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わんこ農園にようこそ! 〜スマホゲーム世界に転生した俺の愉快な日々〜  作者: 鳴神楓


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チュートリアル

「それじゃ改めてチュートリアルを始めますね」

「うん」


 チワワっぽい二足歩行犬の言葉に俺はうなずく。


 ゲームキャラが「チュートリアル」と言ってしまうのはメタっぽいけど、まあ今更だろう。

 そもそもゲーム世界の中なのに、スマホでそのゲーム画面が表示できる時点で、この世界がそういうメタい要素がある設定なんだと理解するしかない。


「まず、サポートキャラであるぼくの名前を付けてください」

「名前? えーっと、じゃあ『チビ』はどうかな?」


 ゲームの自キャラに名前を付ける時と同じノリで、見た目そのまんまの名前を口にしてしまったが、幸い彼は気に入ってくれたらしく、嬉しそうな顔になって尻尾を振った。


「『チビ』! すてきな名前です。ありがとうございます!」


 チビがそう言うと同時にどこからともなくピロンと効果音が鳴って、チビがつけている黄色のエプロンに「チビ」と大きく書かれた名札が付いた。


「それでは畑を設置しましょう」

「うん。どうやればいいんだ?」

「畑を設置する様子を思い浮かべながら、設置したいところを指さしてください」

「えーっと、こうかな?」


 畑を設置する、なんて現実ではできないことだけど、農園ゲームでは何回もやった操作だから、簡単に思い浮かべることが出来る。

 ふわふわに土が耕された正方形の畑が、原っぱの50センチくらい上に浮いている様子を想像しながら、適当な位置の地面を指差すと、畳半畳くらいの大きさの畑が想像した通りに現れた。

 さしている指を動かすと、ゲームでよくあるように、浮いている畑の端まで行くとパッと隣に移動する。

 目には見えていないけれど、この原っぱ全体が正方形の畑と同じサイズのマス目で区切られていて、畑はそのマス目の中にしか設置できないようになっているんだろう。


「あ、畑って後で移動することは出来るの?」

「はい、移動する様子を思い浮かべながら畑を指差せば、いつでも移動できます」

「じゃあ、とりあえずここに設置で」


 設置を確定、と想像すると、浮いていた畑はトンと音を立てて地面に固定された。


 続けて新しい畑を設置する様子を思い浮かべてさっき設置した畑の隣を指差すと、また同じサイズの畑が現れる。

 同じようにして畑を設置していき、合わせて4枚分の畑を設置したところで、新しい畑が出てこなくなった。


「畑の設置おつかれさまでした。

 今の畑の設置やその他の作業は、スマホのゲーム画面からでも操作できますから、お好きな方で作業してくださいね」

「あ、そうなんだ。

 けど、こうやってゲームみたいな作業を実際に自分の指示で出来るの楽しいから、今のところはこのままやるよ」


 俺がそう言うと、チビはうなずいた。


「わかりました。

 では次は種をまきましょう。

 畑の設置と同じような感じで『種をまく』と想像してもらえますか」

「うん」


 チビの言う通りに想像すると、目の前に白い四角のゲームウインドウのようなものが浮かんだ。

 ウインドウの左上に、五円玉に書いてあるような稲穂の絵があって、その下に「4」と書かれている。

 その稲の絵を頭の中で「選択」してから、一つの畑のマスを指さして「種をまく」と想像すると、空中に種籾(たねもみ)が一粒現れて、そのまま畑の土に埋まった。


 種をまくとすぐに、畑から稲の芽が出てくる。

 一粒しかまいてないのに、田植えの一束(ひとたば)みたいに5本ほどの芽が出ているあたり、ゲーム仕様だ。

 他の3つの畑にも同じように種をまいておく。


 うーん、しかし稲を水田じゃなくて普通の畑にまいていいのか? 畑で作れる種類もあるんだっけ? まあ、ゲームの世界だから気にしなくてもいいのかもしれないけど。


 そんなことを考えていると、チビから「おつかれさまでした」と声をかけられる。


「種をまいたら、次は畑のお世話をします。

 そのために、ポチさんを含めたワンコたちの中からお世話をする人を1人選ぶ必要があります。

 今はポチさんとぼくの2人のうち、どちらかですね」

「じゃあ、今回はチュートリアル中だし俺がやるよ」


 そう口に出した途端、自動的に体が動いた。

 どこからともなく手の中に現れたジョウロで稲の苗に水をやり、稲の横に生えてきた雑草を引き抜く。

 勝手に体が動くのは変な感じだけど、稲のお世話なんてどうやればいいのか全く知らないから、自動でできるのはありがたいと言える。


 世話をしている間に稲はどんどん伸びて穂が出てくる。

 体感で5分くらいたった頃に黄金色の穂が垂れて、同時に体の動きが止まった。


「米が実りました! 収穫できますよ」

「おー。収穫は種まきと同じ感じかな?」

「はい! 収穫したい畑を指さして『収穫する』と想像すれば収穫できますよ」

「えーっと、こうかな」


 チビの言う通りにやってみると、手の中に鎌が現れて、稲穂をザクッと刈る。

 同時に空中に「2EXP」の文字と、稲の絵の後ろに「×2」の文字がふわっと浮かんで消えた。


「お、EXPって経験値?」

「はい、経験値が貯まるとレベルアップして、レベルアップボーナスがもらえます」

「おおー。

 あと収穫できたのは稲2個ってこと?」

「2個っていうか、2回分という感じですね。種まき2回分か、あと後ほどできるようになりますが、料理2回分になります」

「なるほどね」


 農園ゲームでは、作物を作るだけではなく、その作物を料理したり加工したりできることが多い。

 たぶん、後から料理するための設備が解放されるんだろう。


「それと、収穫したものって倉庫に入る感じ?」

「はい、あの青い屋根の建物です。中を確認しますか?」

「あー、後でいいよ。今行っても米が2回分あるだけだし。

 それより、もっと稲を育てて早くレベルアップしたいな」

「それはいいですね! がんばってください!」

「うん!」


 チビに応援されつつ、俺は残りの稲を刈る。

 収穫した後の畑は稲の株が残っているということもなく、元の耕された状態になっていたので、そのまままた新しく種籾を植えて、また自動の農作業に取り掛かった。


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