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#054 : 新しい日常

 


「みんな、ただいまー!」


 カレンは、いつもの配信部屋で、元気な声でリスナーに挨拶した。配信画面に映るカレンのアバターは、以前にも増して明るく、輝いていた。その隣には、美咲が、落ち着いた笑顔で座っている。


「えー、今日は、皆さんに大切なお知らせがあります!」


 カレンはそう言って、美咲の方を見た。美咲は、カレンの手を優しく握り、そっと頷いた。


「実は、美咲と私……一緒に住むことになりました!」


 カレンがそう発表すると、コメント欄は驚きと祝福の声で埋め尽くされた。


「Wow, congrats!」

  (うわ、おめでとう!)


「ついに同居するんだね!」


「So happy for you!」

  (最高かよ!)


「あれ、涙が、ポロポロ(>人<;)」


「はい! 私たちは、お互いの家を行き来していたんですけど、これからは、ずっと一緒です!」


 カレンはそう言って、美咲の手を握った。美咲も、カレンの手をぎゅっと握り返した。


「これからは、二人の日常も、もっとたくさん、みんなに届けられると思います。これからも、私たちを温かく見守ってくれると嬉しいです!」


 二人の発表に、リスナーは温かいコメントで応えてくれた。


「I'm so excited for this!」

  (最高のニュースだよ!)


「You guys are the cutest!」

  (二人とも可愛すぎる!)


「てぇてぇ過ぎて鼻血が、」


「I'll always support you!」

 (これからも応援してます!)


 配信は、祝福ムードに包まれ、大盛況のうちに幕を閉じた。


 同居生活は、美咲が想像していたよりも、ずっと温かく、楽しいものだった。


 朝、美咲が目を覚ますと、隣のベッドで、カレンがスヤスヤと眠っている。美咲は、カレンを起こさないように、そっとベッドから抜け出し、朝食の準備に取り掛かった。


 温かい味噌汁と、焼き魚の香りが、部屋中に広がる。美咲は、カレンを起こしに部屋に入ると、その柔らかな髪を優しく撫でた。


「カレン、朝だよ」


 美咲がそう声をかけると、カレンは、んー、と小さくうめいて、美咲の手に、そっと自分の頬をこすりつけた。


 美咲は、その何気ない仕草に、愛おしさを感じた。


「もう……起きないと、朝ご飯、冷めちゃうよ」


 美咲がそう言うと、カレンは、ゆっくりと目を開けた。眠たそうな瞳で、美咲を見つめる。


「ん……美咲……」


 カレンは、そうつぶやき、美咲の手を握った。


 朝食中も、二人の間には、温かい空気が流れていた。カレンが、ぼんやりと箸を動かしていると、美咲が、カレンの髪を優しく整え、顔についた寝癖を直してくれた。


「ほら、これでよし」


 美咲がそう言うと、カレンは、少しだけ照れたように笑った。


「ありがとう、美咲」


 二人の間には、言葉は必要なかった。ただ、そばにいるだけで、お互いの心が通じ合っているのが分かった。


 配信中も、二人の特別な距離感は、変わらなかった。


 カレンが一人で配信をしているとき、美咲は、隣の部屋で、自分の配信の準備をしていた。だが、カレンが少しでも困っている様子だと、美咲はすぐに気づき、カレンの部屋に入っていく。


 カレンが、ゲームの謎解きで立ち往生していると、美咲は、そっとカレンの肩に頭を乗せ、画面を一緒に見つめた。


「そこ、こうしたらいいんじゃない?」


 美咲がそう言うと、カレンは、美咲のヒントで、謎を解くことができた。


「美咲! すごい!」


 カレンはそう言って、美咲の方を向くと、二人は顔を見合わせて、クスリと笑った。


 リスナーからは、その様子が見えない。だが、カレンは、美咲の温かさを感じて、心が満たされていくのを感じた。


 ある日、カレンが一人で配信をしていると、コメント欄に、おなじみの言葉が流れてきた。


「美咲ちゃんいる?」

「美咲さんの配信じゃないのに、つい聞いちゃう」

「もう一人の相方はどこ?」

「Call her!」

  (美咲ちゃん呼んでー!)


