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初対面(3)

食事の間も話題が尽きず、会う前の緊張なんて嘘みたいに楽しい時間だった。


ランチの後はカラオケに行く事になった。

今日会った目的は私の歌唱力の確認だもんね。


1週間前はどうやって断ろう?なんて考えていたけど、この時にはすっかりサトツさんに気を許していて『メンバーに入れて貰えるかな?』と、別の不安が湧いていた。


『普通にカラオケしよ?俺も歌うし!とりあえず何か得意なの歌って』

と言われ、いつの間にか緊張していた事に気付いた。

一番得意で友達にも好評な有名アーティストの曲を入れた。

サビには高音が混ざってて高低差も激しい、これ歌えたらカッコいい!の代名詞みたいな曲。


歌い終わると、『俺この曲好き!これ歌えるなんてすごいね!りえ、歌上手いじゃん!』


今までずっと穏やかで優しい雰囲気だったのに、興奮気味にそう言ってくれた。

私も『ありがとう』と言って笑った。


サトツさんはそのままのテンションで『ねぇ、この曲知ってる?』と聞いてきた。

『うん、これも好きなやつ!』


そういえば、バンドやろうって言うのに好きな曲やアーティストの話するの初めてだ。


普段テレビとかほとんど見ないし最近の曲知らないから何年か前の曲ばっかり聞いてるんだけど、趣味が合う。


盛り上がってきて、普通に全力カラオケ大会が始まった。


サトツさんも物凄く上手い!

私なんかよりよっぽど上手い!!


もうサトツさんがボーカルやればいいじゃない。って思うくらい上手いの。

それに、普段の話方から想像できないくらい激しい。


ひとしきり歌い終わってちょっと休憩。

その頃には敬語なんて自然に抜けてた。


『俺はもうボーカルりえに決めた!…でも、他のメンバーの意見も聞かなきゃいけないから録ってもいい?』


まぁ、そうだよね。

姿は恥ずかしいから、音声のみの条件で承諾。


リクエストは意外にもバラードだった。

技巧的な曲や激しい曲は映えるけど、歌唱力を判断するにはこういう曲がいいんだって。

ナニソレ。

めっちゃ緊張するんですけど⁉︎


でも、やっぱり選曲のセンスよね。

これも大好きでよく歌う曲。


歌い込んでいるせいか、トチる事もなく歌い終わった。

そこでちょうど終了10分前の電話が鳴った。

まだもう少し歌いたかったけど、サトツさんは遠くから来てくれてるしそろそろ時間かな?


外に出ると辺りは薄ら暗くなり始めていた。


駅まで歩く間、カラオケの内容で盛り上がった。

つい数時間前に初めて会ったなんて思えないほどに楽しい時間だった。

改札で別れて帰路につく。


はぁ。

楽しい時間て、あっという間。

もっと一緒にいたかったなぁ…。

少しの虚無感と共に車に乗った。

携帯を開くとメールがきた。

サトツさんからだ。


『今日はありがとう。

すごく楽しくて帰りたくなかったよ。笑

来週、もう一度会いに行ってもいいかな?』



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