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最強の部下たちと征く、異世界魔王戦記  作者: 犬鈴屋
第1章 新しい世界へ

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1-13 俺が一体何をした

元村長宅、現在は指揮所になっている家の外はとてつもない熱気に包まれた。


「人間は殺せー!!」


「やっちまえー!!」


檻の中にいるエルフたちが腕を振り上げ、端正な顔を歪めて叫んでいるからだ。


エルフは男女関係なく美形揃いと言っても憎悪に染まった姿は悍ましく、とても醜いとしか言いようがない。


「やっぱりエルフと同じ檻に入れるのは無しだ。危険すぎる」


「はっ、オウキ様。流石のご慧眼でございます」


「こんなので慧眼もクソもあるか。エフィー、これから会議するから檻の前にいる村長を連れてきてくれ。あと手の空いてそうな仲間も頼む」


短く承諾したエフィーが素早く動いたのを確認し、俺は手ごろな民家へと足を向ける。


だがこれから開く会議が一筋縄でいかないのはほぼ確定しているので、その足取りはとんでもなく重たい。


それから間もなく近くにあった民家で会議が始まった。


「オウキ様、お願いしたいことがございます」


会議が始まるなり、エルフの村長が俺に頭を下げてきた。


とんでもなく嫌な予感がするぞ、俺は。


「お願い?そもそも俺たちは流れの冒険者だ。村長が頭を下げるほど偉くない」


立場的に村の長と来客で俺たちの関係だが、俺たちがちょっと手を動かすだけですぐに村を更地へと変えられるのでこの対応は当然だろう。


だけど嫌な直感がする俺は、ここで調子に乗らない。絶対に乗らない。


「そうは私は思っておりません。だからこそオウキ様にお願いしたいことがございます」


「俺たちはただの冒険者。様付けで呼ばれるのはな」


笑って受け流しすが、内心冷や汗ものである。


制圧直後は明らかな反骨心を持って、それからは警戒心を持っていた者が突然俺に忠誠を尽くすかのような態度を見せている。


どう見ても厄介事を押し付けられる気しかしないので、意地でもは下手(したて)に出てそこまで凄くないアピールをしておく。


「いえオウキ様には御恩がありますとも。そんな大恩あるオウキ様には、ぜひエルフ村で暮らしていただきたいのです」


「……おぅ……」


やっぱりな!こういう展開が嫌だから俺は避けようと思っていたのに!!




