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チートルーレット!~転生時に貰ったチートがとても酷いものだったので、田舎でのんびりスローライフを送ります~  作者: 宮本XP


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第646話 絶大な力


「というわけで、あくまで緊急事態でした」


「お、おう……」


 そこは勘違いしないでいただきたい。実際に緊急事態だったことは間違いないのだ。緊急事態に柔軟に対応した結果、このままラフトの町でのんびり過ごすという判断を下したにすぎない。僕としても苦渋の決断であったと、そこだけはクリスティーナさんにもお伝えしておきたい。


 ……まぁそもそもクリスティーナさんにはルーレットのことも伝えてないし、何故レベル44が緊急事態なのかという理由も伝えていないし、ただ一言『緊急事態でした』とだけ伝えられても、わけがわからん状況だろうけども。


「しかしこうなると、もう早いとこレベル45に到達してしまいたいって気持ちが強いですね」


「ん、そうなのか?」


「このままいつ訪れるかわからないレベル45にドキドキしているよりは、サクッと決めたいです」


「アレクも世界樹様も、なんでそんなにレベル45にこだわるのか……」


 ふむ。やっぱり事情を知らないクリスティーナさんからするとわけがわからんよね。


「――あ、そうか。もしかしてあれか? 絶大な力が手に入ったりするのか?」


「え!?」


 なんで!? 何故それがわかったの!?

 まさか、ほんのわずかなヒントを頼りに真実へたどり着いたとでも言うのか……?


「アレクが自分でそう言ってたよな?」


「はい?」


 え? 僕が? えぇと、たぶん言ってないと思うけど……。さすがにルーレットのことは話していないはずだよね……?


「前回別れたときに言ってたろ? 次に会うときはアレクがレベル40に到達した後で、絶大な成長を遂げた後だとかなんとか」


「む? むむむ……?」


 ――あ、そうか。確かに去り際にそんなことを言ったような気もする。

 なるほどなるほど。今さらながら、わりと迂闊(うかつ)なことを言っているな……。ほんのわずかなヒントではなく、そこそこ多めにヒントを出していたらしい……。


「で、どうなんだ?」


「はい? 何がですか?」


「絶大な力だよ。手に入れたのか?」


「あー、絶大な力ですか……」


 えっと、レベル40のルーレットの景品というと――召喚獣ボールか。

 召喚獣ボールが絶大な力かどうかっていうと……どうなんだろうね?


 んー、まぁすごいアイテムだとは思うよ? なんたって自分の好きに召喚獣を増やせるのだ。創造神様のディースさんですら召喚獣にすることができた。すごいアイテムなのは間違いない。


 でも個人的な感想を言わせてもらうと……これちょっと使いづらいよね。一応ボールはまだ二つ残っているんだけど、いったいどう使ったらいいのかわからない。

 とりあえずユグドラシルさんあたりに使ってみたいなーとか、ユグドラシルさんなら間違いないだろうなーって思っていたりもするんだけれど……でもやっぱり躊躇(ちゅうちょ)してしまう。なにせ二つだ。残り二つしかないのだ。


 貴重な二つのボールをどう使えば絶大な効果を生むことができるのか。どう使えば絶大な力を持つ召喚獣を仲間にすることができるのか。二つのボールで、絶大な力を得るには……。


「僕の二つのボールが、絶大な力を……」


「…………」


「ん? どうかしましたか?」


「いや、別に……」


「そうですか?」


 気のせいかな? なんか引かれているような……? というか、たぶん引かれているっぽい。隣に座っているヘズラト君も唖然(あぜん)とした表情を見せているし、なんか変なことを言ってしまったっぽい。


「キー、キー」


「え? あぁうん、『今のアレク様の発言はお忘れください。ともすれば妙な誤解を生み出しかねない発言でしたが、もちろんそういった意図はなかったはずだと私は認識しております』――てなことをヘズラト君が言っています」


「あぁ、そうなのか……」


 何やらクリスティーナさんは安心した様子を見せて、ヘズラト君の首筋をわしわしと撫でている。よくわからんが、どうやら誤解は解けたらしい。ありがとうヘズラト君。


 さておき、やっぱり使いづらいね。残り二つだと思うと使いづらい。

 ……これもいわゆるエリクサー症候群ってやつなのだろう。ちなみにルーレットで貰った回復薬セットのエリクサーも、僕はまだ一度も使ったことがなかったりする。


「でも絶大な力だと思いますよ? 絶大な力を手にすることができたと個人的には思っています」


 なにせ創造神様を召喚獣としてお迎えできたわけだしな。創造神様は絶大な力だろう。絶大な力と言わざるを得ない。

 ……たぶん今もディースさんに天界から見られているだろうし、ここで『いやー、別に大したものではないですねー』なんて言うわけにはいかない。


「ほー? それはなんだ? 強くなったのか?」


「強く? ……いえ、別に強くなってはいないです」


 残念ながら、強くはないのよね……。ここはそう答えてもいいだろう。さすがにディースさんもそこは認めるはず。


「強くはないけど、絶大な力……? えぇと、どういうことだ? 見せてもらってもいいか?」


「見せる……ことはできないです」


「だめなのか……。具体的にはどういう力なんだ?」


「具体的に……話すわけにはいかないです」


「…………」


「…………」


 そんなやり取りがあって、ここでちょっと沈黙が流れて――


「本当に力を手に入れたのか?」


「ぐぬ……」


 そらまぁそうなりますわな。見せることもできない。話すこともできない。でも絶大な力なんです――などと言われても、そんな話を信じられるわけもない。


「いやでも、絶大な力を手に入れたのは本当で――」


「あー、はいはい。わかったわかった。もういいぞアレク、大丈夫だから」


「…………」


 明らかに信じてない……。何やら子供でもあやすように優しい言葉を掛けられた……。

 いっそのこと、本当にこの場で創造神様を召喚したろうかな……。





 next chapter:聖盾式パワーレベリング

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― 新着の感想 ―
ヘズラト君を唖然とさせるってなかなかないのでは。
何と誤解されてたのか分からないアレクくんにはおじさんのきんのたまをあげよう
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