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百均店長、ちょっと役に立つ。

仕事が忙しすぎてプライベートのpcを開く間もありませんでした(TT)

続きも近いうちに書きますので良かったらご覧ください。

一夜明けて、俺とテルさんは特に目的もなく街をぶらぶらしていた。

昨日レッドボアを売って得たお金はもちろん収納魔法に保管済みだ。なんてったって一千万だからね。

失くしたり取られたりなんかしたら目も当てられないもんな。


そういえば、見るもの全てが珍しく、お上りさんよろしくキョロキョロしてばかりの俺にテルさんが

「なんじゃ、お主のおった世界の方が余程都会じゃろうに」なんて言いながら笑ってたけど、なんせ初めて

の異世界だからね。堪能しとかないと損だもんな。などと思っていたんだけど、特に目的もないので、お昼頃には市場や商店なんかを粗方見終えてしまった。


じゃあ早速次の街へ!なんて思ったりもしたけど、明日には日本に戻らないといけないしそんな訳にも

いかないよな。かといってこの街は特に観光名所みたいな場所も無さそうだし。とりあえず昼ご飯でも

食べながら考えればいいか。と考えているとテルさんの方から話しかけてきた。


「ジローよそろそろ昼にせんかの?」


「ああ、丁度俺もそう言おうと思ってたんだよね。どうせどこが美味しいとかわかんないし、適当に

お店決めてもいいかな?」


「昼間じゃしワシはエールが飲めれば飯のことは煩く言わんよ」


「え?テルさん昼間っからお酒飲むの?」


「金はあることじゃし、ちょびっとくらいエエじゃろう」


「まあ、テルさんが稼いだお金だから文句はないけど酔っぱらったりしないでよ。俺はこっちの常識とか

全く分かんないからテルさんだけが頼りなんだから」


「まったく…ホンにお主は臆病じゃのう。心配無用じゃエールくらいで酔うたりせんわい。こっちでの安全は保障すると言うとるじゃろうが」


「それなら良いんだけどさ。じゃあ、お昼にしようか」


俺たちは適当に選んだお店に入り昼食をとることにした。


二人が入ったお店は所謂定食屋と居酒屋が一緒になったような所で、雑多な感じが居心地良さげな

お店だった。俺はお任せのランチみたいなのを、テルさんはポトフみたいな煮込み料理とご所望の

エールを頼んだ。出てきた食事は特別美味しいって訳じゃないけどどこかしら懐かしい味わいで

なんとなく田舎の婆ちゃん晩飯を思い出した。テルさんはといえば出てきたエールを一気に飲み干すと

給仕の女性にお代わりを注文してた。昼間からどんだけ飲むんだか・・・。



食事もそろそろ終わり、会計でもと思った時だった。お店の奥から


「あちゃー!やっちまった!!」と男性の声


どうしたのかと見ていたら給仕の女性を奥に呼んで何か話しているようだ。

まあ、俺には関係ないかと会計を頼もうとしたら奥から大柄な男の人が出てきて


「悪ぃが今日の営業は昼で終いだ。スマンな」と一言。


俺はお金を払いながらその様子を見てたんだけど、


「いきなりそりゃねーだろう。なんかあったのかい?」


と他のお客の声。そりゃそうだ。いきなり言われても納得できない人はいるよな。

すると男性(おそらく店主さんだろうか)がこう答えた。


「野菜の仕込み用の包丁を落としちまって刃が欠けちまったんだよ。昼の分は大丈夫だが夜の仕込みが出来ねえ。だから今日は昼で終いだ」


「刃が欠けたくらいで出来ないもんなのか?」常連なのか更に食らいつくお客。


「ああ、多少着る事くらいは出来るんだがど真ん中が欠けちまったからな。高級店じゃないが皮も剥いてない野菜を出す訳にもいかんだろ。今から砥ぎに出せば2~3日後には使えるだろうが砥いだばかりの包丁で切った野菜じゃ金物臭くて食えたもんじゃないしな。店を開けるのは早くてその翌日以降からだな」


店主さんの言葉に俺たち以外のほとんどのお客が「オーマイガー!」状態に。えらく人気のお店なんだなあなんて思ってたらお客たちが口々に


「あんたんとこで仕事終わりに一杯ひっかけて帰るのが唯一の楽しみなのにどうすりゃ良いんだい」


「明日の定食は俺の好きな鳥の香草焼きだろ?そりゃないぜ」


「カンカに来た時の食事は全部ココでって決めてんのに!」


って言い始めて収拾がつかなくなってきて店主さんも困り顔だ。そりゃそうだよな、お客たちが言ってるのは全部このお店を気に入っている故の言葉だし、だからといって自分の拘りは曲げられないだろうし。って俺ってば名案が浮かんだかも。


「あのー。ちょっといいですか?」おずおずとたずねる俺。


「今それどころじゃないんだよ!金払ったんならお帰りはあっちだよ。なあ親父さん何とかならんのかい?」


ありゃ、やっぱりよそ者は関係ないってか。確かにその通りなんだけど折角浮かんだ名案だからここでこのまま帰るってのもなんだしな。それに今日までこの街に泊まるつもりだから出来たら夕食もこのお店で食べたいと思ってたところだし。なんて思ってたら給仕の女性(どうやら店主さんの奥さんらしい)が俺に声をかけてくれた。


