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セレスのご褒美日

今日はセレスのご褒美日である

前回うやむやになってしまった剣を買いに来ることになったのだが

正直、気まずい

聖女のことがあってからセレスと関わるのを避けていたところもある


「ご主人様、今日はありがとうございます」


「ああ、うん

好きなの選んでいいからね」


セレスは好きで私の奴隷になった訳じゃない

まあ、それを言ったらアイザックもなんだけど

アイザックは私の奴隷という立場を嫌だと言ったことがない

いや、本心ではもしかしたら嫌だと思っているのかもしれないけれど……

セレスは自由になりたがっている

なのに、私は手放せないでいる……


「ご主人様……あの」


「え?あ、何?」


「手を……繋いでも構わないでしょうか?」


「う、うん、別にいいよ」


「ありがとうございます」


手を繋ぐぐらいで、そんな嬉しそうにされると……


「最近、ご主人様が何か悩まれてることに気づいてました」


「…………」


「俺はもう必要ありませんか?」


必要ないって言ってあげるべきなんだ

だって、もうセレスは自由になりたがってるんだから

でも、私は


「……ごめん」


「やっぱり、そうだったんですね」


「ごめん、セレス

まだ手放してあげられない」


「え?」


「セレスが自由になりたいって知ってて聖女に会わすの嫌がったり

セレスの気持ち知ってるのにこういう事言うの凄く狡いけど

もう少しセレスにはそばにいてほしい」


もう少し……もう少しでいいから

このままでいたいんだ


「俺はまだ必要ですか?」


「……当たり前

1番寝心地のいい枕だもの」


照れ隠しでそんなことを言ってみたりする


「枕ですか?

まあ、アイザックは固いし、ティルトは寝相が悪いし、キキルは仕事で夜が遅いですし

新しい3人は……どうだかしりませんけど……」


「個人的な1オシはホーリーなんだけど

恥ずかしがって寝てくれないんだよね」


あの着ぐるみのような体は抱いて寝ると気持ち良さそうだ

ミズチは眠る時は水に浸かっている方が楽らしいし

クラウドは……どうなんだろう?

大体立ったままスリープモードになってるからな……


「……ホーリーも男ですからね」


「分かってるよ」


でも、今更女の人を抱きしめることもできやしない


「あ、あれ美味しそう」


屋台の串焼きを指差せば


「本当ですね

食べますか?」


「うん、食べよう」


懐から財布を出そうとすれば


「俺が出しますよ

おじさん、串焼き2つね」


セレスが出してしまった


「なんだい?可愛いカップルだね」


「そう見えるかい?ありがとう」


「なに、いいってことよ!また買ってくれよな!」


カップルって……セレスは否定しないし……ええ?どうなってるの?


「私が主人なんだからちゃんと払うよ」


「ご主人様は俺達にも給金を払ってくれています

だから、たまには、ね?」


「……セレスがいいならいいけど」


奴隷達にも今は給金を渡している

そのお金で自分を買い戻したいなら買い戻せるように

でも、アイザックはお酒に煙草、ティルトは怪しげな実験道具、

キキルは何に使ってるんだろう?

ミズチは装飾品とかが好きだ

時折見せてもらうが、とても綺麗でミズチにどれも似合っている

今度、私のコーディネートもしてくれるらしい

ホーリーは料理の新作開発に使っているようだし

個人的に勉強として食べ歩いたりしているようだ

クラウドの場合は壊した窓代や扉代に給金が消えていっている

そんな中、あまり物を欲しがらないセレスはてっきり自分の代金を貯めているものだと思ったのだが


「はい、ご主人様と一緒に食べられるのなら言うことなしです」


それから手を繋いだまま

あちこち街を歩いた

途中の雑貨屋では髪飾りを買ってくれるというので流石に遠慮した

今日の目的はセレスの剣である

私のものばかり買っては勿体無い


「俺はご主人様が俺の買ったものをつけてくれると

それだけでいいんですけどね」


「そんなことでいいの?」


「ええ、だから受け取ってください」


「フードで普段は隠れるよ」


「俺と一緒の時であればフードも外せますよね」


「いや、外せるけど……」


「受け取ってください」


「……ありがとう」


「つけますからね、動かないでくださいよ

ああ、とっても似合ってます」


「そ、そう?……ありがとう」


家族以外の男の人に何か買ってもらうなんて初めてだ

いや、セレスはもう家族か


それから武器屋に向かった

相変わらず武器を見てもどれがいいのか全然分からない


「片手剣を見せてくれ」


「はいはい」


年老いた店主がのろのろと動く


「片手剣はここに置いてあるのがそうだよ」


片手剣が樽の中に何本も刺さっている

えーっと、こういうときアドバイスすべきなのか!?

いや、でも、私みたいに何も知らないのが言っても


「ご主人様、これにします」


「そっそう、決まったの?」


「はい、俺はこのハガネの剣にします」


「もっと良いの買ってもいいんだよ?」


よく分かんないけど、もっと良い剣もあるんじゃないの?


「いえ、今の俺にはこの剣で十分です

剣は切っていくと斬れ味が悪くなるのでそこそこの物の方がいいんです」


「えっと鍛治とかあるんじゃないの?」


「ありますが、修理に出している時間がかかるので

俺は買い直す方が好きです

勿論、どうしても気に入った剣があれば別なのかもしれないですけど」


そういうものなんだ……


「セレスがいいならいいよ

買おう!店主、いくら?」


「はいよ、金貨3枚だよ」


「はいはい」


「お待ちください」


セレスが止める


「この剣が3枚だと?

ぼったくりすぎじゃないのか?

せいぜい金貨1枚と銀貨5枚くらいの物だ」


「なんだいアンタ?」


「この方は夢見草と桜月亭の店主だと知っての態度か?」


「は?夢見草……桜月亭ってあの!それは失礼しました!

金貨1枚と銀貨5枚で構いません!」


えっと、いいのかな?


お金を渡し、店を出る


「キキルと一緒でしたら確実でしたのに」


「そうか、鑑定すればよかったのか」


鑑定の力を使うのを忘れていた


「ご主人様は抜けているところがあるので心配です」


「そうかな?……でも、セレス達がいてくれるからこれでいいよ」


「そうですね、俺はお側にいますから」


「ん?」


「なんでもありませんよ

ほら、行きましょう」


また手を繋がれてそのまま帰った


「グヌヌヌ、ズルイのだ

また手を繋いでいるのだ!」


「あれだよね、ぼくたちが見ていることに気づいてやってるねぇ

セレスくんも侮れないよねぇ」


「ご主人様、あのように可愛らしい顔もされるのですね」


「ご主人、嬉しそうだな

えかった、えかった」


「録画録音は出来ている

再生するか?」


「うーん、クラウドくんそのデータはいらないかな?

本当、油断も隙もないよね

セレスくん、ちゃっかり自分の物アピールにハニーちゃんに髪飾りなんて買っちゃってさ

独占欲強いよね」


なんて、彼等がついてきていることなど知る由もなかったのだ


『なんで、アイツばっかり!良い男侍らせてんのよ!!』


嵐は近づいてきていた

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