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南条翔は其の狐の如く  作者: つゆのあめ/梅野歩
【第二幕ノ参】葛の葉のうらの百年
131/158

<七>少年神主、人の知恵を取り入れる


 家族が帰宅したのは明け方のこと。


 都合が良いことに“日輪の社”の者達が、青葉とギンコに引っ付いて見舞いにやって来た。彼等は自宅療養を始めてから、こうして度々部屋を訪れてくれるので、大した驚きはない。

 ただ狐の本能である多大な好奇心を持っているせいで、部屋を訪れる度に何かしら物を触ろうとするのが難点。


 紀緒は冷蔵庫を開けては閉め、「箱の中は万年冬の世界なのですね」感動に浸っているし、「火種は此処じゃろうか?」比良利はスイッチを押して電気を点けたり消したり。ツネキは蛇口を捻って水が無限に出ることを楽しんでいる。

 皆に言いたい。水道光熱費がかかるので止めてもらいたい。これ等はタダではないのだから!


 気が済むまで科学文明を堪能した彼等は、夕餉を軽くしか済ませていないらしく、青葉が軽食をこしらえていた。最初こそ食事制限をされている翔に遠慮が見られたものの、翔が気にしなくて良いと言ったため、青葉は食パンを焼こうとオーブントースターの前に立つ。


 だがオーブントースターの使い方が分からずに固まっていた。

 翔が天馬に使い方を教えてやって欲しいと声を掛けたため、無事にトーストが出来上がる。


 何度も言うが比良利達は齢百を超えた妖。人間の文化は勿論、洋食文化にはてんで疎い。ついでに元は狐なので知識も乏しい。

 青葉達ですら慣れるのに時間を要しているのだから、彼等が初めてみるトーストに首を傾げるのは無理もないこと。

 ジャムやバターにも疑問符を浮かべ、トーストと見比べている。

 天馬が気を利かせて出した珈琲に関しては頓狂な声を上げて、これは飲めるのかと目を白黒させていた。


「醤油のように黒いぞよ。ならば、これは調味料かのう。しかし、匂いに苦味が」


「きっと、香ばしい板にひたして食べるのですよ比良利さま。さて、お箸はいずこに」


 トーストを板と呼ぶところが洋食文化に疎い証拠だ。

 仕方がないといえば仕方がないが、比良利達の知識はやや偏っている。

 翔は再認識した。“妖の世界”に籠っているからこそ、人の世界の文化の多様化についていけていない。

 それでは駄目だ。人の世界から生まれる妖だって多いのだから。

 それに知って損はない。新しい文化を知ることで、新しい動きが出来る。


「ぼん。具合はどうじゃ」


 食を終えた比良利が容態について尋ねてきたため、翔は動けずにすこぶる暇人だと笑い、今宵の社の様子はどうだと質問を返す。

 民達は翔を親身に心配しているようで、今日も今日とて見舞いの品が届いているそうだ。連日のように届けられるため、生鮮食品の保存に困っているという。 

 それだけ彼等が心を籠めて贈り物をしてくれているのだから、嬉しい悩みだ。


「今晩、比良利さん達が来てくれて良かったよ。ちょっと相談したいことがあったからさ」


「まだ動けぬ体ゆえ、一聴の許可なしに勝手なことはできぬぞ」


 部屋から連れ出せ、体を動かす許可を下ろせ、なら駄目だと比良利。

 やんちゃしてしまう自分に釘を刺すところが、なんというか、親というか兄である。さすがは己の師であり、兄神主。


 だが目論見はそこではない。翔は天馬に頼み、ベッドから出してもらう。上体を壁で支えると、しっかり対と向き合った。


「比良利さん。今回の一件で俺は皆に心配を掛けてしまった。弱いばかりに、死の淵を彷徨う羽目になって申し訳なく思っているよ……だけど来斬は未だに俺を狙っている。何かの“依り代”として、俺の体を狙ってくる。決着がつくまで俺は狙われる」


 相手が真顔になる。

 比例して空気が重くなるが、翔は喋る口を止めることはしない。

 本当は来斬について自分が倒れて以降のことを事細かに聞きたいが、今出したい話題は一つ。


「俺はいつ、いかなる時に狙われるか分からない。悔しいけれど、今度襲われても俺はあいつに勝てないと思う。此処が安全とも限らないし、妖の社が安全という論も崩れた。

 だからって比良利さん達にべったりとくっ付いて守ってもらうわけにもいかない。それぞれ南北神主としての務めもある。

 そこで俺は思いついた。何か遭った時のために日月同士で連絡手段を持とうと」


 連絡手段、その四文字のおかげで空気が崩れる。

 どういう意味だと瞬きしてくる比良利達の前に、天馬がスマートフォン型の携帯電話をバッグのポケットから取り出して皆に見せる。

 「これは翔殿がよく触っている代物ですね」ずばり言い当てる青葉にその通りだと翔は頷いた。


「青葉やギンコは分かると思うけど、これは人の世界の通信器具。持っていれば、例え、俺が北海道にいようと、沖縄にいようと、はたまたアメリカやフランスにいようと一瞬で連絡がつく優れもの。科学文明が生んだ発明品なんだ」


