恋落つる刻
逃げ延びたファンティーヌは焼け落ちる生家を遠く離れた丘の上から見ていた。
大切な物全てが失われた。そんな彼女を、逃してくれた護衛の男が優しく労る。けれど彼女はそれを拒絶した。
ずっと恋い焦がれていた男だった。
初めて見せてくれた優しさだった。
けれど、彼女にはもう返すだけの物が何もない。これから先足手まといになる女など、彼が背負う必要はないのだから。
大切な物全てが失われた。そんな彼女を、逃してくれた護衛の男が優しく労る。けれど彼女はそれを拒絶した。
ずっと恋い焦がれていた男だった。
初めて見せてくれた優しさだった。
けれど、彼女にはもう返すだけの物が何もない。これから先足手まといになる女など、彼が背負う必要はないのだから。