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異世界最高のギルドをつくろう!〜手持ちのスキルが強力すぎて、気づいたら孤児院のQOLが最強になっちゃってるんですが〜  作者: さかなかさ
2章

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23話



同時刻、ギルド内にて。

入れ替え戦の日から、ハートは定期的にカロンに稽古や座学をつけてもらっていた。対価としてカロンが使う罠作りを手伝ったり、雑用などをこなしている。




「カロンさん、魔獣飼いってどんなジョブなんですか?」




「おいおい、なんだよ。早速浮気か?」




「いえ、そういうことではなくて…」





「迷宮探索で何回か魔獣飼いの方たちと一緒になったことがあるんですけど、召喚の仕組みとかは詳しく知らなくて。これからランク戦で戦うことになるから、いろんな情報を知っておきたいんです。」




「あー、あいつらは結構特殊でな…」



どう説明したものかと、カロンは少し悩むそぶりを見せた。



「魔獣を召喚するっていっても、本物を呼び出してるわけじゃない。魔獣の爪や魔石、各種器官を組み合わせた''召喚石''を媒介にして、魔力で模った人形みたいなもんを操ってるんだ。」




「召喚石…なるほど。」




「その起動には莫大な魔力と、実際の魔獣を観察して培う想像力が必要で…まぁ、割と感覚や才能頼りの職業だな。」



探索で一緒になった魔獣飼いの人たちは、みな召喚を行う際に目を瞑り集中していた。精神状態も召喚の質に関わってくるのだろうとハートは考察していた。



「じゃあやっぱり、レオナさんってほんとにすごい人なんですね…」



「あぁ。あいつはただの魔獣飼いじゃなくて、その中でも一握りの逸材だ。」




''震源地(スタンピード)"などという仰々しい二つ名がつくほど冒険者たちの間で注目されているレオナは、ギルド内ランク2位の強者だ。

ちなみに本人は二つ名については恥ずかしがっているため、たまにカロンやミリアに冷やかされている。



「他の方たちと何が違うんですか?」



「1番は召喚の量だな。魔獣ってのは召喚して終わりじゃなくて、そのあと動かすのにも脳のリソースが割かれる。普通は同時に1〜2体動かすのが限度だが…レオナは何十体と平気な顔して召喚できる。ありゃ一種の曲芸だな。」




「あー、あれってやっぱり異常なんだ…。」



ハートは、迷宮探索でレオナについていった時のことを思い出した。腰元の召喚石から何体もの魔獣を召喚すると、迷宮の魔獣はたちまち一掃されていた。




「そしてそれらを維持する魔力量、どんな魔獣だろうと召喚してみせる想像力、状況に応じて使い分ける判断力。ま、ギルド内ランク2位も納得の実力だ。」




(うーん、じゃあそれを上回ってランク1位を維持し続けるセリーシャさんは何者なのだろう…)




改めて耀晶会の人材の厚さを感じる。

謙虚にギルドメンバーを褒める目の前の人物も、罠仕掛けと陣地設営のスペシャリストで、冒険者の探索生還率向上に大きく貢献した人物だ。


ちなみにギルド内部には彼が仕掛けた監視の目と罠がひしめいており、外部の人間を案内するには細心の注意が必要である。



「そんなレオナさんとミリアさんが派遣された今回の探索って…」



「相当重要任務だろうな。少々きな臭いがな。」




「…?」




「国から直々の指名なんだよ、あの2人。まぁ、あいつらも危ねーのは承知の上だろうが。」



言って、カロンはいかんいかんと首を振った。ハートは疑問を顔に浮かべている。




「すまんな、ちと喋りすぎた。忘れてくれ。」




「大丈夫、なんですかね…」




「おお?心配してんのか?」




不安げな顔を浮かべるハートを見て、カロンはおかしそうに笑った。



そして、可愛い後輩を安心させるようにこう言った。




「あの2人が一緒に動いて、負ける未来が見えねーよ。」





・・・




「ミリア。この先の通路、行き止まりになってる。」




「…どうやら、追い詰められたみたいだね。なかなかどうして賢い奴だな。」




「紅蓮の迷宮」深部。背後には、ゆっくりと迫る来る黄色い光が煌々と通路に差していた。そして、それだけではない。



その光の当たる先には、大勢の魔獣がひしめいて、じわりじわりとこちら側に近づいてきていた。ゴブリンから大型の龍の魔獣まで多種多様なそれらは、皆一様に血走った目でこちらに視線を送っている。