 カレンは、そのコメントを見て、クスリと笑った。


「美咲はね、今、お菓子作りしてるんだ。なんか、クッキーを焼いてるみたい」


 カレンがそう言うと、コメント欄はさらに盛り上がる。


「Cookies! So cute!」

  (クッキー!可愛すぎる!)


「Call her!」

  (呼んで!呼んで!)


「美咲、ちょっと来てくれない?」


 カレンがそう声をかけると、数秒後、美咲がひょっこりと顔を出した。


「なぁに、?」


 美咲は、エプロンをつけたまま、カレンの隣に座った。


「クッキー焼いてるんでしょ? みんなが見たいって」


 カレンがそう言うと、美咲は、少しだけ照れたように微笑んだ。


「うん、焼いてるよ。今、ちょうどオーブンから出したところ。いる?」


 美咲がそう言うと、カレンは「いる!」と元気な声で答えた。


「じゃあ、持ってくるね」


 美咲はそう言って、画面から消えた。カレンは、美咲が戻ってくるのを、満面の笑顔で待っていた。


 数秒後、美咲が、焼き立てのクッキーを乗せたお皿を持って、戻ってきた。


「はい、どうぞ」


 美咲がそう言って、カレンにクッキーを差し出した。


 カレンは、クッキーを一口食べると、「んー! 美味しい!」と、子供のように喜んだ。


「さすが、美咲! 天才!」


 カレンがそう言うと、美咲は、嬉しそうに笑った。


 リスナーは、そんな二人の様子を、温かく見守っていた。


「This is too much teetee!」

  (てぇてぇがすぎる!)


「Their chemistry is just the best!」

  (二人の相性、最高だ!)


「This is what I wanted to see!」

  (これが見たかったんだよ!)


「I'll watch every day from now on!」

  (毎日配信してくれー!)


 二人の同居生活は、ファンにとっても、最高の「てぇてぇ」コンテンツだった。それは、特別な何かを演じることではなく、ただ、二人が自然体で、一緒にいるだけで、多くの人に、癒しと感動を与えていた。


 配信を終えた後、二人は、ソファに座り、夜空を眺めていた。


 カレンは、美咲の膝に頭を乗せ、今日の出来事を話した。


「今日ね、リスナーさんが、『ローズちゃん、最近すごく楽しそう!』って言ってくれたんだ」


 カレンがそう言うと、美咲は、優しくカレンの髪を梳かしながら、頷いた。


「よかったね、カレン」


「うん。でも、それは、美咲のおかげなんだよ」


 カレンはそう言って、美咲の膝に顔をうずめた。


「あの時、美咲が、私を助けてくれなかったら、きっと私は、今もゲームを楽しむことをやめたまま、苦しんでいたと思う」


 美咲は、何も言わなかった。ただ、カレンの髪を優しく梳かし続けた。


「ねえ、カレン……私は、美咲が、いてくれて、本当に幸せだよ」


 カレンがそう言うと、美咲は、そっとカレンの頭を抱きしめた。


「私もだよ、カレン。カレンが、隣にいてくれて、本当に幸せ」


 二人の間には、温かい空気が流れていた。それは、恋愛でも、友情でもない、もっと深く、温かいものだった。


 二人は、一人では生きていけないことを知っていた。そして、二人が、お互いの存在を、かけがえのないものとして、心から受け入れた。


 美咲は、カレンの髪を梳かしながら、そっと口を開いた。


「私たちは、一人じゃない。二人で、一つの家族だよ」


 美咲の言葉に、カレンは、静かに頷いた。


 二人のVtuberとしての物語は、これからも、ずっと、続いていく。

読んでくれてありがとうございます。

てぇてぇ過ぎて、鼻血が、

あと短編小説 : 私だけに見せてくれるギャル を書いてみましたので暇潰しにみてくれるとありがたいです。

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