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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第一章 狭間の鬼
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第七十話 三英雄

慧海と時雨について書いたのでタイトルはこういう風にしました。ギルバートが何故英雄なのかは、語れる日がいつ来るかわかりません。

慧海は前にあったドアをノックすることなく開けた。プレートには総長室と書かれている。


「時雨、貴族派のデータがまとまった」


部屋の中では時雨の他にギルバートの姿がある。二人は机を挟んで向かい合っていた。


慧海は机の上に資料を置く。


「ちょうどだね。僕達もちょうどデータが完成したところだよ」


「そうなのか? これは時雨のだな」


慧海が椅子に座り時雨の作った資料を読む。対する時雨は慧海が作った資料を読んでいく。ギルバートはただ座っているだけだ。


そして、不意に時雨が顔を上げる。


「『炎帝』が貴族派代表か。いろいろとわかってきたな」


「ああ。昨日送られてきた周からの情報が役に立った。魔界五将軍の二人を擁立していれば、強いはずだ」


「だな。規模は末端兵合わせて約五万。実働部隊は一万か」


時雨が資料をパラパラと捲り、机の上に放り投げた。そのまま背中を深く椅子に預ける。


一万という軍隊に対抗するにはそれに近い数を必要とする。だが、第76移動隊は天才の集団だから多少数が少なくてもどうにかなる。ただ、メンバーが少なすぎる。


「勝率は五分だな。周の二重変化デュアルシフトがどこまで使えるか。慧海はデバイスシステムの開発者としてどう思う?」


「あいつらしい技術だよ。凡庸性や応用性も高い。器用貧乏でも上手く使えば強くなれる。一般にも使えるな。ただ」


慧海は軽く溜息をついた。


「新型デバイスを三つ使用っていくら金がかかることやら。試算だと一機につき二百万。メンテナンスは今までの三倍」


ちなみに、『GF』の新型デバイスは一機十万ほどだ。その値段から見て有効的な成果を上げることは期待出来ない。


時雨は小さく溜息をついた。


「まあ、最大の問題は貴族派じゃなくて狭間の鬼だけど。オレはあいつと同じ存在だと思っている」


「時雨もか? オレもだ。多分、『穿つ神』が存在した理由の一つだろうな。貴族派がいなければ狭間市に突撃するけど」


「僕もかな。でも、問題は貴族派や狭間の鬼じゃないかもしれない」


ギルバートはポケットから取り出した資料のページを開けた。それを二人に見せる。その資料にあるのは音姫と周が持つレヴァンティン。

時雨はギルバートを見た。


「これは?」


「僕の方で個別に調べたものだけど、音姫と周が持つ武器。音姫は多分、二重人格」


「二重人格? クロハみたいなものか?」


慧海の言葉にギルバートは首を横に振った。時雨は話がわからないという風に眉をひそめている。


「クロハは二重人格じゃなくて一人の中に二人が入っているだけ。音姫の場合は人格が二つある。これらの違いは言動と戦果」


その言葉に時雨はハッとして立ち上がり、本棚に近づいた。そして、本棚から一冊の本を取り出す。


それを見た慧海は納得したように頷いた。


「そういうことね」


「慧海も気づいたか? 音姫の戦果に二種類あることを。一つは敵を全員気絶させて終わらせるもの。もう一つが恐怖で抵抗させないこと」


「後者の時は同じ部隊にいた奴から別人だったって言われていたしな。オレらは別に気にしなかったけど。凶暴化か」


音姫の剣技はこの中にいる全員がわかっている。わかっているからこそ、凶暴化した時の味方の被害がどうなるかは想像がつく。


時雨は捲っていた資料をパタンと閉じた。


「で、周の場合は?」


「この剣だけど、見た目は普通の剣だよね」


確かにレヴァンティンは見た目は普通の剣だ。周がそういう風に組み立てたからでもあるが。


だが、普通だからこそおかしな部分がある。


「周が持っているデバイスは旧型と新型の二つ。なのに、デバイスが三つ必要な二重変化デュアルシフトが可能なのか」


「言われてみれば確かにおかしいよな。二重変化デュアルシフトにデバイスが複数必要なのは処理効率を上げるため。その理論はデバイスシステムの開発したオレが証明出来る。でも、数の少なさは無理だ」


「周がオーバーテクノロジーを使っている可能性か? 慧海もそれなら可能だろ」


オーバーテクノロジーの恐ろしさを知っているからこその発言だ。


ギルバートは頷いた。


「そのオーバーテクノロジーがどんなものかわからないけど、ピンチになれば必ず使うはずだよ。そうなったら」


「何が起きるかわからないか。くそっ、手を出せないのが腹立たしい」


「時雨、落ち着け。今は周達を信じるしかない。周達が貴族派の面々を倒すことを。でも、最悪の事態になれば」


「オレ達が出る、か? ギル、頼めるか? この中で最速のお前なら何とか出来るはずだ」


ギルバートは軽く肩をすくめて立ち上がる。


「やってみるとするよ。貴族派が現在どれだけの規模を呼び寄せているかわからないけど、やってみる。別に倒してしまってもいいよね」


「好きにしろ。総長権限でいくらか守ってやる」


「頼むね。僕は、手加減出来ないから」


そう言ってギルバートは笑みを浮かべた。


この物語を投稿してから今日で1ヶ月経ちました。これから戦いが激しくなります。途中からR-15にする予定です。大体、九十話くらいでしょうか。

これからの話のちょっとネタバレ。

周が持つ限定的絶対防御が限定的絶対防御(笑)になります。期待していてください。

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