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僕と兵器と異世界  作者: 奥鷹 雪斗
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第6話 ロコ村防衛戦

勇気の本領発揮です!

 家に戻ると入り口にリリカが立っていた。体を小刻みに震わせながら。


「大丈夫。山賊は倒したから」


 そう言うと少し安心したのか微笑んだ。だがぐずぐずしている暇はない。俺はすぐにテーブルの上に置いてある弾薬箱からすべての弾を前右側2つのポーチに入れ、ホルスターからガバメントを取り出しマガジンを抜いて残弾を確認してからマガジンを再度装填する。ホルスターに戻して戦いの準備を整えた。すると家のドアが開いてルイスが入ってきた。


「止血して奴を牢屋に入れたがこのあとどうする?」


 山賊が言っていた増援のことだろう。どれ程の人数か分からないが出来る限り守りを固めるのが賢明だ。


「出来るだけ守りを固めて山賊たちを迎え撃つ準備をしよう」


 俺はドアに歩み寄り、そして取っ手に手をかけると振り向いて、


「山賊の増援は僕とルイス、村人で相手する。1人も死なせはしない、安心して。リリカは家の中で待っててくれ」


 ルイスは頷いて返事をし、俺は外へ出ようとした。


「待って」


 するとリリカが呼び止め、振り向くとルイスに抱きついていた。


「絶対、帰ってきて」


 その言葉にルイスは頷いてリリカの頭を撫でる。リリカが離れると同時にドアを開けてルイスと共に外に出た。



 家から出ると山賊を倒したところに向かう。着くと山賊の姿は無く、武器を持った男たちだけがそこにいた。


「山賊の増援は?」


「ま、まだ来てません」


 青年は怯えながら答えた。日に2度も山賊に襲われるのだ、恐怖心が表に出るのも無理はない。


「今から山賊どもを迎え撃つ。他に戦える村人たちをだれか連れてきてくれないか?」


 ルイスのかけ声を聞いて村人たちはすぐに行動へ移した。数人が駆け足で散らばり、残りの戦える村人を連れてきた。数は合わせて25人で槍持ちが4人、弓持ちが6人、剣持が11人、盾持ちが2人、残りの2人は戦えそうな農具を持っていた。


「よし、それじゃあいくつかの班に分かれて貰う。まずは槍を持っている者と盾持ってる人、前に出てきてくれ」


 ルイスは村人たちに指示して集まった村人の中から6人が前に出る。


「槍持ちは2人ずつ、盾持ちは1人ずつに分かれてくれ」


 そして言われたとおりに村人が分かれる。


「いいか、お前たちが前衛だ。1番危険なところだが頑張ってくれ」


 指を指して指示をし、最後に戦う場所を告げる。


「次に弓持ちと剣持ち前へ」


 それを繰り返しながらルイスは村人を6つの班に分けた。適切な班分けに俺はただただ驚いていた。


前衛:1班 槍2人、盾1人 2班 槍2人、盾1人

後衛:3班 剣2人、その他1人 4班 剣3人、その他1人

後方支援:5班 弓3人、剣3人 6班 弓3人、剣3人


「まず1、2班の前衛班は襲ってきた山賊をまず盾持ちが敵の攻撃を防いでその後ろから槍を突き刺して倒せ。だが1度に相手するのは1人だけだ、これは絶対に守れ」


 前衛班となった村人たちが頷く。


「3、4班の後衛班は前衛班の側背面に回り込んで襲いかかる山賊を倒せ」


 後衛班となった村人たちが頷き返す。


「最後に5、6班の後方支援班は前衛、後衛班の援護だ。弓持ちは屋根から援護を剣持ちは山賊から弓持ちを守れ」


 後方支援班となった村人たちも残りの班と同様に頷く。そして最後にルイスは声を張り上げて言った。


「いいか、絶対にみんな死ぬな。お前たちが無事に生き残ることを願っている人たちのためにも絶対に死ぬな、いいか!」


「「「「「オォォォォッ!」」」」」


 村人たちは雄叫びを上げて答えた。


「よし!全員位置につけ!」


 そして村人たちは自分の持ち場へと走っていった。


「いいかけ声だったぞ」


 俺はルイスの肩を叩いて褒めた。


「なぁに、山賊共に礼をたっぷりしないとな。ユウキも頼んだぞ!」


 そう言ってニカッと笑ってルイスは自分の持ち場へ向かった。



 俺はすぐに自分の持ち場である見張り台に登って見張りをしていた村人の子供の横に立ち山賊が来た道を眺める。少しの間そうしてると道の向こうから砂煙が上がってるのが見えた。そして砂煙の先頭を勢いよく駆ける馬が走っている。数は合わせて10頭、人数は1人1頭に乗っているので10人。


(距離800ってとこか。ならまだだ)


 この見張り台から狙撃しようと思ったが村田銃の有効射程は約200m。確実に狙い撃つには100mまで引きつけないと難しいだろう。初弾を装填しているか再度確認して俺は見張り台の手すりに村田銃を置いていつでも撃てるように右手の人差し指をトリガーガードにかける。


(距離700、まだだ)


 トリガーガードに置いた人差し指を引き金にかけないようぐっと堪える。


(距離500・・・・距離400・・・)


 トリガーガードにかけていた指を引き金にかける。


「耳を塞げ!」


 隣にいた村人に警告するとさっと、耳を塞いだ。そして山賊が射程距離手前に入った。

 軽く息を吐いて止めると先頭の馬に乗っている山賊に照準を合わせて引き金を引き絞る。


 ズダンッ!


 放たれた弾丸は馬の少し右側に着弾した。その近くを走っていた馬は驚いて蛇行し始めた。すぐに次弾を装填すると誤差を修正して再び引き金を引く。


 ズダンッ!


