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アルティメット エンド  作者: 齋音寺 里
第六章・大樹が護りし古の遺跡
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第十話・幸運のお守り(3)

「……さてと。そろそろ出発しないとな」

「そうだねぇ」



 レオンとリオンの言葉に、フィトはこくりと頷くと――。

 ルルディとゼフィランサスの方に向き直る。



「少しの間、お別れだね」

『……へへ。やっぱ寂しくなっちゃうなー』

『……そうですね。何ででしょうか、フィトは本当に不思議です。ルルディはともかく、私までこんなに寂しくなってしまうとは……』

『……ほんとにねー。最後にハグしよ、ハグ!』



 ルルディはそう言うと、ゼフィランサスも巻き込んで『……ぎゅーっ!』と、フィトに抱き着いた。



「えへへ。そんな風に好いてもらえて、私も嬉しいなぁ!」

『……フィトっち、そのブレスレットよく似合ってるよ! フィトっちの、キレイな翠の瞳と同じ色! センスバッチリだったって、ダフネ様にお伝えしておくねー!』

「うん! よろしくお伝えしてね!」

『……レオン、リオン。あなたたちに頼み事をするのは(しゃく)ですが……フィトをよろしく頼みますよ』



 最後まで眼鏡を光らせるゼフィランサスに「おう」と、手を挙げて答えるレオンと。

「は? 当然でしょ」と、半眼を向けるリオン。

 完全に火と油の関係になってしまったリオンとゼフィランサスだが、最後まで二人らしいといえば二人らしいのかもしれない。

 ふん、と一足先にリオンは石段を下り始める。


 別れ際、ルルディは『……フィトっち! 早いとこ、お兄ちゃんに会えるといーね!』と、声を上げる。

 手を振ってくれるルルディとゼフィランサスに最後まで応えると、フィトもレオンと共に階段に足を下ろした。


 三人は、それぞれの思いを胸に。

 風の祭壇に繋がる街――アルカディアを目指して進むのであった。




 ***




 樹の精霊たちに見送られ、三人は樹の祭壇と遺跡を後にした。

 この石段を下って、山道をさらに進んでいくと、クレーヴェルの反対側の(ふもと)へ下山できるらしい。


 せっかく登ったのに下りるなんて……と、ぶつくさ文句を言うリオン。

 そんな弟を励ましつつ、説教を垂れるレオン。

 言い合いに夢中になっている兄弟に目もくれず――。フィトは一人、上の空だった。



(ダフネ様が最後に言ってたこと……あれって、何のことだったのかな……?)



 自分のことを、物凄く大切に扱ってくれたダフネ様。

 ダフネ様が言っていた“過酷な運命”とは、一体何のことなのだろうか?

 仲間が敵にまわった事で思い悩んでいるレオンとリオンに対してではなく、ダフネ様は自分に向けてあの言葉を伝えてきたのだ。


 誰かが呼んでいるような、あたたかな陽だまりの中。

 ざあっと強い風が吹いてきて、石段を囲むように生い茂った木々を揺らしていった。

 なびく髪を抑え、フィトは思わずきゅっと瞳を閉じる。


 気のせいだろうか。何か、大切な事を忘れているような――。

 急に、そんな気持ちに駆られた。

 風はもう止んだというのに、そのまま立ち止まって後ろを振り返るフィト。

 しかし――。そこには、いま降りて来た石段が上に続いているだけ。



「お~い、フィトー?」

「どうした? 何かあったかー?」



 石段の下の方で、リオンとレオンが自分を呼んでいる。

 立ち止まっていたせいで、いつの間にか距離が開いてしまっていたようだ。



「あっ、ごめんね! なんでもないの!」



 我に返ったフィトはそう言って、慌てて石段を駆け下りていく。

 この旅で明かされていく真実を、少女はまだ知らない。

 右腕に身に着けた“幸運のお守り”が、木々の隙間から降り注ぐ陽光を受けて、鈍く優しくキラリと光った。

ここまでお読み頂き、ありがとうございます!

いやー、長かった!(自分で言っちゃう)


さてさて。

先週告知しました通り、少しの間、毎週木曜日の投稿をお休みさせて頂きます。

そんなに長く離れるつもりはないので、作者が頑張って書き溜めるのを待っていて頂けたら嬉しいです。

ではでは~ありがとうございました!

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