 妖術妖力一切不要。

 これを持っていれば、相手と連絡したい時に連絡が出来る。

 寝たきりの自分に何か遭ったら、携帯電話一つで遠距離にいる者達に現状が伝えられるし、逆に比良利が自分に用があれば数秒のコールを待つだけで己と連絡が取れるのだ。


 更に天馬と話し合った結果、携帯電話の付喪神と掛け合うことで、妖の世界版の使いやすい携帯を持つことが可能かもしれない。

 それは専門の付喪神に聞かないと分からないが、携帯電話の利用は絶対に良いと思うのだ。形代を誰かの下に行かせる時間の短縮になる。


「善は急ぐとも言うし、ここは一つ、携帯電話を持って」


「翔。“善は急げ”です」


「……とにかく一件で俺は自分の非力を痛感した。来斬が桁違いな妖狐だということも。また皆に心配を掛けるのも嫌だし、かと言って襲われない場所に身を隠すのは神主としてどうかと思う。なら、相手の策に嵌らないよう予防線を張るしかない」


「なるほど。じゃから、わし等にそれを持てと」


「うん。機械に抵抗があるかもしれないけれど、考えてみてくれないかな? 比良利さん達は少し、此方の世界に疎すぎる。これは知れる絶好の機会だと思うんだよ。この一件は妖だけでなく、人間も噛んでいる。“人災風魔”の毒が絡んでいるんだ。人間が絡んでいることは一目瞭然」


 誰に説明されずとも、把握できることがある。翔は来斬が人間と何かしらの形でかかわっていることを勘付いていた。


「人間の知恵と妖の知恵が合わさったら厄介だ。もしも、来斬が俺と同じ知恵を持っていたら、一瞬にして援軍を呼ばれてしまう。でも逆に俺達がその知恵を持っていたら、相手を追い込むことも可能なんだ」


「僭越ながら、翔の意見に自分は賛同致します。“妖の世界”はそのままの文化で良いと思うのですが、此方の世界の知恵は存分に利用して頂きたい。これから先、時代に合せた敵が現れぬとも限りません。知識はあって損はございません」


 是非とも十代目の考えを受け入れてはくれないだろうか。


 天馬の意見に、ふむ、比良利は悪い案ではないと一つ頷く。

 寧ろ襲われたことを想定すると、時間短縮は魅力的だ。また人の文化への疎さは薄々とは感じていた。翔の言うように良い機会だろう。


「心得た。その機具の付喪神に取り合い、日月の我等に所持させよう」


 比良利は申し出を受け入れてくれる。

 ホッと胸を撫で下ろす。これにて皆に多大な不安を与えずに済む。余計な心配は、今後の行動の荷物になりかねないのだから。

 名を呼んでくる天馬の心配りに頷き、「ベッドに戻るよ」翔は話は仕舞だと終止符を打つ。


 それによって赤狐の表情が拍子抜けする。

 どうしたのだと彼を見つめれば、「やけに引きが良いのう」根掘り葉掘り聞かれるかと思ったらしく、比良利はそれなりの心積もりをしていたそうだ。


 ああ、なるほど。

 己の性格ならば、確かに執拗に聞きそうだ。が、それができずにいるのは彼等の気持ちを配慮してだ。

 皆の準備ができるまで、自分は待つと決めたのだ。そして、そうするよう、あの青年に頼まれたのだから。


「比良利さん達が俺を信じてくれたように、俺も皆を信じている。だから、かな」


 何を信じているのか、そんなものは賢い北の神主に十も説明するまでもない。

 はにかみを零すと、「左様か」つられたように比良利も頬を崩す。

 そう間を置かず彼は続けた。それはベッドに戻る翔に放つ言の葉ではなく、一室にいる妖の皆に対して。


「暫し、対と二人にしてもらいたい」


 それは願いではなく、北の神主たっての命だった。


 異論の声を上げたのは、テレビを観ていた旧鼠七兄弟のみ。

 他の者達は然程驚くこともなく、恭しく頭を下げるとぞろぞろと退室していく。事前に申し出ていたのかもしれない。皆が皆、翔と比良利に会釈していく。


 ギンコに至っては一室から出る間際、思い立ったように翔へ走り寄ると鼻先を唇に当ててきた。気恥ずかしそうに尾を丸める銀狐に対し、玄関扉から地を這うような唸り声がひとつ。

