甘い時間
夜景を眺めながら、隣り合って座った。
サトツさんにもたれかかる様にして、グラスを傾ける。
今なら、聞ける。
『前のバンドって有名だったの?』
『ん?…あぁ、さっきの?うん、マイナーバンドだったけど、ありがたい事に好きって言ってくれる人はいたかなぁ』
『私は、まだメンバーとして、認めてもらえないのかな…』
言った後にハッとした。
慌てて口を塞ぐけれど、この距離じゃ意味がない。
サトツさんは優しく頭を撫でながら、キスをしてくれた。
『そんなわけないじゃん。りえは立派にメンバーだよ。前にも言ったけど、距離が遠いからなかなか会わせる機会がないんだ。他のメンバーも仕事とかあるし…。でも、いずれちゃんと紹介するから心配しないで?』
『それに、他のメンバーもりえに会いたがってるよ』
そっか。
確かに私だって仕事休んでまで会いには行けない。
心配しなくても、大丈夫?
その後はまぶたが上がらなくなるまで甘い時間を過ごした。
翌朝。
目覚めると隣にサトツさんの寝顔があった。
なんとも言えない恥ずかしさが込み上げてくる。
冷静になっなら、昨日はめちゃめちゃ面倒くさいこと言ったよね⁉︎
子供みたいにヤキモチ妬いて、駄々こねて、恥ずかしすぎる。
…でも、この場所を手放したくない。
まだ好きって自覚して、こうやって過ごすのも2度目だけど、ここは私の場所だって思っていいんだよね?
そっとサトツさんの髪をすくってみると、サラサラと指の隙間からこぼれ落ちる。
いつ見てもキレイ。
吸い寄せられる様にキスをした。
唇を離して目を開けると…
あ。
サトツさんと目があった。
…咄嗟に逃げようとしたけれど、抱き竦められ、ベッドに沈められる。
『おはよう』
少しだけかすれた声がいつにも増して色気を帯びて、思考を奪う。
あぁ、好き。
この瞬間が幸せ。
ふわふわして、溶けてしまいそうなほど甘い時間。
ホテルを出る頃には昼を回っていた。
サトツさんは夕方までに戻らなくてはいけないみたいで、ランチを食べると帰っていった。
それでも、来週も会う約束ができたので寂しくない。
本当に私って単純だと思うけど、サトツさんに甘やかされて、また頑張れる。
また直ぐに会えると思うだけで、心が軽くなる。
こーゆう気持ち、久しぶりだなぁ。
なんとなくこのまま帰る気にならずに、少しぶらぶらして時間を潰す。
そう言えば新しい雑貨屋さんが出来たって聞いたな。
行ってみよう。
それから、久しぶりに行きたいカフェもあるし、ジャケットも欲しいと思ってたんだ。
軽い気持ちのまま、辺りが薄暗くなるまでショッピングを楽しんで帰った。
その頃にはサトツさんも無事に帰宅できた様で、メールが届いていた。




