第7話 宴と悪夢
待たせたな、まぁたせたなぁ、待たせたなぁ。うーん、スネ○クみたいにかっこ良く言えん。
宴会の準備が出来るまでの間にリリカの家で装備の確認を行った。さっきの戦闘で使った村田銃の残弾を確認するためだ。安全のため村田銃には弾を装填していない。ポーチからすべての残弾を取り出しテーブルに並べ数をかぞえる。
「よし、これで全部か」
弾は26発残っていた。しかし、今は弾の補給が出来ないので使用は極力避けるようにしよう。また使用済みの空薬莢はガバメントの時と同じく消えていた。
弾をポーチに入れているとドアが開いて宴の準備をしていたリリカが入ってきた。
「もうすぐ宴会が始まります。来て下さい」
そして外に出て行った。ポーチに弾を入れ腕時計を見ると午後5時半だった。俺も家から出て宴に参加した。
「それでは乾杯!」
「「「「「乾杯!」」」」」
ルイスから娘を助け、村を守った英雄として祭り上げられ村の人達から色々と感謝の言葉をもらいながら宴会が始まった。宴会には食べ物や飲み物がずらりと並び、始まった瞬間村人の男たちが焼いた肉にかぶりついていた。俺も焼けた肉にかぶりつく。初めて食べた肉だが厚みがあって食べごたえがありうまかった。
「これはなんの肉なんだ?」
気になったのでルイスに聞いてみた。
「そいつはアングリーブルの肉だ。手に入りやすくて味もうまいからいろんなところで食われてるぞ」
と言ってアングリーブルの焼き肉にかぶりついていた。それにならってもう一度かぶりつく。今まで缶詰しか食ってなかったから焼いた肉は久しぶりだ。
「この野菜は?」
「そいつは名前は忘れたが肉と一緒に食うとうまいんだ」
へぇと思いながらその野菜に肉を包んで食べる。あ、これサ○チュだわ。おかげで肉の脂っこさが減り、あっさりした味になった。その後もルイスに宴会に出されている食べ物について聞いた。この世界の食べ物や道具などについてまだ知らないことだらけなので聞けるときに聞いた方がいい。
ルイスは豆知識として瘴気(※1)を放っている魔物は食べるなと教えてくれた。瘴気を放つ魔物は魔素を大量に体へ取り込んで凶暴化しており、その上その肉を食うと大量の魔素を取り込んでしまうので食べてはいけないらしい。食べたら最後、死が待っていると言われた。またその魔物の素材もだめになってしまうのでかなりやっかいなものだ。
「滅多に現れないが出会ったら逃げるのは難しい。ま、ユウキの“ジュウ”があれば簡単だろうけどな」
ハッハッハと笑いながら言った。俺は逆に本当に銃で倒せるのだろうか少し不安になった。
そして酒を飲んで酔っ払った連中が踊り出し大いに盛り上がった頃、ルイスから酒を勧められたがあまり飲めないので断った。ルイスは残念そうだったが酒の入ったコップを一息で飲むと踊っている村人の方へ行った。水の入ったコップを持ったまま俺は踊りを見ながら悩んでいた。
(この村に住ませてもらうか、それとも旅をするか)
ルイスに頼めばこの村に住ませてくれるかもしれない、が俺自身それが性に合っていないと分かっている。それに自分がいると変な奴らが来るかもしれない。
(やっぱり旅に出た方がいいな)
村人たちのためにも早々に出て行こうと考えながら水を一口飲む。するといつの間にか隣にリリカが来ていた。
「ユウキさんはこれからどうするんですか?」
悩んでいたところを見られてしまったようだ。
「これからか?まあ、騎士団が盗賊の確認と移送の時に頼んでクルドに連れてってもらおうと思ってる」
「その後、戻ってきますか?」
なぜが悲しそうな顔で聞いてくる。!しかし俺はありのままに話した。
「いや、戻らない。僕は旅人だから騎士団員が来たらお別れだな」
