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第11話 タイトル詐欺回避と魔法の発見

10月下旬

王立学院



 全然ダメ、何も思いつかないわ。


 ここ1週間ばかり、図書院に籠って散々調べまくったのだけれど…。何もヒントが無いわ。いいえ、ヒントがない訳じゃないのだけれど…空気の瘴気を完全にシャットアウトすれば、あるいは…。

 って一体どうやればいいのよ。真空でも作る? オレンジが水銀まみれになるけれど。セドリック先生も言っていたけれど、改めてみると毒々しいのよね、水銀って。


 はああ、と溜息をついて研究室に戻る。ホント、なんでもいいの。ちょっとした閃きがあれば…って、ドアを開けたらね。


「フランソワ…お姉ちゃん!」

 いきなり抱き着かれたわ。

「こ、コレット! どうしたの、突然!」

 ギルテニアのレンズ職人でニコラスの妹、コレットよ。顕微鏡の時は本当にお世話になったわ。コレットの研磨技術がなければ、間違いなくグランド・ディベートで勝てなかったもの。でも、驚いたわ!


「ひさしぶり…これ、できた」

 ひょい、と鞄から取り出したのは望遠鏡だわ。もしかして。

「残った蛍石を使ったの?」

 こくり、と頷く。早速試してみるわ。

「わ、すご…綺麗に見える! 流石コレットだわ!」

「えへへ…」

 頭を撫でてあげたわ。私もこんな妹が欲しい!


「一人で待ってたの?」

 こくり、と二度目。

「他の皆は…?」

「お兄ちゃん…ごはん、取ってくるって…」

「お昼、まだなの?」

 こくり。

「でも、どうして学院に?」

「ザハリアス親方が…お姉ちゃんに届けろ、って…。あと、学院を見学…してこい、って」

「そうね、コレットなら学院でも大活躍間違いなしだわ! あ、そうだ。お姉ちゃん、丁度研究に詰まってたの。散歩がてら、学内を案内するわ!」

「ありがと…あ、あとね…」

 コレットが申し訳なさそうに、ボトルを取り出したわ。

「これ…飲んで、いい…?」

「これは…」

 レモンソーダ! 魔法大会の時に詰めた奴だわ。

「これ、どこにあったの?」

 ニコラスからは全部飲んだ、と聞いていたけれど。

「あそこ…」

 指さした場所は備品置き場よ。使わなくなったものとかを仮置きしていたのだけれど…。一本、混ざっていたのね。

「喉、渇いたの?」

 こくり。

「そうね…これはやめておいた方が良いと思うわ。詰めたの、もう三か月か四カ月前だし…きっと悪くなっているから」

 そこで、コレットが首を傾げた。

「見る感じ…平気そう…?」

「そんなことは…」

 言われて、瓶をよく見てみる。

「あれ?」

 確かに…確かに、見た目は詰めた時と同じだわ!

「こ、コレット! み、皆を呼ばなきゃ! えっと…いつもの場所かしら!?」

「お、フランソワはん、来てたんか。サンドウィッチ、調達してきたで。フランソワはんもたべまっか?」

 ニコラスが顔を出したけれど。

 それより!

「全員集合!」



 という事で、全員集合よ。ノリでシオンとアルフォンスも連れてきたわ。

 …第三部に入ってから、シオンが全然出てきてないからね? タイトル詐欺って言われかねないわ。とりあえず顔だけ出しておかないと!


 もしゅもしゅ、とコレットがサンドイッチを頬張る。兎みたいで可愛い! と、彼女を愛でる前に。


「これ、覚えているかしら?」

 レモンソーダの瓶を机に置いたわ。

「レモンソーダでんな」

「へぇ…残ってたんでやすね」

「飲んでいいのか?」

「ダメ。ではなく! よく見て、瓶の中身!」

「へぇ…見た感じ、そのままでやすね」

「え~。でも、詰めたの夏だよ? 流石に無理じゃない?」

「そうよね…そうなのだけど、まずは開けてみようと思うわ」


 開栓の儀式。ぷしゅ、って炭酸が弾ける小気味のいい音。

「匂いは…平気そうでやすね」

「いやいや、っても随分前やで。無理ちゃうか?」

「あたし、遠慮しとく~」

「飲んでいいか?」

 シオン、ダメって言ってるでしょ!


 でも、確かに匂いは大丈夫そうだわ。というか、レモンの爽やかな香りまでそのまま残っているの。

 これを…。

 ええ、ままよ!


「科学に犠牲はつきもの!」


「ふ、フランソワ、ええええ!」

 エラリーの悲鳴を他所に、口をつけたわ!

 ごくり、と一口。

 目を見開く。


「ふ、フランソワはん! なんちゅー無茶を! ほら、吐いた方がええって!」

「ひ、姫さま、腹痛に効く薬草を…ど、どこにしまったでやすかね…」

 と、皆大慌てなのだけれど。

「お、おいしい!」

「くれ」

 シオンが本当にもの欲しそうにするから、渡してあげたわよ。瓶に口をつける。

「おー、久しぶり。美味いな」

「そ、そんなアホな…シオンはん、一口!」

「え~」

「え~、やないって、一口でええから!」


 という事で、全員で回し飲み。

 …公爵令嬢としてあるまじき事態ね。ともかく。

「間違いないわ!」

 やっと、やっと光が見えた!


「これが、これが『魔法』よ!」

魔力9999のシオン君、普通に書いてたら全然出てこなかったので無理やり登場させました。はい。

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