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4人目

翌日、起きると居間でアイザックが酒瓶を抱いたまま寝ていた


「酒臭い……」


『私と飲み比べをしましたの

アイザック様、なかなかお強かったですわ』


ゴースト相手に飲み比べを挑んだのか……そりゃ潰れるわ


「あー、お兄さん二日酔いだよぉ、慰めてハニーちゃん」


酒臭いまま抱きついてくるアイザックには酔い覚ましと二日酔いに効く薬を口に押し込んでやる


「ぐっごく、があ!」


呻いているが知らん!


「そういえばご主人様、昨日コレを陽蘭亭の店主からご主人様に渡すように頼まれました」


「陽蘭亭の店主から?」


セレスから手紙を受け取ると


『お客様に是非ともお買い上げしていただきたい奴隷がおりますので

お身体が空きましたら当陽蘭亭にお越しいただきますよう

お願い申し上げます

陽蘭亭店主 キキル』


「何て書いてあったのだ!?」


妖精サイズのティルトが手元を覗き込む


「奴隷を買ってくれってさ」


「ご主人様、また奴隷をお買いになるのですか?」


「いや、またって程、買ってないから

買ったのはセレスくらいのものでアイザックは賞品だしティルトは成り行きだから」


でも、もう奴隷は正直いらないんだけどな

それをあの店主が分かっていないとは思わないんだが……


「どうするんですか?」


「とりあえず陽蘭亭に顔は出すよ

その前に薬を弥生に卸しに行きたいし」


「俺、持ちます」


「お兄さんパース、今日はベットとお友達してるぅ

今のセレスくんのレベルなら魔の森もいけるでしょ……うぅっぷ」


「ティルトはミコと行くのだ!」


戦力にならないアイザックの世話をロージーに頼んで

弥生に向かった


相変わらず弥生の店主は

開いているのか開いていないのかよく分からな目をしているが

薬を渡すと目を輝かせていつもより多めにお代をくれた

なんでも、新しく入った新人に指名が多いらしい

是非、指名を!と言われた


ミツキ以外興味がなかったので断っておいた


ミツキの水揚げの日が決まったらしい

その日は顔を出す約束をして店を後にした


「ミツキってミコの何なのだ?」


「……元枕、兼友人だった人」


「今はティルトがいるのだ!」


「そうだね

でも、世話になった人だから自由になる時には花くらい贈らないとね」


「そういうものなのだ?」


「そういうものだよ」


陽蘭亭に着くと陽蘭亭は今日も賑わっていた


「聞きましたか!ジギタリスが摘発されたそうですぞ!」

「まあ、あそこは前から黒いとの噂がありましたし……その点、陽蘭亭は安心ですわ」

「そうですな。あっはっは」


「ジギタリス摘発されたんですね」


「そう……みたいだね」


店員に店主を呼ぶように声をかけると


「ただいま主人商談中ですので少しお待ちください」


と言われた


ティルトは陽蘭亭が珍しいのかあちこち飛んで行っては戻ってきてを繰り返している

今日は特に買うものもないし……暇だ


「お客様!困ります!」


「こんなの納得できるか!?俺は息子だぞ!分かっているのか?」


「申し訳ありませんが、お引き取りください」


……何か揉めているらしい

こっちに火の粉がかからなければなんでもいいや……


男は文句を言いたいだけ言って帰って行った


「これはお客様、ようこそお越しくださいました

先ほどはお見苦しいところをお見せして申し訳ございませんでした

話しは中で」


中に入っていくと店主は「商談中」の立て札を立てた


「手紙の件で来て下さったのでしょう?

実はお客様の奴隷になりたいという奴隷がおりまして

是非ともお客様にお買い上げ頂きたいのです」


「私のには奴隷は足りている

だから……」


「そこをどうかお願い申し上げます」


店主はなおも頭を下げる


「どうして……そこまで?」


「買って頂きたいのは私なのです」


………………は?


「セレス、ティルト帰るよ」


「はい」


「お、お待ちくださいお客様

話を聞いて頂きたいのです」


「…………で」


「実は私は奴隷なのです

前の主人からこの陽蘭亭を受け継いだにすぎません

先ほどの男は前の主人の息子になります

陽蘭亭の跡継ぎは自分だと、そう申しております」


「……それで」


「私には生まれつき持って生まれたスキルが御座います

縁のスキルというものなのですがその名の通り

縁が繋がっているもの同士を見分けることのできる能力です

この能力を使って今まで奴隷を売ってまいりました

縁の繋がっている奴隷を購入されたお客様は予想以上の奴隷に満足されます

買われた奴隷もまた不幸になるということはございません

ですが、縁が繋がっていないと両者ともに不幸になることもございます」


そんなスキルがあるんだ


「お客様には多くの縁が見えます

その中にはセレス様とティルト様と繋がっておられます

この私とも

絶対に損はさせません

貴女のお役に立ってみせます

どうか、私をお買い上げください」


「そもそも前の主人から店を譲られた時点で店主は奴隷から解放されているんじゃないの?」


「はい、解放されております」


「なら」


「ですが、私は奴隷としての生き方しか知りません

生まれた時から奴隷だったのです

今更どう生きて行けばいいかも皆目検討がつかないのです

この陽蘭亭を続けてまいりましたのも前の主人からの最後のご命令

『この店を守るように』があったからでございますれば

どうか、私をお買い上げください」


「…………」


どうしよう……?


「あんたが買われたらここにいる奴隷達はどうなるんだ?」


「奴隷達は信頼の置ける者のところへ移しております

どうかご安心を」


「分かった……キキル、あなたを買う」


「ありがとうございます」


こうして4人目の奴隷を私は手に入れた


「こいつなんか胡散臭いのだ」


この時、ティルトのこの言葉にもっと耳を傾けておけばよかったのだ

そうすれば………………しなかったのに

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