 たらっと冷や汗を流す翔だが、期待を含んでくる円らな瞳に負け、「あんがとな」お返しにギンコの顔を舐めた。どこまでも銀狐に甘い翔である。


「その内、オツネと挙式を上げると申しそうで末恐ろしいわい」


 足軽に出ていくギンコを見送った比良利が、呆れ顔で視線を流してくる。

 目を泳がせる翔は咳払いを零し、「愛情の一環だよ」彼女には許嫁がいるからと愛想笑い。挙式の前にツネキの狐火を浴びて地獄に落ちそうである。


「オツネにはつくづく甘い狐じゃのう。ちっとはオツネ馬鹿を治さねば、追々ツネキに扱かれるぞよ」


「それは無理な話だよ。俺からギンコを取ったら、ただの馬鹿になっちまうもん。あいつには一人くらい、甘えられる妖がいても良いんだと思うよ。他の皆には突っ張る性格だからさ」


「突っ張るだけならまだマシじゃ。わしは九十九年避けられ、嫌われておったのじゃから」


 そうだった。

 今でこそ比良利とギンコは同志として接する仲であるが、以前は一方的に銀狐から避けられていた関係にある。

 それは比良利がギンコの体内に宝珠の御魂を宿し、妖達から狙われる契機を、それこそ大好きな自由を奪ったから。

 無論、わざとではない。比良利も、ギンコも、そうせざるを得なかった。時に思いの丈はすれ違うのだ。


「どうしたんだ。皆を出払うなんて……聞かれては不味い話なのか?」


 枕に預けた頭を動かし、比良利を見上げた。

 顔つきが普段よりも厳かであるため、これは頭領の顔だと気付く。正式に対と話し合いたいのだろう。

 ならば、体を起こして聞く姿勢とならなければ。それが礼儀だ。


 けれども腹筋に力を入れ、肘と三尾で上体を起こそうとするも体が言うことを聞いてくれない。


「気を遣うでない」


 躍起になって体を起こそうとする翔を見かね、比良利が肩を優しく押してくる。

 視線を合わせれば、糸目の向こうに潜む紅の瞳が澄んでいる。喜怒哀楽を秘めていない眼は、ますます翔を混乱させた。

 比良利はどうして二人きりになりたいと申し出たのだろう。


「比良利さん?」


 意図を聞くために名を紡ぐ。

 すると、彼はベッドから一歩分離れ、その場で足を折り畳む。

 目を見開いた。比良利の真っ白な浄衣が靡いたかと思ったら、その両手が床につき、深々と頭が下がったのだから。


「なん、で」


 対に頭を下げたことはあれど、下げられたことはない。翔には理解ができずにいる。


「三尾の妖狐、白狐の南条翔。此度はよくぞ辛い治療に耐えられた。六尾の妖狐、赤狐の比良利は貴殿の生きる強き力に感銘を受けておる。並びに貴殿に一つ、詫びねばならぬことがある」


 其れは、交わされた約束が破られるやもしれないと疑心を向けたことについて。

 些少なりとも疑った。比良利は翔の宣言が破られるやもしれないと、片隅で憂慮を抱いた。だからこの場を借りて詫びを申し上げなければならないと、北の神主。


 対照的に翔は冷静を取り戻す。

 今の彼は北の神主として、南の神主と対等に話している。

 齢十八に頭を下げる行為など屈辱極まりないだろうに、それすら念頭になく、比良利は四代目北の神主として十代目南の神主に胸の内を明かしている。

 そして、それは彼なりの覚悟の表れなのだ。


 翔はすべてを察する、ようやく比良利の意図が読めた。


「六尾の妖狐、赤狐の比良利殿。面を上げて下さい。俺も、貴方に謝りたいことがあります」


 頭を上げて鎮座する対に、力なく微笑を向ける。


「過酷な治療に屈し、貴方と交わした約束を破ろうとしました。齢十八の南の神主の代わりなんて、またすぐにでも現れる。そう己を蔑み、あなた方の気持ちを踏み躙ろうとしたのです」


 皆の心配を一身に浴び、それこそ生きたい気持ちに手を差し伸べてくれたのにも関わらず、治療の辛さから逃げてしまう己がいたと翔。

 苦しんだ先に辿り着いた答えは“代わりはすぐに現れる”と、どうしようもない卑怯なものだった。


 心の底から詫びなければならないのは、きっと自分なのだ。



「現実に屈した俺は、いつしか黄泉路を歩いていました。楽になりたい、その気持ちが黄泉路へ誘われたのでしょうね。けれど道中でお叱りを受け、今世に戻ってきました――比良利殿、かつて“むこうみず狐”と呼ばれていませんでしたか?」