そのどれもがここに至るまでの道の途中で、光に触れたダンジョン内の魔獣達だ。



魔獣が列をなして近づいてくる異様な光景に、さすがの王国兵達にも動揺が走る。




「そんな…」



「私たち、ここまでなのかな…」



新兵らしき若い女性がそう呟く。すると、そこにキースが口を挟んだ。



「君たちは王国兵として使命を全うするためにここに来たんだ。あの魔獣たちを倒し、国に貢献する。…くれぐれも、弱音を吐くな。」




そうして味方を鼓舞するキースの肩を、ミリアが叩いた。





「キース君。これからの作戦を説明するね。」



・・・



「あの光の正体を考察した結果なんだけど…恐らく、あれは魔獣ではなく、可視化された魔力波の一種だと思う。」




ミリアは、国軍の兵士たちとレオナの前に立ち、そう説明を始めた。




「もしあれがウイルスのような微細な魔物の集合体であれば、洗脳が完了するまでに魔獣によって差があるはずだ。だが見たところ、大型だろうと小型だろうと、あの魔力波に触れた瞬間に精神を乗っ取られていた。」



「なるほど…しかし、魔力波の一種ということであれば、我々で対策は可能です。」



キースが、着込んでいる鎧に手を触れながらそう言う。国軍の鎧は上等品で、「鑑定」など魔力波を介したスキルの干渉を拒絶する「魔力波妨害」(ジャミング)が刻み込まれているのだ。



「そう。国軍の方々も、そして当然我々も、魔力波妨害の刻まれた装備を着込んでいる。よって恐らくではあるが、あの魔力波の洗脳に抵抗、もしくは完全な遮断が可能な筈だ。」


そこまで言うと、私はキース君に頭を下げる。


「そこまで判断するのに時間がかかった。逃亡したのは安全策だったが、ここまで軍全体を追い詰めることとなってしまい申し訳ない。…私としても、今回冒険者に被害が出ていると聞きかなり焦っている部分があった。」


キースくんがはっと目を見開く。


「…いえ、あの場はまだ情報が足りていませんでした。正しい判断かと存じます。」



「…ありがとう、キース君。それで、だ。あの魔力波。あれには必ず発生源がある。それもーー」




そういうと、ミリアはレオナの方を向く。するとレオナは頷き、手に握った魔石に力を込めた。周囲の空間が光り輝き、大型の虎の魔獣が現れる。



「おお…」



「あれが噂の…」



現れた魔獣は周囲をくるりと見回すと、国軍の集団のの方に歩み寄り…突然、兵士の1人に、牙を剥いて襲いかかった。



「なっ……!?」



襲い掛かられたのは、先ほど叱責を受けた新米兵士だった。キースが驚きと怒りに満ちた声を上げる。



「一体何を………!!」




右腕を魔獣に噛みつかれたその女性兵士は、驚愕の表情を浮かべーー




そのまま、腕の一振りでレオナの魔獣を振り飛ばした。




その膂力は見た目からは想像がつかぬほどで、吹き飛ばされた魔獣はそのまま洞窟の壁に衝突する。

そしてズン、と大きな音がした後、再び光へと姿を変えた。





ーー目の前で起きた一瞬の出来事に国軍の全員が度肝を抜かれた。空間に静寂が満ちる。




兵士たちの視線が一身に集まる。四方からの注目を浴びた女兵士は、場にそぐわない気の抜けた表情で、ミリアの方を見つめた。




「いててて。…なんでわかっちゃったんですぅ?演技、クサすぎましたぁ?」




先ほどまでとは打って変わって、作ったような甘い声が洞窟に響く。周囲の兵士たちは態度の急変した女に驚き、別の生き物を見るかのような目で彼女を見つめている。





「…演技は見事なものだったよ。いや全く、騙されかけた。ただ少し爪が甘いかな。」




ミリアはキースの方を指差した。



「君以外の兵士の鎧に刻まれた魔力波妨害(ジャミング)が、一部の魔力波を通すよう書き換えられていた。」


道中で国軍兵士たちの鎧全てに鑑定を実施した。

するとその中で、目の前の女の鎧だけが魔力波妨害(ジャミング)を正しく発動し、その他な鎧は部分的に情報の取得が可能となっていたのだ。


「わぁ、さすがですぅ。ーーそれも『記憶の坩堝

』(アカシック・レコード)の能力ですかぁ?」




女兵士から発せられた聞きなれない言葉。それに、ミリアの顔がぴくりと動いた。




「君はーー何か知っているな。いいねぇ、どうやら当たりみたいだ。」




ミリアが前に出て、名乗りをあげた。




「改めて。"耀晶会"団長のミリアだ。君、名前は?」



女兵士は、唇の端をつり上げる。




「『戴審庁』末席、「誠実」のアルドローヴァ。…ま、覚える前に死んでくれ、ってやつですぅ。」



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