……違うよ、エルナ。
「……はぁ、やっぱり気持ちいいなぁ。ねえハイノ」
「うん、そうだねエルナ」
それから、数分経て。
そう、ぐっと身体を伸ばし口にするエルナ。そんな彼女に、ぼくも微笑み答える。今、そんなぼくらがいるのは帰り道から少し外れた小さな公園。緑豊かな景色の中で、ほどよい風が優しく頬を撫でて……うん、ほんとに気持ちいい。
その後、木組みのベンチにて他愛もない会話を交わすぼくら。エルナとのこういう何でもない時間が、本当に楽しく心地よく――
「……ごめんね、ハイノ」
「……へっ?」
そんな沁み沁みとした気持ちの最中、ポツリとそう口にするエルナ。……でも、いったいどうし――
「……わたし、ハイノなら優勝できるって、だから頑張ろってずっと言ってて……それで、ハイノにすっごくプレッシャーをかけちゃってたかなって……」
「……エルナ」
そう、少しうつむき話すエルナ。そんな彼女を見つめながら、ズキリと胸の痛む音がする。……違うよ、エルナ。きみのせいなんかじゃない。きみはずっと応援してくれていた。ずっと、ぼくを支えてくれたいた。……なのに、ぼくは応えられなかった。謝らなきゃいけないのは、ぼくの方。だから――
「……その、ごめ……っ!!」
そう口にするも、不意に止まる。エルナが、急に胸を抑え苦しそうに息をし始めたから。……いったい、エルナに何が……いや、とにかく今は彼女を支え――
――バタッ。
「――っ!! エルナ!! エルナ!! エル――」