「取り合えず理由を聞こうか」


爆弾級の厄介事を押し付けられ天井を仰ぎかけるが、何とか我慢して質問を返す。


「はい。まず前提として、先の通りジリト王国なる人間どもが私たちの魔族の領域を犯し続けているのです」


「魔族?領域?」


「魔族は人間以外の種族を、領域は詳しく分かりませぬが森が続く限りと聞いております」


俺の知ってる魔族とは魔物の中でも特別強力で知能を持った敵キャラのはずだ。


だが今の説明を聞く限り、俺が普段使う亜人種という言葉の意味に近い。


「ふむ。亜人種って言葉は聞いたことないか?」


「亜人種……?昔聞いたことある記憶があるあるくらいですな」


村長は言外に今は使われていないと説明してくれる。


「分かった。そこは後ほど認識をすり合わせよう。それで、ジリト王国が亜人種たちの領域を犯し続けている、と?」


「仰る通り。あちら側の森から幾度となく仲間の魔族が流れてくるのを見てきました」


俺は話を聞きながら情報を整理していく。


取り合えず村長の話を一言で纏めると、西からジリト王国が攻めてきてマジヤベェってところか。


いくらエルフが魔法や弓術が得意な種族といっても、今回みたく100人規模の軍隊には敵わないだろうからな。


言いたいことは理解したが、俺は首を横に振った。


「つまりだ。お前は俺たちに村の用心棒をしろってことだな?それを受けるとでも?」


簡単な話だ。いつ攻撃されるか分からないなら、攻撃を跳ね返せる者を仲間に引き入れようとしているだけなのだから。


だがそれはあくまでエルフたち側のメリットであり、俺たちにメリットというメリットはない。それどころか最初から拠点が決められるデメリットしかない。


「包み隠さず申せばそうなります。もちろんタダでとは言いません。私の大切な一人娘をオウキ様に嫁がせましょう」


ふむ……つまり政略結婚か。だがそれも俺にとってメリットには──


ガチャンッ、と何か鎧に強い衝撃が走った音が背後から聞こえた。敵意は感じなかったので敵ではない、はず。ならば誰だと思って振り返ると……


「……え?」


そこにはオルクスを除いた仲間が全員立って、いやエフィーとヘレンだけが膝から崩れ落ちていた。




さて、まずは弁明させて欲しい。俺は絶対に悪くないと。


「主……結婚するのか!?アタシ以外のやつと!?」


「オウキ様が幸福であれば……幸福であれば……」


突如やってきた闖入者(ちんにゅうしゃ)──いや、俺が呼べって言ったけどさ!──が騒ぎ立てたことによって、一時会議は中止となり仲間内での緊急会議が始まった。


「いや結婚とかまだ……というかなんでお前らの方が慌ててるんだよ」


緊急会議の内容も仲間の不和という緊急事態なのかどうか判別つかねぇよ!勘弁してくれ!!


「アタシは何度も主を背に乗せただろ!?浮気だぞ!」


「はぁ!?なんじゃその話……?」


あ、そう言えば龍人族は近しい関係の者しか背に乗せないとか何とか聞いたことあるような……?


「浮気だ!浮気ー!!」


「浮気もクソも結婚もしてねぇよ!!とにかく落ち着け!!」


ヘレンの尻尾が不機嫌だと隠す気も無く床に叩きつけられていて、もう床超えて地面まで抉れてるから柱がグラグラしているだろぉ!?


お前、これ弁償すんの誰だと思ってんだおらぁ!?


「あとエフィー!!お前もお前でずっとブツブツ言いながら隅っこに座るな!!いつもの冷静なお前に戻れ!!」


「……」


普段の冷静な彼女はどこへやら。恨めしそうな視線を向けるだけで何も改善してくれない。


隣でエルフ村の村長にガン見されていようがお構いなしである。お前に恥や外聞は無いのか!!


「取り合えず、だ。まだ話し合いは全くの途中で何も決まってない。だから一旦落ち着けお前ら」


お前らと言っているが主に2人。それ以外のランドとドーシュ、シーラは面白おかしそうにこちらを見ているだけだからな。


「あら、そうなると村長の娘とはいずれ結婚するの?」


シ、シーラァァァお前ぇぇぇぇぇええええ!!


せっかく俺がなぁなぁで丸く収めようとしたのに、なんで蒸し返すんじゃぁぁぁああ!!


「主ー?」


あぁ!またヘレンの尻尾の叩きつけが強くなったし、エフィーはもっとイジケだした!


シーラお前絶対許さんからな!?