 2発目は左側を走っていた山賊の肩に当たったらしくその勢いで馬から落ち、後ろを走っていた馬に踏み潰されながら転がっていった。


(1人目、次!) 


 山賊達は仲間がやられたのを見ると左に4人、右に5人と二手に分かれて来た。俺は直ぐさま装填を行い、左から来る山賊の馬に狙いを定める。距離150mと推定し引き金を引いた。


 ズダンッ!


 弾丸は吸い込まれるようにして馬の頭に命中し、馬に乗っていた山賊は投げ出され地面にたたき落とされた。その後ろを走っていた1人も死んだ馬に引っかかって落馬した。次に距離100m手前にさしかかった山賊たちに照準を合わせると5人の内、一番後ろの山賊が腕を振り上げながら何か叫んでいた。


『それ以上下手に攻撃すると小娘が死ぬぞ!』


 聞き耳で聞き取った声を聞いていやな予感を感じるとすぐに村田銃を肩にかけて見張り台を降り、リリカの家に向かった。



 ドアを開けて中に入ると中でリリカが首輪を掴んで悶え苦しんでいた。


「うぐぅ!」


 どうやら首輪がリリカの首を締めつけているようだ。先に戻っていたルイスが介抱していた。


「ルイス、何があった!」


「分からない。胸騒ぎがして戻ってきてみれば急に首輪が締めつけ始めて苦しみだしたんだ」


 ルイスもどうして首輪がリリカの首を締めつけてるのか分からないらしい。俺は窓から外を見ると山賊が入り口に到着していた。


『早くしねぇと“奴隷の首輪”を付けた小娘が死ぬぞ!』


(“奴隷の首輪”?)


 どうやらリリカの首に付けられた首輪はただの首輪ではなく、“奴隷の首輪”と言う特殊な首輪だったようだ。


「ルイス、“奴隷の首輪”のことを何か知ってるか!」


「たしか“奴隷の首輪”はその首輪を付けた者を奴隷に出来る道具だ。そして持ち主から逃げた奴隷は持ち主が奴隷の身につけた首輪を使って首を締めつけることが出来ると聞いたことがある。本物を見たことはないがそれを取り扱うことが出来るのは奴隷商だけのはず」


(と言うことはあの山賊どこからかは分からないが奴隷の首輪を手に入れて、それをリリカの首につけたってことか)


 まだ苦しみ続けるリリカを見てルイスにもう一つあることを聞いた。


「それを解除、首輪を外すにはどうすればいい?」


「確か持ち主が奴隷の首輪との契約を切るか、もしくは契約者自身が死ぬかで解除されるはずだ」


 それを聞くと勢いよくドアを開けて外に出る。そして裏手に回り、リリカの家の屋根に急いで登った。



「おい!早く小娘を出せ!本当に死んじまうぞ」


 山賊の頭目は刻印が刻まれた腕輪を身につけている右手を挙げながら声を張り上げて叫ぶ。村人たちは後ずさりしながらも攻撃の隙を狙っていた。


(まぁ、居る場所は“これ”のおかげで分かるがこの村人が邪魔だな)


 頭目はふと思いつくとニヤリと笑って言った。


「いいのか?今頃あの小娘は首を締めつけられて苦しんでるぞ?」


 村人たちはそれを聞いて動揺しはじめた。


「さぁ!これで最後だ!早くそこをどかねぇとあの小娘をコロ____」


 ズダンッ!




 ジャキッ!


 銃口から煙が上がり空薬莢を吐き出すと山賊たちのほうを見る。山賊の頭目は頭は撃ち抜かれ馬から落ちて地面に倒れた。


(これで解除されたはず)


 そしてそれを合図に村人たちが雄叫びを上げて残りの山賊を倒していった。2人ほど取り逃がしたがこうしてロコ村防衛戦は勝利で終わった。屋根から降りて家に戻るとルイスがリリカを介抱していた。首輪と手枷が外れていたが首を締めつけていた痕が残っていた。


「大丈夫か、リリカ」


 駆け寄ると勇気を見てリリカはすぐに抱きついてきた。


「ううぅ、ヒック、うえぇぇん!」


 抱きついたまま俺の胸に顔を埋めて泣いた。あの苦しみから解放されて安心したのだろう。俺はリリカの頭を撫でた。だが、リリカの首につけられていた首輪が“奴隷の首輪”だったとは気が付かなかった。この異世界に来てまだ1日しか経ってないので知らないのもしょうがないがそれでもリリカを苦しませてしまったことに変わりないのだ。こんなままでは助けられる命も助けられない。自分の失態に顔をしかめているとリリカは胸から顔を離して上目遣いで泣き声のまま言った。


「ありがとう、ユウキ。助けてくれて」


 その言葉を聞いてどう返答すればいいか迷ったが微笑んで、


「どういたしまして」


 と、一言返した。それしか言えなかった。



 その後、山賊たちの死体は布で包んでから森に遺棄された。捕縛した4名(内2名が骨折などの重傷だったが命に別状は無い)は牢屋に入れ、村から半日ほどで行けるクルドと呼ばれる街へ使いを送りそこの騎士団員を連れてくるという。理由は倒した山賊に賞金がかけられていれば騎士団員が確認した後、クルドで受領することが出来き生け捕りにした山賊が居れば追加で報酬がもらえるらしい。

 腕時計を見ると午後4時過ぎ。ルイスさんの話では騎士団員が村に来るのは明日の今頃か明後日の朝になるそうだ。このあとは宴会を開くそうなので参加させて貰うことになった。

戦闘シーンでおかしなところがあればコメント下さい。頑張って直します。


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