「そう、ですか・・・」
シュンと犬耳?と尻尾を垂らして離れていった。
(これでいいんだ、俺のせいでまた君に災難が襲うかもしれないから)
その後は適当に踊りを見ながら宴会を楽しんだ後、リリカの家に向かった。家に入るとリリカが先に帰っていた。
「ルイスはまだなのか?」
「お父さんはまだみんなと楽しんでると思います」
「そうか」と言ってテーブルに立てかけてある村田銃を手に取り、ボルトを戻すとおもむろに引き金を引く。
カチンッ
空撃ちした音が耳に届くとテーブルに立てかけた。
「そういえば、俺の寝るところってあるのか?」
「そういえば決めてませんでしたね」
そう言うと奥の部屋からこの世界にあるとは思わなかった布団を持ってきた。
「その布団は?」
「前の持ち主が使ってた物です。臭いとかはその、我慢してください....」
(まあ、寝袋よりはましか)
布団を敷いてもらうと先に寝させてもらうことにした。今日はいろいろと疲れた。
「おやすみなさい、ユウキさん」
「おやすみ、リリカ」
そして頭まで布団を被ると突然睡魔が襲い、深い眠りについた。
「おい起きろ!」
どこかで聞いた声に怒鳴られて目を覚ますとどこかの塹壕が目に入った。
「死にたいのか?起きろ!」
俺は鉛のように重い体を起こすと何とか立つことはできた。
「よし、ここは敵陣地の中だ。急いで脱出するぞ!」
男は塹壕を走り始めた。俺は手にしているライフルを抱えて後を追った。
「ハァ、ハァ、ハァ」
疲労困憊の体に鞭を打ちながら走り続けるが塹壕はまだまだ続いていた。
「頑張れ!後もう少しで味方のところに着くぞ!」
そして前を走っていた男が塹壕の脇道から来た何者かに押し倒された。ライフルを何者かに向けようとしたが後ろで物音がして振り向くともう1人何者かがいた。すぐに俺はライフルを向けて引き金を引いた。
ズダンッ!
弾は何者かの胸に当たると仰向けに倒れた。振り向いて男を押し倒した何者かにライフルを向けようとしたとき何者かがナイフを振り上げていた。そして、
「やめろぉー!」
「やめろぉー!」
ばっと起き上がると荒い呼吸で体中が汗だくになっていた。
(......フラッシュバックってやつか)
頭に手を置き、ため息を吐く。
「は、はは」
思わず笑いが込み上げた。夢の中の出来事が夢でフラッシュバックするとか、なかなか体験できないだろうに。これもあの悪魔の仕業なのだろうか?....考えても仕方がない。
すると奥から物音が聞こえ、俺はホルスターからガバメントを抜いた。
「どう、したんですか?」
奥の部屋からリリカがランタンを持って出てきた。どうやら叫び声で起こしてしまったようだ。ガバメントを収めるとリリカの方を向く。
「悪い、起こしてしまって」
「いえ、大丈夫です。どうかしたんですか?」
リリカは心配そうに聞いてくる。
「なに、悪夢を見ただけだよ」
「悪夢?」
「ああ」
「...」
「...」
「...」
少しの間沈黙する。どれくらいの時間が経ったかは分からないが数分ぐらいそのままでいた。
「それじゃあ、おやすみ」
「...おやすみなさい」
俺がそう言うとリリカも返事をして奥の部屋に戻った。そして俺は再び布団を被り、眠りについた。
※1 瘴気
・原因は不明だが何らかの要因が重なることで発現する。特に大型の魔物に多く見られ、瘴気を纏った魔物は著しく知能を失うが逆に体全体の能力が大幅に向上するため倒すのは難しい。さらに瘴気を纏った魔物は素材が使い物にならないため冒険者たちにとっては厄介極まりない。
シリアスッぽい感じにしてみましたがどうでしょうか?気になるところがあればコメントして下さると幸いです。
ネクストォォァ! 異世界人が呼び出した物