「ごほん!さて話を戻そうか……」


本題に戻るまで数分。何とか2人を宥め切った俺は、逃げるように本題へと話を戻した。


ちなみにシーラは後で懲罰だ。これは確定事項。どんなことがあってもアイツだけは許しちゃいかん。


「ええと確か俺たちを用心棒として村に置いておきたいって話でしたね」


「……えぇ本質的には、ですが……」


エルフの村長が苦笑いを浮かべてるが、そんな上辺だけを取り作っての交渉なんて俺にはできないし、できたらソロでゲームなんてやってねぇんだよ。


「ハッキリ言おう。その提案で俺たちのメリットはなんだ?あぁもちろん娘を嫁がせるとか無しでだ」


わざわざ自分たちがデメリットばかり抱え込む契約、ここでは条約というべきか?条約を結ぶバカはいないだろう。しかも自分たちの方が圧倒的有利であるにもかかわらずだ。


「オウキ様たちは放浪の身。それならば食料や身の回りの品などは全てこちらからお出しします」


「食料とかねぇ……残念ながら俺たちは大量の食糧を持っているし、無くなっても森に行けば肉も作物も取り放題だ。魅力はあまりないな」


「それならば家を用意しましょう。私が暮らしていた家よりも豪華絢爛な家を……」


「それもいらないな。俺たちのパーティーには建築のスペシャリストがいるんだ。見ただろ、防壁とか門を一瞬で建て替えている様子を」


俺のアイテムボックスには消費し切れないほどの元バフアイテムの料理が入っているし、森に入って狩りとかドーシュに頼めば野菜も手に入る。水もシーラが、住環境ならランドがいるから困っていない。


「ううむ……他には……」


エルフ村の村長が必死になって交渉材料を探しているが、俺がエルフ村に求めている物は情報以外ないのだ。


いや本当は元の世界へ戻る方法とか、今後どのようなことにも対応できるよう最高級の装備などは欲しいのだが、ただの寒村にそのようなバカはいない。


だからこれは交渉をさせているように見えて、その実諦めさせようとしているだけだ。だって向こうが挙げられる全ての物がいらないのだから頭を縦に触れるわけがないんだから。


何も言わず黙ってしまったエルフ村の村長は、よっぽど交渉材料に困窮しているのだろう。


だが俺もそこまでいじわるではない。もうそろそろ余裕を持って交渉不成立の道をこちらから開くのが、最も穏便かつ後腐れのない別れ方に──


「分かりました。それではこの村の共同村長として村の管理権をお渡ししましょう。いかがでしょうか?」


「……ふぁ!?」




思わず奇声を上げてしまったが、待て冷静に考えろ。


「たかが用心棒相手に管理権を渡す?それは……それに俺が村人を虐殺しないとは限りませんよ」


忘れてるかもしれないが俺は人間種。ジリト王国を構成する人間種とほぼ変わらない。


「確かにその可能性もありましょう。その時は私たちは貴方様と共に滅びましょう」


途端に会議場の空気が緊張感に包まれた。主に俺の後ろでずっと会議の行く末を見守ってきた仲間たちがだが。


「お前ら落ち着け。まだ敵だと確定したわけじゃない。それで村長、あんたは俺を殺す物があると?」


俺は後ろにいた仲間たちの殺気を抑えさせつつ、村長に問いただす。


いくらNRGでもトップランカーだった俺でも、俺を傷つけられるアイテムやモンスターはそれなりにある。


モンスターは制御できないので違うとして、アイテムならば寒村でも持っている可能性は微粒子レベルで存在するだろう。


「はい。先祖代々受け継いできた物が私には存在しますので」


きっと村長の言葉はハッタリだろう。そんな危険なアイテムならば村を改築して回ったランドが見つけているはずだし、アイテムだと言わず俺の真似をして物と言っている時点で恐らくない。


だが()()()本当にあった場合、果たして俺は生き残れるのか?そして俺が死んだ場合、仲間たちはどうなるのか?


だから”ある()()がない”という憶測だけで行動はできないのだ。


「ふん、まぁ虐殺などしようとは思ってないから安心しろ。だが歯向かうなら外に転がってる奴らみたいになるだけだかな」


戦闘終了直後ということもあって、口には出して無いが外はそりゃもう大惨事である。


「それにオウキ様。オウキ様にとってメリットがございます」


「ほぅメリットとな?」


最初からある程度拠点の基礎ができていることか?それともエルフという労働力を自由に扱えることか?


確かにどちらも拠点建築を始める上で重要だが、スペシャリストのランドがいる限りあまり重要ではないぞ?


