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異世界最高のギルドをつくろう!〜手持ちのスキルが強力すぎて、気づいたら孤児院のQOLが最強になっちゃってるんですが〜  作者: さかなかさ
1章

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2話

2話


朝から大声を出してみんなを叩き起こした私は、孤児院を運営している大人から呼び出しを喰らっていた。




「ミリア、お前昨日から様子が変だぞ。迷子になるわ大声で叫び回るわ...まぁ前から様子がおかしいガキだとは思ってたが。」




歳の頃は四十手前ほどだろうか、子供に対して散々な言い草のこの男はエバンズ先生と呼ばれていた。




先生と呼ばれる人物は他に数人いたが、私たちの寝床を担当しているのがこの無精髭を生やしたおっさんであった。




「ごめんなさいエバンズ先生、まだちょっと記憶が混乱してるみたいで」





「まぁ、元気だったらいいってこった。今日からはまたビシバシ働いてもらうからな。おう、もう戻れよ。朝飯食ったら楽しい労働の時間だ。」





そう言うと、エバンズ先生は手をひらひらと降って私を追い出した。





・・・




朝食は広い食堂で一堂に介して取るようだ。予想通りろくなものではなく、ボソボソとした黒いパンと味の薄いスープが食卓に並んだ。




食卓では偶然にも昨日私を最初に発見してくれた赤髪の少年、ーートニトくんと横並びになった。そこでひとまずこの世界や、魔法という概念について詳しく聞いてみることにした。




「魔法ーー要はスキルのことだよな。ミリア、ひょっとしてほんとに記憶が混乱してんのか。えっとな...」




やや困惑しながらも、トニトはスキルについて詳しく教えてくれた。




この世界には、生まれながらにスキルを持っている人々がいる。




彼らは体内にあるエネルギー、「魔力」を用いてスキルを発動し、普通の人間ではなし得ないような奇跡を起こすことができる。




スキルは遺伝的に伝わるものであり、所有者のほとんどは貴族や王族などの上流階級である。たまに一般人でもスキルを持つことはあるが、強力なスキルはやはり上流階級が持っていることが多い。




それゆえに突然変異的に強力なスキルを保持して生まれた一般人が貴族に成り上がることも珍しくない。





スキルとは貴族にとっては身分の保証であり、市井の人々にとっては生活を少し楽にする程度の存在でしかないとのことだった。




「炎のスキルや雷のスキルなんてのは大体貴族様しか持ってないよ。


孤児院でスキルを持ってるのはミリアも含めて4.5人くらいかな。まぁ俺も一応持ってんだけど...」



トニトのスキルは「鷹の目」と呼ばれるものらしい。





視界を普通の人より広い視野で見ることができ、また立体的な把握が行いやすくなるスキルだそうだ。




試しに、先ほど初めて発動させた私のスキル、「鑑定」をもう一度試してみる。




目に力を込めると神経の高まりを感じ、視界にトニトのステータスが表示された。





名:トニト 性別:男性 年齢:?


体力:7

筋力:6

魔力:2

敏捷:6


スキル:「鷹の目」





「わっ、急に鑑定使うなよ。なんかハズいだろ」




しまった。そうかこれ、瞳の色が変わるから他の人から見ても使っているかどうかバレバレなんだ。




「ごめんごめん」




慌てて視線を切ると空中に浮かんだ文字も消え、目に篭っていた熱が冷めていくのを感じる。




すると視線を逸らした先、トニトの数席後ろの方に見覚えのある金髪少女の姿が見えた。




昨日自分を散々叱りつけたセリーシャだ。周囲の子よりほっそりとしていて、少し背が高いので見つけやすい。




そんな彼女はどうにも様子がおかしい私を、遠目から心配そうに見守っている。




「お、セリーシャも心配してるみたいだな。」




トニトはこちらを見つめたままそう呟くと、ニコリと微笑んだ。




(って、さらっと鷹の目使ってるなこいつ…なるほど、なかなか便利なスキルだ。)




パッシブなのか、魔力を消費するものではないのだろうか。


トニトが年齢の割に落ち着いた雰囲気を纏っているのは、生来のスキルも影響しているのかもしれない。




ところで昨日の晩は、蛍祭りと呼ばれる収穫祭の日だったようだ。途中までみんなと一緒に祭りを楽しんでいた私が忽然と姿を消したあと、ナターシャは心配で各所を駆けずり回っていたらしい。




