!


蓮が攻撃。


一体目が破壊される。


残った一体。


マイルは結界を解除する。


「これで最後!」


蓮と光の援護。


信徒の能力無効化。


最後の一撃。


ドォン!!


二体目も崩れ落ちた。


「……終わった」


マイルは息を吐く。


光が駆け寄る。


「大丈夫?」


「うん」


「さっきの頭痛、かなり辛そうだったけど……」


「能力を変更すると、どうしてもね」


蓮がマイルを見る。


「ところで」


「何?」


「今、身体強化はもう使えないんだよな?」


「うん」


マイルは頷く。


「さっき変更したから、ここから7日間は身体強化を再取得できない」


「つまり、今後7日間は結界生成を中心に戦うことになる」


「そういうこと」


蓮は少し考える。


「なら、その期間を利用しよう」


「え?」


「結界生成を徹底的に鍛える」


マイルが笑う。


「なるほど」


光も笑う。


「じゃあ明日から結界の特訓だね!」


「……」


信徒は三人を見る。


能力には制限がある。


だが、


この3人は、その制限を弱点として扱うのではなく。


新しい戦い方を考える材料にしている。


信徒はその考え方を理解し始めていた。


____


翌日、


教室。


「マイル、昨日の訓練どうだった?」


クラスメイトが聞いてくる。


「結構きつかったよ」


「身体強化って強いんだろ?」


「まあ、それなりに」


「一回見せてくれよ!」


マイルは少し笑う。


「今は無理」


「なんで?」


「昨日、別の能力に変更したから」


「へえ」


クラスメイトはそれ以上気にしない。


能力は隠すものではない。


それが、この学園では当たり前だった。


ただ、


マイルだけは、


一つだけ。


絶対に口にできない能力がある。


「神に抗いし者」


⸻


昼休み、


光と蓮と信徒と一緒に昼食を食べる。


「今度の休日、遊園地どうする?」


光が聞く。


「俺は行ける」


蓮が答える。


「私も!」


マイルも頷く。


「もちろん」


光が信徒を見る。


「信徒くんは?」


「……」


信徒は少し考える。


「行きます」


「やった!」


信徒は小さく笑った。


その姿を、


教室の外から一人の教師が見ていた。


⸻


その夜、


神殿。


信徒は神の前に立つ。


「報告します」


「マイルは昨日、身体強化から結界生成へ能力を変更しました」


「その後、身体強化は7日間再取得できない状態です」


神は頷く。


「そして?」


「友人たちと日常的に行動しています」


「以前より、周囲との関係が深くなっています」


神は静かに言う。


「それでいい」


「……?」


信徒は顔を上げる。


「人間は、守りたいものが増えるほど強くなる」


「そして同時に」


神の目が鋭くなる。


「弱くもなる」


信徒は黙って聞いていた。


「その少年の周囲にいる人間も観察し続けろ」


「はい」


信徒は頭を下げる。


まだ、


疑問はない。


神の命令だから。


⸻


一方――


学園から離れた場所。


一人の男が歩いていた。

(マイルに電話をかけた男。)


男は一枚の写真を取り出す。


そこには、


マイルの祖先と思われる男性。


そして、その隣には別の男性。


男はその写真を見つめる。


「……やっと見つけた」


「お前の血は、ちゃんと残っていたんだな」


男の名前。


上薔薇 朔夜。


マイルと同じ血筋を持つ男。


そして、


「神に抗いし者」の存在を知る一族の一人。


朔夜はマイルの写真を見る。


「まだ何も知らないか」


「それでいい」


「今はまだ――」


朔夜は写真をしまう。


「俺の存在を知らない方が、お前は安全だ」


その表情に敵意はない。


むしろ、


マイルを守ろうとする者の目だった。


しかし、


朔夜は知らない。


すでに神が、


自分の存在を把握していることを。


⸻


神殿


神が一人。


古い資料を見ている。


そこには、


⸻


「神に抗いし者」


⸻


そして、


その血筋についての記録。


神はページをめくる。


「……まだ生きていたか」


そこに書かれていた名前。


上薔薇 朔夜。


神は静かに笑う。


「父の血は」


「二つに分かれていた」


「マイル」


そして、


「朔夜」


神は資料を閉じる。


「だが」


「二人とも、私を止めることはできない。


⸻


その頃、


マイルは自室で眠っていた。


夢の中、


8歳の頃の記憶。


あの日、


初めて自分の中に存在する「何か」を知った。


あの時は、


ただ存在を知っただけだった。


力の使い方も。


本当の意味も。


何も知らなかった。


けれど今、


学園に入って、


能力を使い。


仲間と出会って。


少しずつ。


その力が目を覚まし始めている。


そして、


その奥深く。


まだ封印されたままの力が。


静かに、


目を開けようとしていた。

次回番外編

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。