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召喚

私は……私たちのクラスは突然異世界に喚ばれた

勢力を伸ばしている魔族を魔王を抑える為に勇者として召喚されたのだと

王族を名乗る男から説明されたが、受け入れられることもなく

いや、一部分からは受け入れられたようだが

私といえば何が何だか分からずただ呆然と話を聞いていた

分かったことといえば、もう父にも母にも妹にも会えないということだけだった


クラスのリーダー格の少年があの王族は「怪しい」と言った

「話ができすぎている」とクラスの別の少年は言った

「今は動くべきじゃない!もう少し様子を見てからでも遅くない!」と別の少年も言った

「俺は勇者なんだ!選ばれた存在なんだ!」と叫ぶクラスメイトもいた


何もかもが混沌としていた


私と友人はリーダー格の少年と行動を共にしていた

リーダー格の少年は別の少年の意見を取り入れ、城で暫く様子を見ることにしたらしい

毎日、剣の稽古と魔法の訓練

そんなある日、お姫様と呼ばれる存在が現れた

お姫様はそれは綺麗でおとぎ話に出てくるような人だった

そんな人が涙ながらに「この地を救ってください、勇者様」と頼まれたら

嫌といえずリーダー格の少年も「分かりました」と答えた

女子からは冷たい目で見られたりしていた

そんな女子には騎士が現れた

「あなただけを危険に晒すようなことはいたしません

この命を懸けてあなたを守りましょう」

それこそ現代の生活では出会うことのない海外俳優のような青年に

傅かれて手を取られて見つめられて……のぼせ上がるのも仕方がなかった

私もその1人だった


そして、運命の日がやってきた

その日は鑑定を行う日だった


逃げた以外のクラスメイトが次々に鑑定されていく

大抵、職業は勇者 そして武器スキル魔法スキルやHPやMPになんらかの祝福を受けていた

女子の中には職業、聖女もいた。女子も同じくパラメータに祝福を受けていた

私の番がきた

私の職業は神子だった。スキルは女神の祝福1つのみ、パラメーターはクラス中で最低だった


それでも友人は

「サクラ大丈夫だよ」

「うちら友達じゃん!」

と、慰めてくれた


リーダー格の少年も

「足りないところを補え合えばいいんだ」と言ってくれた


傅いてきた騎士も

「私がお守りするので問題ありません」と今まで以上に愛を囁いてくれた


それが悪い方に転がっていったのは

実技訓練が始まった頃からだ


実技訓練が増えるに従って、皆怪我が増えていった

もちろん回復魔法ですぐ回復されるが、痛いことに変わりはない

そしてレベルも上がっていった

でも、私は怪我もしない代わりにレベルも上がらない


「サクラはもっと積極性が必要だよ!」


友人達に言われ、剣を振るうも剣が魔物を通り抜けてしまう


「なんなんだよソレ!」


そんなクラスメイト達の反応とは反対に私の城での待遇はよくなる一方だった

豪華な食事、豪華なドレス、愛を囁く騎士達


恐ろしくて仕方がなかった


次第にクラスメイト達と距離が出来始めていた

それでも、私は友人達といたかった

1人は怖かった


ある日、姫がリーダー格の少年と話しているのを聞いてしまった


「カツラギは戦闘に向いていないようだ

今からでも街の方で仕事を探してもらえないだろうか?」


職業が生産職だったクラスメイトの何人かは街で生活していた

私も何度か城の役人に掛け合ってもらったが相手にされなかった


「申し訳ありませんがカツラギ様は神子です

故に街に……というわけにはいかないのです」


「神子……神子ってそんなに守らないといけないものなのか?」


「いえ、そうではありません

過去にも神子の職業の方はおられました」


「なら!あいつも街で!」


「神子は切り札、故に手放すことはできません」


「なんなんだよ!ソレ!」


リーダー格の少年が苛だたしげに壁を蹴る


気まずくなってその場を離れた

その日からリーダー格の少年に無視されるようになった

リーダー格の少年に無視されるようになってから友人達とも距離ができてしまった


そして、あの日ついに不満が爆発した

私は柱の陰に隠れていた


「サクラばっかりズルいじゃん!私たちばっかり苦労して!」


「だいたい、神子って何なの!?意味わかんない!」


「そうだよな、なんであいつばっかり!

やっぱり納得できない姫に直談判してくる!」


やってきた姫はやはり私を城から出すことはできないと言った


「何でなのよ!私らが勇者でしょ!」


「みんなの不満が高まっている。このままじゃ勇者なんて出来ない」


すると、姫は話し始めた

神子にまつわる忌まわしい話を


「神子とは神の子、つまり神よりの預かりものなのです

彼女には文字通り命を懸けてこの国を救ってもらう義務があるのです」


「は?何よそれ!?」


「神子は天に帰っていただくしきたりが御座います

その時にこの国の平和を願っていただかなくてはならないのです」


「アイツだけ帰れるってこと?ふざけんな!」


「……ちょっと待てよ。それってそういう意味じゃなくて

カツラギに死んでもらうって言ってるんじゃないのか?」


「え?まさか!嘘でしょ」


「神子は天に帰っていただくのがしきたりですので」


「いや、意味わかんないだろ?何でカツラギを殺す必要があるんだよ」


「神子は神々のものですので、お返しするのが1番ですわ

愛し子の命を引き換えにした願いであれば神々も拒めませんから」


「ふざけんな!あんなのでもクラスメイトだ!

殺します!はい、そうですか、って言えるかよ!」


リーダー格の少年が姫を睨む

姫は悠然と微笑んで


「なら、あなたが死んでくださいますか?」


「は?」


「あなた方が魔王を倒してくだされば問題ありません

でも、痛い思いをするのはお嫌でしょう?

それなら神子様にお願いすればいいのです

神子様にが命を懸けてさえくださればこの国は平和になりますし

あなた方も平和に暮らせますよう取りはからいましょう」


「そんな……だって、サクラは……友達……だし」


「友人でしたら友人の為に命を懸けて当然ではございませんか?」


「……当然……?」


「オイ、お前らなんか様子がおかしいぞ!姫の言葉に惑わされるな!」


リーダー格の少年が声を荒げてももう周りには届かない


「あらあら?催眠の効きが悪いこと……流石は勇者というべきね」


「お前、俺たちに何をした!?」


「何も?ただ、ちょっと私達のことばを伝わりやすいようにしただけですわ」


「ふざけるな!」


「あなた1人で何ができるかしら?」


「カツラギ!逃げろ!ここにいたら殺されるぞ!!」


「っ!誰か!この者を黙らせて頂戴!」


そこから先はあまり記憶にない

気がついたら森の中にいた

そこから走って走って走って川の水を飲んでまた走って走って

襲ってくるモンスターもいたけれど、すり抜けて走り続けた

何度もそれを繰り返した後


「ありゃ、こりゃなんだね」


私は老婆に拾われた


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