「そうそう、あいつもスキル持ちの1人だぜ。”土を好きな形に変える能力”だ。」




セリーシャのスキルは「陶芸家」で、孤児院で使う陶器を作ったり、子供たちに泥人形を作ってあげたりと、なんともまぁ家庭的なスキルであるそうだ。




自分の年齢も知らなかったが、私とトニトは11歳で、セリーシャはその二つ下らしい。




まだ9歳ということになるがすでに私より背が高い。将来モデルみたいになるんじゃなかろうか。




トニトからあらかた情報を仕入れたところで朝食の時間が終了した。




礼を言いその場を離れると、大人たちの指示に従い労働の時間が始まった。




・・・




普通の子どもは畑作りや清掃、洗濯などを行うが、スキル持ちの私の仕事は別にある。




「さ、出発すんぞー。もう迷子になんなよ。」




エバンズ先生に付いて孤児院から出発した私と他数名の子供達が連れてこられたのは、近くの林だった。




ざっと林を見渡した私はエバンズ先生に指定されたスポットで「鑑定」を発動する。



大量の植物の情報が文字となり視界に溢れる。




その中で、言われた通りの名前の薬草を見つけ出し、他の子供と手分けして掘り起こしていく。




これが、ミリアに与えられている仕事であった。

鑑定のスキルはスキルの中では割とポピュラーなもので持っている人間も多いが、その使い道は多岐に渡る。



役所では新生児のステータスを調べて親に伝えたり、また戦場では斥候として敵の戦力把握に役立てられる。



医者の診察や、果てはお宝の真贋を見極めるために用いられるなど、

この能力があれば少なくとも食い扶持に困ることはないだろう。



戦闘面でそれほど役に立つわけでないのは治安の悪そうなこの世界では不安であるが、情報というのは兎角あればあるだけ良いものだ。



少なくとも現状、右も左も、自分すら何者か分からない私のような人間にとっては。



この日は陽が落ちるまで薬草探しが続き、「鑑定」の使いすぎでじんじんした頭のまま孤児院に戻った。





・・・



(一旦状況を整理しよう)




夜。目まぐるしい1日が終わり、大きな相部屋に並ぶ簡素なベットの一つに寝転がった私は、他の子供達の寝息に埋もれながら現状を立ちかえることにした。




(まず、私は生まれ変わった。いや、転生したというべきか)




昨日以前のこの体の記憶はまるで思い出せない。

前の持ち主には申し訳ないが、私はこれからこの体で、孤児のミリアとして生きていくことになる。




(前世の私は死んでしまったのだろうか)




最後の記憶は暗い部屋でネットサーフィンをしながら寝落ちしたところで終わっており、ひょっとするとそのあとなんらかの原因で、意識が戻らぬまま息を引き取ったのかもしれない。




(蛍の館って言ったっけ、あの自作ブログ)




中学生の時に作った個人ブログを10数年ぶりに発掘し、懐かしさと当時の自分の文体のキツさに身悶えしたところまでは覚えているのだが...



「うーわきっつ!」




ベッドの上で思わず体を震わす。

思い出したくない過去が多すぎるな、私。




ともあれ、今の私は天才美少女孤児ミリアちゃんだ。


不思議とこの訳のわからぬ現象をすんなり受け入れてしまっている自分がいる。なぜだろうか。




まぁとりあえず衣食住は揃っているし、鑑定スキルのおかげで野垂れ死ぬことはないということがわかって安心した。



であれば、前世のように職場の人間関係や仕事の悩みとは無縁の環境であるこの場所は、それほど悪いところではないのかもしれない。




(つっても衛生環境はお世辞にも良くないし、飯も不味いから、ひとまずの目標はその辺含めQOLの向上としよう!)





あまりに楽観的な思考ではあるが、こんなポジティブシンキングは前世の私の得意とするところではない。




ガラリと変わった環境が逆に、今までの鬱屈とした人間関係や社会で生きる辛さ全てを打ち壊してくれた様に感じているのだろうと、ふと思った。





(...そうだ、まずは自分のスキルについてもう少し色々試してみよう)





とりあえず自分の腕を見ながら、「鑑定」を発動させる。1日使ってクタクタの能みそと瞳に、再び熱が籠るような感覚がする。




脈拍:63




すると、朝見たのとは違った情報が現れた。




(ん、なんでだ?見る場所が変わったからか?てか脈拍までわかるんかこれ、すごいな。)




医者の診察に用いられるのも納得だ。

それより、今は表記の違いがなぜ起きているかを調べる必要がある。




視線を次は自分のお腹に向け、再び「鑑定」を発動させる。




胃腸:正常。

身体:痩せ




(おお、やっぱり見る場所ごとに違う情報が手に入るっぽいな。じゃあ、次は...)





色々と試しているとふと全身に脱力を感じ、意識が重くなってくるのを感じる。





(あー、魔力切れかな?)





そうして自分のスキルの可能性に思いを馳せながら、私の意識は深い闇の底へと落ちていった。



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