百均店長、金額に驚く。
あの後、受付に案内された俺とテルさんは冒険者としての登録を済ませレッドボアの査定が終わるのを待っている。
テルさんとこの後、宿をどうするかとか食事が美味い店があるといいなとか話していたら、ユーリさんとアツィオさんが戻って来た。
「お待たせ致しました。先程レッドボアの解体が終わりました。それで、結果から申しますと魔石持ちでしたので、お約束通り金貨100枚で買い取りさせて頂きます」
「しかし、レッドボアで魔石持ちだなんて本当に珍しいことです。お持込頂いたお二方にもお話を頂いたアツィオさんにも感謝の気持ちで一杯ですよ。ところでジローさんとテルさんとおっしゃいましたか、もう手続きはお済みですか」
ユーリさんの矢継ぎ早な報告と質問にちょっと驚いたけど「はいお陰様で」とだけ返答した。
受付のお姉さんが冒険者ランクについて説明してくれてたみたいだけど、お試しでこっちに来てる俺としては身分証以外の利用は考えていないのであまり聞かずに愛想笑いでスルーしたんだよね。
というより受付のお姉さんのナイスな胸元に釘付けで何も聞いていなかったというのが本当の所かな。一応、説明書みたいな羊皮紙を貰ったのでヒマがあったら読んでみよう。
などと考えていると、
「それではお約束の金貨100枚です、ご確認下さい」
ユーリさんに促された俺は麻袋中身を確認した。
「・・98、99・・100・・と間違いないですね。有難うございました」
「こちらこそ、大変良い取引が出来ました。また何か御座いましたら何時でもいらして下さい」
と、そこにアツィオさんが割って入ってきた。
「兄ちゃんたち有難うな!ってことでユーリ、早速こっちで買い取る分の相談なんだがよ」
と言うなりユーリさんの肩に腕を回して奥に引っ込んでいってしまった。本当に慌ただしい人だな。
取り残された格好になった俺達だけど、まあ取引も終わったんだしそろそろお暇しようかね。
「テルさんのお蔭でお金も手に入ったことだし今夜泊まる所を見つけて食事にでも行こうか」
「ふむ、そうじゃの。折角じゃし酒のある所がええのう。ああ、それと一応金貨を何枚分か銀貨に交換しておこうかのう。宿屋はええじゃろうが小さな飲み屋じゃと釣り銭がない可能性もあるでのう」
ふーん、そんなもんなんだ。なら一応両替しとくか。俺は麻袋から金貨3枚を取り出し受付で銀貨に交換して貰う事にした。もちろんついでに宿や居酒屋も聞いてみたよ。あ、当然だけど身分証の手数料もちゃんと払ったからね。
冒険者ギルドに紹介してもらった宿に着き、二人分の1泊料金を払った。銀貨1枚ってことだったけど貨幣価値が分かんないから高いのか安いのか全く判断できない。金貨3枚を銀貨に両替したら銀貨30枚になったので、日本円で言う1万円を千円に両替した感じなのかな。でもそれだと宿代が2千円?それは流石に安すぎるか・・。後でテルさんに聞いてみるかな。え?なんで今聞かないのかって?テルさんは今絶賛入浴中なんだよね。神様の眷属もお風呂入るんだねえ。
その後、テルさんと入った居酒屋でビールに似たエールってお酒を飲みながら食事したんだけど、このエールってお酒、不味くはないけどとにかくぬるい!キンッキンに冷えた生ビールに慣れた現代日本人にはちょっとキツイかも。それに食事も不味くはないけど全体的に味が足りない。まあ俺らの世界で言うところの中世っぽい感じだから仕方ないのかも知れないけどね。今後来る時はマヨネーズでも持ってこようかな。あっそうだテルさんにお金のこと聞かなくちゃな。
「ねえテルさん、さっき貰ったお金なんだけど貨幣の価値っていうか感覚が分からないんだよね。金貨とか銀貨ってどの位の価値があるの?」
「そうじゃのう、ワシも久しぶりに来たから若干変わっておるかも知れんが大体4~5人の家族で銀貨が20枚もあれば一月は暮らせたはずじゃよ」
「ってことは俺らの世界に当てはめると・・・銀貨1枚が1万円位の価値って事かな。ん、待てよ。銀貨10枚で金貨1枚になるんだから金貨の価値が10万円位・・・レッドボアの代金が金貨100枚・・・。10万円☓100枚・・・っていっせん!・・・」
俺は思わず叫びそうになり口を両手で塞いだ。だってそうだろ。テルさんが「ほいっ」って軽くあしらった大きな猪の値段が一千万円だよ!もちろん厳密には同じじゃ無い事くらいは理解してるけど大まかに言うとそうゆうことじゃん!ひゃ~!一千万かあ・・・。
「なんじゃ、さっきから一人でブツブツ言うとると思うとったら今度は口をふさいで。ジローよ気でも触れたのか」
「いや、だってテルさん。いきなり大金手に入れたら誰でもこうなるって」
「ふむ、そんなもんかのう。折角手に入れたんじゃ、好きに使えば良かろう。ワシはお主と気楽な旅が出来ればええんじゃ。じゃから金はお主が持っとればええよ」
テルさんは神様の眷属らしいからお金に執着無いんだろうけど、庶民の俺からしたらいきなり一千万円相当のお金を手に入れて気楽な旅って・・・。どうしよ。




