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最強の部下たちと征く、異世界魔王戦記  作者: 犬鈴屋
第2章 キセトの町

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2-1 今後の目標

「今後の動きについて話し合うぞ」


人間との戦闘があった翌日、俺は仲間たちを集めて会議を行っていた。

議題は当然のごとく、今度俺たちがどう動くについてで、俺たちの生命線と言っても差し支えない。

だから、未だに怒りが収まっていない奴や自分勝手に研究や祈祷を始める奴、落ち込んでいる奴関係なく始めさせてもらおう。


「まず俺たちが目指すべき目標を、大中小に分けてまとめていくぞ」


作戦室前方、俺の背後に用意されたホワイトボードにそれぞれ書き込んでいく。


「まず大目標。これは言わずとも分かるだろうが、元の世界に帰ること。そしてその方法を見つけるため、安寧できる拠点を確保すること。この2つが大目標となる」


ホワイトボードに書き込み、全員から反対意見が出ていないことを確認して次に進める。




「そして中目標。元の世界に帰る方法の研究か模索と拠点を攻撃する可能性が高いジリト王国の撃退。方法の模索と言っているが、正直なところ何から手をつけたていいかサッパリだ。だから当分の間は、ジリト王国の撃退に力を入れる」

「我が主」


中目標を書き込んでいるときに、オルクスから声が上がった。


「どうした?」

「研究、ランド、できる?」

「あぁ~、そうだな。研究と言えばランドだ。だが恐らく研究分野が違うから興味ないんじゃないか。で、実際のところどうなんだランド!!」


これだけ話し合い名前が出ているにも関わらず、一切こっちに視線を向けることが無かった当人の名を叫ぶ。


「なんでぇなんでぇ。いいところなんだよ旦那ぁ」

「うるせぇ今は会議中だ。それで、元の世界に戻る方法を研究しろって言ったらお前は興味を持つか?」

「元の世界ぃ?そらぁ次元移(ディメンション・)動装置(テレポーター)を作れって話かい?それだったらやりたいぜ!!」


次元移(ディメンション・)動装置(テレポーター)とは、NRGにあった各世界を繋ぐテレポーターのことで、運営が開発した施設の1つだ。


次元と言っているが、ただアプデで実装する内容を新しい世界で作っただけで、その移動のために次元移(ディメンション・)動装置(テレポーター)という大それた名前が付いているだけ。

実質大規模アップデートの狭間だと思っていい。


「最終的には次元移(ディメンション・)動装置(テレポーター)みたいな施設になるのだが、まずはこの世界がどの世界なのか、そして元の世界に繋がるのかの研究からしないといけない」

「うぇ、それって建築と武器の専門じゃねぇな。あっしにお勉強はできねぇでな」


そうランドは肩を竦めると、視界を手元の武器に戻した。


「というわけだ、オルクス。残念ながら今の俺たちに研究者はいないってことだ」

「承知……」




「よしそれじゃあ最後の小目標。これはさっき言った元の世界に帰られる研究をしてくれる人材の確保と、対ジリト王国の協力者や仲間集めだ」

「……協力者?私たちだけで殲滅できると思うけど……」


ボソリと呟いたエフィーの言葉を、俺は聞き逃さない。


「まぁ全部が全部昨日みたいな敵ならば殲滅できる。だが絶え間なく来られたら?もし俺たちよりも強い者がいたら?単純な数の力も馬鹿にできないだろ?」


数の力で圧倒してくるモンスターなんて、今まで散々狩ってきた。

軍隊蟻(アーミー・アント)殺人蜂(キラー・ホーネット)なんて顕著な例で、1体の強さはそこまで無いのに大軍でくるからかなり手こずる。

特にどこから攻めてくるのか考え、指揮していたエフィーは身に沁みて覚えているだろう。


「それに不確定要素だらけの現状、敵じゃないってだけで価値があるんだあともしかしたら俺たちと同じように、この世界に飛ばされた奴がいるかもしれない。そいつらが何が情報を持っていたり、協力体制を持てるかもしれないからな」

「承知いたしました」


疑問は解決されたようで、エフィーはイスの背もたれに体重を預けた。




「このまま目標達成のための行動について話していきたいが、その前に情報の情報の整理をしよう。今俺たちがいるのはエルフ村で、場所は周辺の地形と照らし合わせると、こうなる」


