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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第一章 狭間の鬼
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第六十六話 デバイスと魔術

『GF』と『ES』がデバイスを使う最大の理由です。書くの忘れていたのであえてここで書きました。

「なあ、一ついいか?」


何故か机の上にぐったりしている和樹が生徒会室から戻ってきたオレに尋ねてきた。傍から見ればただの死体にしか見えなくもない。


「なんだ」


多分、オレと都達の関係でも来るんだろうな。


「なんで魔術の授業が二回もあるんだ?」


確かに、魔術の授業は二時間目にあった。実戦魔術の授業は。


「そっちか。論理魔術と実戦魔術は別物だ。論理魔術は属性の基礎から習いなおす。それが習っているか習っていないか関係なく」


「つかよ、小学校の頃やっているんだが」


「だったら、雷属性の特徴を言ってみろ」


「えっと、力が霧散しやすい。指向性の魔術に向かない。防御手段が少ない」


和樹は指を曲げて数えながら答える。それにオレは頷いた。


「そう。特徴を知っているのと知らないとでは防御魔術の発動で命にかかわることがある。実戦魔術の大半は防御魔術らしいから防御魔術はそっちを極めた方がいいだろな。でも、知識を増やして対抗できるようにするのは論理魔術が必要だ」


「よくわからん」


「だろうな」


論理術式が必要であるとみんなに教えるにはたくさんの時間と理解が必要だ。実際に評議会の爺共の半分近くは論理術式がいらないのではないかと思っているくらいである。だけど、さっき言ったような防御魔術の応用や上位の魔術、簡単に言うなら魔力そのものを操作するなど、極めて暴走しやすいものを使う場合は論理魔術が不可欠となる。オレも時雨から必死に習ったからな。


和樹が小さくため息をついた。


「お前と都様達のことはみんな内心では納得しているよ。お前らが来る一ヶ月ほど前には嫌われ者だった地域『GF』が全員行方不明になったからな。空白期間は千春様が崩壊しかけた学生『GF』をまとめて。都様が『ES』の穏健派を呼び込んでくれた。最初はお前らのことを不審に思っている奴らも多かったけど、都様が必死に宣伝していたからな。この学校でお前らの関係に気づいていない奴はむしろ少ない」


「そうだな。最近いろいろありすぎて地域『GF』がいなくなったことを忘れていたよ」


地域『GF』全員が行方不明となった。あの日から頑張ってくれたんだな。


「論理魔術でも先生を泣かせるつもりか?」


「しねえよ。オレが論理魔術でうるさいのはデバイスと魔術の関係性だ」


「魔術補助のことか?」


デバイスは所持者が使用する魔術を補助することが出来る。それは特別仕様にしなければいけないが、基本的に魔術は相手の魔力に直接ダメージを与える手段なので、物を壊したい時はそういう風に補助をして転換しないといけない。


実際に正規部隊に配られるデバイスの大半はその機能が付いている。正規部隊自体がいついかなる時も動けるような部隊なので災害時には最速で現地に入るからだ。そして、負傷者の救助に当たるためそういう風になっている。


「魔術補助に関してはかなり使えるからな。最近増えている戦闘用じゃない個人所有用のデバイスにだってその機能は付いている。デバイス自体が二世代三世代前だからいいけど」


「そんなに古いのかよ。確かに、戦闘用や据え置き型と比べてはるかに劣ると言われているけど俺らからすれば画期的な開発だぜ。おかげで携帯電話が使えるからな」


「ちなみに、一世代前から携帯電話はデバイスのみで出来るようになっているから」


「技術の古さを感じさせるな」


デバイスで連絡取りあった方が確実だしな。携帯電話は混戦しやすい。ただ、電話とメール以外の機能はデバイスにはないけど。


「つか、なんでお前は煩いんだ?」


「オレの場合はいつもフル仕様だからな」


オレはそう言って自分の左腕を触った。あの日からオレの左手は・・・


「何かあったようだけどお前が話すまで聞かないさ。おっ、先生来た」


和樹が前を向く。オレはその間も左腕を触ったままだった。


今では傷の跡がほとんど分からないくらい治っているが、あの日、『赤のクリスマス』の日からオレの左腕には本来あるはずの神経が通っていない。


理由は、神経が本来ある部分が根こそぎ破壊され未だに再生していないからだ。その怪我で実際に助けれた命を助けることが出来なかった。だって、オレ一人助かったから。


「デバイスの補助があるからだよな」


オレはそう言って左手を動かす。


神経が通っていないなら使えないはずなのだが、そこはオレのレアスキルの力でカバーしている。


『強制結合』。


触れているものを無理やりくっつける能力。これにより、神経を強制的につなげて左手を動かしている。だから、常にレアスキルの発動が必要になるのだ。レヴァンティンはそれを補助してくれる。


それが、オレがデバイスの魔術補助に関して煩い理由だ。


「今の自分がいるのはデバイスの力があったからだけどな」


『マスターはさすがですよ。私がいない間は自分での処理だけでやっていましたし。それでかなり強い評価までいただいていましたよね』


レヴァンティンが小さな声で言ってくれる。


「そうだな。でも、お前がいたから助かっている。今日はよろしくな」


『はい、マスター』


ちょっとしたネタバレ

レヴァンティンが話せるのは皆さんご存じだと思いますが、初期製作の頃は話せなかったものです。オーバーテクノロジーだからというわけではありません。2012年夏公開予定の短編集を集めた物語である「始まりのクロニクル」で語る予定です。一応宣伝込みで。

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