「そうです。村の管理者、つまり権力者になれば数多くの伴侶を持つことが許されます」


「主、やろうぜ」


「オウキ様、ここは話を受けるべきかと」


「ふぁっ!?」


村長が投げ込んだ球は俺ではなく、背後にいる2人に向けて放たれたクリティカルな弾であった。




「待て、一旦落ち着け、早まるな」


「何言ってんだよ主!ほら、ここを拠点にしようぜ!しかもコイツらが下だろ?いいじゃねぇか!」


既に村長以下エルフたちを部下扱いしながら俺に寄りかかってくるヘレン。


というかね、君話聞いてた?共同統治って言ってんだから、俺と村長がリーダーになるわけだぞ?


「そうですね。ヘレンに同意なのは些か不本意ですが、それでも拠点と労働力を同時に得られるのは非常に大きいです」


エフィーも賛成意見を理詰めで言ってる風だけど、いつもより早口だし長い耳がピコピコ上下に動いているの俺は見逃してないからな?


何より気に食わないのが、したり顔で笑みを浮かべる目の前のエルフ村の村長だ。


こいつ、さっきの俺たちのやり取りを見て仲間を調略しようとしやがったな!?


だがパーティー1の暴れん坊と頭脳が陥落したからといって、まだ俺たちの負けが確定したわけではない!


「おいドーシュ、ランド、シーラ!お前らも止めろ!」


ちなみに捕虜の見張りでこの場にいないオルクスは、俺のやることなすこと全てに賛成なので気にしていない。


「んあ?あっしかぁ?あっしは物作りができるんだったらどこでもいいぜぇ。つぅかさっさと始めてぇからここでいいんじゃねぇか?」


ぐふっ!ラ、ランドも駄目だったか……!


「ドーシュ!?」


「ワシもこの村でいいと思いますな。周囲を森に囲まれて空気は美味いし、何より太陽を遮るものがない。ワシには極上の環境じゃ!」


ガハッ!ド、ドーシュまで……!


「シ、シーラ……?」


「うふふ……エルフたちってみんな美形なのよね~。どのコをつまみ食いしちゃおうかしら?」


ヒデブッ!シ、シーラもか……!


「みなさんお決まりのようですね。それではオウキ様。今後ともよろしくお願いします」


頭を下げるエルフ村の村長だが、お前絶対今笑ってるだろ?


1回ぶん殴りたくなったが、殴っても現実が変わることはない。


握りこぶしに込めていた力が抜けると同時に、ポロリと口から嘆きが飛び出した。


「俺が一体なにをしたってんだよ……」


俺の呟きに応える者はおらず、静かに溜息を吐くしかできなかった。


=================

=====Tips =========

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単語:【亜人種・魔族・魔物】

種類:用語

説明文:亜人種と魔族と魔物の違いは、分かりやすく魔石と知能の有無で決められる。

亜人種は人間種を含めた魔石を持たない種族の総称であり、知能の有無は条件として含まれていない。

対して魔族は魔石を持ちつつも、知能も併せて持っている種族だ。

そして魔物は魔石を持ちつつ、知能も持たない種族であり、魔石を持たない獣とは分けられている。

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単語:【魔石】

種類:アイテム

説明文:魔族や魔物の心臓付近に生成される魔力を蓄えた石。

ほぼ全てのショップで換金でき、魔法や装備の触媒、魔電気と呼ばれる基本エネルギーの燃料にもなる万能アイテムである。

一般的に強力な魔物ほど巨大な魔石を生成するため、魔石の大きさがそのまま金額へと変わる。

=================

シリアス一本は読みにくいし、ギャグ一本は進まないので半分ずつくらいで進めていく所存です。

ちなみに筆者はバリバリの関西人です。マクド派です。マックはPCです。異論は認めません(過激派)

でもお前朝マックって言うだろって言った人、よろしいならば戦争だ。


面白いと思った人は、ぜひブックマークや評価、レビューをして頂けると嬉しいです。

筆者の執筆モチベーションにも繋がるので、ぜひよろしくお願いします!

X(@KenRinYa)もやっているので、フォローもよろしくお願いします!

また感想や質問、要望などもコメントかXで受け付けていますので、ぜひぜひお送りください!

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