1枚の紙を会議のテーブルにスライドさせるが、視界を向ける者は少ない。

だが僅かだが視界を向けた者の反応は分かりやすかった。


「こ、これは……!」

「何も無い……ですね」


そう、真っ白。

偉そうに出しておきながら中央に点とエルフ村と書かれているだけで、地図とも呼べない代物だ。


エフィーとシーラはその事実に目を見開き、オルクスは……うん、意味が分からないみたいで頭がオーバーヒートしてる。

そっとしておこう。


「まぁ周囲は樹海だけだったからな。だが、ここに今日ヘレンには高度を上げて視認できた情報を書き足していくとだな……」


まず村の北側には大きな海が広がっていた。

北側と言っても歩いて10日ほどかかる場所にあり、その海は東から伸びる陸地に挟まれるような形をしていた。


俺の知っている地形だと、小田原城で有名な小田原を南北逆さまにした形に近い。

小田原から太平洋を見ると、右手側に伊豆半島が見える感覚と言えばいいだろう。

ただ小田原から見た東京側はあまり分からず、三浦半島に当たる大陸が微かに見えたのと大軍が迫っていることくらい。

この大軍については、後々話すとしよう。


そして村の西側は結構人間の領域になりつつあるみたいで、樹海はどんどんその姿を消していくらしい。


次に南側はいくつかの村みたいな場所もあったみたいだが、このエルフ村と大差無さそうということで調査対象外。


最後に東側だが、川の傍に作られた城壁都市があるみたいで、恐らくここがエルフの村長が言っていたキセトの町だろう。


村長は北にあると言っていたが正しくは北東で、方向感覚が狂いやすい樹海を渡っているから誤差だと思われる。




「となりますと、次の目的地はキセトの町ですか?」

「あぁそうだエフィー。俺たちの次の目的地はここ、人材確保という面からキセトの町ということになる。ちょうど村長が今後の救援物資や戦闘行為があったことを、キセトの町長に報告するらしいからな。それに同行させてもらう予定だ、いやだったというべきか」


最後の言葉に怪訝そうな顔を浮かべる仲間たち。


「村長から別件で依頼を受けてな。交易を続けていた村がここから南にあるらしく、そこの住民も助けて欲しいということだ」

「それは……オウキ様を顎で使うってことかしら?」


シーラは怒気を含んだ声が伝播したように、エフィーとオルクスから怒気が溢れ出す。


「まぁな。だがそれも村民たちの印象をよくするためだ。恐がられたままだと拠点として使いにくいからな。必要経費だと思え。それにこの村の村民が増えるし、一石二鳥だ」

「……分かりました。けど必ず何かの報酬を得るべきです。無償でやってもらおうなんてあり得ません」

「そうだな。これは次に村長の会議する時に要求するよ」


そう言うと周囲から怒気が薄れたため、話を続ける。


「そして最後に、この村を防衛拠点として強化しないといけない。具体的には俺たちがいなくても防衛できるくらいに、だ。俺たちの拠点は現段階でこの村だけ。そんな場所が留守にしている間に消えましたなんて笑えないからな」

「よっしゃぁ!その話、あっしに任せて下せぇ!」


さっきまで手元の武器を眺めていた小男が、まるでちゃんと話を聞いていたかのように話を割って入ってきた。


「はぁ、待てランド。あくまで村民が防衛するんだから、村民との協議が必要になる。俺たちだけが使えるじゃあ話にならんぞ」

「わかってるでさぁ。けどいいじゃねぇか。へへ、どんな感じに建てっかなぁ」


恍惚とした表情で妄想に耽り始めたランドに溜息を吐きつつ、さっきまでの話を纏める。


「この3つが今後の目標となる。ちなみに最初のキセトの町は、村長が救援要請をするために向かうらしいから、それについていく形になる。それを加味しても、チームを3分割する必要があるからな、今から発表する」


周囲の視線が俺に集まる中、一息入れる。


「纏めると、俺たちのパーティーを3つに分けてそれぞれの目的の達成してもらう。1つはキセトの町に訪問、1つは南の町の救援、1つはこの村の防衛力強化。ここまでで何か疑問がある者は?」