 叱ってくれた男は翔に言った。

 “むこうみず狐”は感情的な狐、心の整理に時間が掛かる。信じて待ってやってはくれまいか。あれは不器用の塊、努力を惜しまない代わりに一つ一つのことしか乗り越えられないのだ、と。


 聡い赤狐は苦々しく笑い、「奴か。相変わらずよのう」驚くこともなく、静かに話を聞いてくれる。


「そうか。じゃからお主は目覚めて、すぐに本殿へ行こうと」


 あの時、部屋を抜け出した真の理由を代弁してくれる比良利に、その通りだと頷く。


 翔は男に感謝を述べたかった。

 過酷な治療に耐えられず楽な逃げ道を見つけて、そこに飛び込もうとした己を叱ってくれた――九代目南の神主に。


「俺の体内にある宝珠の御魂には、先代達の御魂が宿っています。その中でも九代目は誰より“今”の日月の社の者達に対して未練があるに違いありません」


 だからこそ、黄泉路を進んでいた己を引き留め、現世に引き戻してくれた。

 日月の社の者達が再び悲しみに暮れないように。南北に悲報を轟かせないように。


 このめぐり合わせは宝珠の導きなのか、それとも宝珠に眠る九代目自身の意思なのか。どちらにせよ、己は先代に救われた。

 お前の代わりなどいないと教え、黄泉路から引き戻してくれた先代には二つの意味で救われたのだ。

 今も先代の御魂は宝珠の中で真の眠りに就くことなく、黄泉路を彷徨っているのだろうか。翔は送ってくれた狐に憂慮の想いを寄せる。


 彼は己と同じ白い狐だった。

 四つの尾っぽを持った長身の男だった。

 浄衣が似合う端正な顔をしていた。見るからに厳しそうで、けれど温かさを秘めた妖狐だった。



「かつて四尾の妖狐、黒狐の来斬は我等の同志であり、わしと惣七は同じ釜の飯を食した仲であった」



 思考が引き戻される。

 語り部に立つ比良利の表情には、どことなく哀愁が漂い、それは憂い帯びていた。

 されど翔は彼の語りを止めることをしない。二人きりになった時点で、比良利は己に包み隠さず語ると決めていたのだろうから。


「来斬は“旗薄の隊”を纏める時期総大将として、当時神主出仕だった我等と修行をした」


 翔は畏まっていた口調を戻す。


「はたすすきの隊? 初めて聞く名前だけど、それは何かの組織?」


「左様。南北の地を統べるのは我等日月の社の者達であったが、なにぶん土地は広く、民達の数も多い。一度に守れる数は限られておる。そこで庶民の中で隊を組み、南北に配置した」


 日月の社の者達の目に届かない場で何か遭ったら、旗薄の隊が駆けつけ、悪人を成敗する。火事等があれば、最優先に人命救助をする。

 そういった仕組みになっていたと比良利。

 この隊のおかげで、双方の世界で悪事を働こうとする妖を抑えることができたそうだ。


 現代で例えるのならば、警察や消防機能の末端を担った組織なのだろう。

 なるほど。翔は一つ頷くも、大きな疑問を抱く。


「その隊は今も活動しているの?」


 活動しているのであれば、おかしい。

 神主不在の南の地が此処まで荒れることもなく、宝珠を宿していたギンコとて悪しき妖に狙われる機会も少なくて済んだ筈だ。

 「壊滅しておる」比良利は平坦な声で返事する。


「九十九年前、ひとりの妖によって隊は滅んだ」


「まさか、それって」


「察する通り。血の気の多い来斬ひとりによって、隊は壊滅。皆殺しにしておる」


 静まる一室に黒狐の嗤い声が聞こえた気がして、ぞわっと寒気がした。

 言葉通り、誰一人生かさず、来斬は隊の同胞達を殺したのだろう。同志である筈の妖達を、一人残らず手に掛けたのだ。

 それどころか、彼は親しかった筈の惣七の命を奪い、比良利に刃を向けている。何が彼をそうしたのか。


「翔よ。しかと聞いて欲しい。百年前に起きた悲劇を」


「とうに覚悟を決めているよ。皆と共に生き、妖達を見守ると決めているんだ……比良利さんの方こそいいの? 俺に話すということは、それだけ俺が首を突っ込むということだけど」


 おどけ口調に言えば、同じ調子で言葉が返ってくる。


「話さずとも、お主は首を突っ込む狐であろう。聞かん坊のやんちゃ者であるからこそ、我等は苦労しておる」


 それに我等は対、南北を統治する者、此の地に関することを隠したところで何になろうか。


「宝珠に選ばれし日月は二人でひとつ。双子の守護神。あまねく子供達を見守る者――それが今の我等の関係だというのならば、お主に隠さず語る義務がわしにはある」


 諭したかのように謳う比良利は、翔を見つめ、其の百年前について。如いては先代の死に追いやる事件について語り始めた。



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