「ごめんなさいね。亭主のドジのせいで騒がしくなっちゃって。それで今なにか話そうとしていたけど」


すまなそうに話す奥さんに俺の案を話してみた。すると奥さん周りのお客より大きな声で


「アンタ!ちょっとアンタ!良いからこっちに来な!このお客さんの話しを聞きな!いいから!」


うわ!この奥さん見た目と違って肝っ玉系だ。他のお客さんも知ってるのか奥さんの言葉を聞くと「ほらカミさんが呼んでるぜ」って感じになって騒ぎもいったん小康状態に。店主さんこっちに来るようだ。


「で、何の話だって?」と店主さん。


「いや、要するに野菜用の包丁の代わりになるものがあれば良いんですよね。ならコレを使ってみませんか?」


俺が出したのは皮むき器。所謂ピーラーだ。でも店主さんの反応は


「これが何だってんだい。兄さん、こっちはそれどころじゃないんだ。お客さんたちを納得させないとならないんだよ。」


どうやらこっちの世界にはピーラーは無いらしい。ならばと俺はさっき奥さんに説明した内容を反復してみようとしたら奥さんの鉄拳がいきなり店主さんの顔面にめり込んだ。こえ~。


「アンタ!人の話は最後まで聞けって何度言えば分かるんだい。いいから最後までこのお客さんの話を聞きな!アンタらもだよ。ウチが店を閉めなくて良い方法をこのお客さんが提案してくれてるってのに」


奥さんの言葉で店内は小康状態から静寂に変わった。お客さんにも容赦ないのね。。。


「イテテ、お前手が早すぎるって。・・・ったく。兄さん悪かったな。で、その変な形したのでどうやって皮を剥くんだい」


ようやく俺の話を聞く体制になってくれたようなので適当な野菜を貸してもらうことに。奥さんの指示で店主さんが厨房から持ってきたのは俺たちの世界でいえば人参とズッキーニとジャガイモに似た野菜だ。つーか何故かお客さんも皆してみてるし。良いけどね。


「いいですか?使い方は簡単です。こうやって野菜にこの部分を軽く当てて引っ張ると・・・ほら、こんな風に皮が剥けます。あと不要な芽のとこはこの部分でこうやると・・・ね、簡単でしょ?ってあれ?どうしました?」


「なんじゃこりゃ~!」


店主さんの反応と共にお客さんからもすんごい反応が。なんか不味かったかな。


「兄さん!スマンがそれを今すぐに売ってくれ!」


「いや、売るとかなんとか、良かったら差し上げますよ」


「そんな訳にいくか!こんな便利なもんただで貰える訳ないだろう!」


え?そんな大袈裟な・・・百均で売ってるピーラーごときで。でも、気に入ってもらえたなら何より。


「じゃあ、店主さんの払える範囲で。それとどうせ包丁は砥ぎに出すんですよね。でしたらこれだけあっても役に立たないでしょうからオマケでこれも付けますね」


と、リュックから出したのは果物ナイフだ。もちろんこれも俺が勤める百均店の商品だから両方あげても216円(税込み)だ。すると店主さん果物ナイフで野菜を試し切り・・・したかと思うといきなり


「大き目の野菜を切るには小さいかと思ったがこの切れ味・・・。兄さんにこの二つを今すぐ俺に売ってくれ!」 っておいおいマジか。


どうやらこの世界の刃物はまだまだ俺たちの世界の刃物には及ばないらしく、騎士とか冒険者(ホントにそんな職業があるんだ)等の職業でお金に糸目をつけずに剣とかナイフを作れる人じゃない限り切れ味の良い刃物を買うなんて出来ないようだ。でも百均で買えるプレス形成のナイフで驚くなんてな。


「なら、こうしましょう。俺たちは明日までこの街にいる予定ですので今夜の食事をご馳走して下さい。それでこの二つの代金という事で結構です」


「いやいや、そんなんで割に合う訳ないだろう。この便利さに切れ味。一つあたり銀貨5枚は・・・だが今ここで金貨1枚払っちまうと明日の仕込が・・・」


なんか店主さんのテンションがおかしい。百均の商品二つで10万円出そうとしてるし。流石にそんなに貰っちゃうと俺の方が罪悪感が・・・。なんて思ってるとテルさんから助け舟が。てか今までどこに居たの。


「のうご主人。ワシの主がええと言っておるのじゃ。ここは黙って受け取ればええじゃろ。どうしてもと言うのなら夕餉で歓待してくれれば良い。それにここは宿屋もやっとるようじゃから泊めてもらえるならこちらとしても助かる。如何かな」


「本当にそれだけで良いのか?俺としてはそんなもんじゃ足りないと思うんだが」


店主さんまだ言ってるし。


「いえ、もし本当に泊めて頂けるなら助かりますので、今回はそれで良い事にしませんか。奥さんもそれで良いですよね」 


「アンタ、男がいつまでもグズグズ言うもんじゃないよ。このお客さんが申し出てくれてるんだからお言葉に甘えようじゃないか。その代わり今夜は大ご馳走で歓待させてもらうからね。」


「お前がそう言うんなら。兄さん本当にそれでいいのか?」


「はい、それで大丈夫です。じゃあ今夜の食事楽しみにしてますね」


「おう!任せてくれ!いつも以上に腕によりをかけてやるからな!」


その夜は店主さんと奥さんの言葉通りいやそれ以上に、そして話を聞きつけた常連さんも大勢来て明け方まで歓待され眠れたのは空が白々とし始めた頃だった。エールも飲み放題で一番はしゃいでいたのは言うまでもなくテルさんだったけどね。


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