言いながら周囲を見渡したが、ちゃんと話を聞いて頷いてくれたのは2人だけだった。




「よしそれじゃあ、チーム分けを行っていく。まずキセトの町は、俺をリーダーとしてオルクスとシーラ。次に南の村はエフィーをリーダーとしてヘレンとドーシュ。最後に村の強化はランド、捕虜と村民の監視役も兼ねてもらうぞ」


キュッキュッとホワイトボードにチーム分けを書くと、そのままチームごとに注意点を説明していく。


「まずキセトの町だが、そろそろ戦場になる町でもある。なぜなら北の海岸線に人間側の本隊らしき軍隊がいたからだ。一応後で捕虜のエデルたちにも確認するが、ほぼ確定だと思ってくれ。そして東進すればキセトの町の傍を流れる川の河口に到着する。わざわざ河口で渡河する奴もいないだろうから、次の主戦場はキセトの町でほぼ間違いないだろう。だから出来れば協力関係を……と思っているが、こればっかりは向こうの対応次第だな」

「……とにかく、頑張る」

「は~い。でも戦闘の予定はないんですよね?」


キセトの町チームメンバー、オルクスとシーラが返事をしてくれた。


「シーラの言う通り戦闘の予定はない。だが一応俺たちと一緒に村長が来る予定だから、何があっても連れて帰らなくては俺たちがこの村での居場所を無くす。そう言う意味で、念を入れて防御と回復のスペシャリストをこのチームに入れている」

「うぇ~、ご老人相手の回復とか楽しくないわぁ。もっと若くてピッチピチいの子ならやる気でるのにぃ」


またシーラの悪癖が出たと溜息が出そうになるが、無視して次の話へと移る。




「そして南の町への救援だが、こっちはヘレンの偵察を中心に敵を撃滅してくれ。どの村を助けるかまだ分かっていないが、助けて恩を売れるなら売っておきたい。もし移住をしないと言っているのならば仕方ないがな。それと村への案内人としてエルフから数人出させる予定だ。そのエルフたちの対応も任せる」

「承知いたしました」


……南の町チームは3人いるはずなんだが、ちゃんと聞いていたのはエフィーだけ。

まだ眉間に皺を寄せて頬杖をつくヘレンと、床に座り込み差し込んだ日光を拝むドーシュ。


「オウキ様……」

「頼むエフィー」


縋りつくような視線を向けてくるエフィーに申し訳ないが、俺も仕事でいっぱいいっぱいだから頑張って欲しい。




「最後この村の防衛力強化、っていうかランドについての注意だな」

「んだぁ?」

「防衛設備はお前の構想とエルフたちの案でどうするか決めて欲しいが、中央にあるこの作戦室本部の地下には必ず()()を設置しろ。あぁ、この設置はエルフたち抜きででいいし、最高級の防衛設備で守ってくれ」


そう言いながら取り出したのは【上級・ミニポーター】。

【ミニポーター】はオープンワールドゲームならあるあるの、プレイヤーごとに登録した場所へ、簡単に転移できるテレポーターの個人用アイテムみたいなものだ。


そして俺が取り出した【上級・ミニポーター】は、その【ミニポーター】が持つ1週間で壊れる特性を削除したアイテムで、一度置いたら回収するまで永遠に転移場所として使える。

ある意味拠点に選んだ場所には必須のアイテムで、後数十個ほどアイテムボックスに入っている。


「こいつぁまじかぁ!どこに設置すっかなぁ!」


オモチャを与えられた子どものように目を輝かせ、今すぐにでも部屋から飛び出ようとする。


「待てランド!せめてエルフたちと防衛構想を練った後に設置しろ。じゃないと作り直すことになるぞ」


そう言って注意するが話を聞いているはずもなく、その日の夜には土木工事の音が鳴り響いた。

すぐに怒声が響き渡り静かになったものの……。


「あれをこうして……それでこうやってぇ……いいじゃねぇかいいじゃねぇかぁ、ぐへへ」


翌日簀巻きにされ地面に転がり、ボソボソと構想を呟くランドがいたという。

ちゃんと人の話は聞きましょうね(自戒)


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X(@KenRinYa)もやっているので、フォローもよろしくお願いします!

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