深夜の目覚め
耳元から聞こえる何かの泣き声で夜闇のなか、一人起き上がる。何かと隣を見れば、必死に産み落とした自分の子が泣いていた。
産後で疲れていたものだから泣き声に気づくのに遅れたらしく、パワルフが泣いているのを宥めているところだった。
「起きたか、プァナ」
「えぇ、ごめんなさい…気づくのが遅れて…」
「いや、いいんだ。それよりもこの子の喉が心配でな…頼めるか?」
もちろんと答え、プァナは泣きじゃくるラシュンをパワルフから受け取る。抱いた腕をぎこちなく揺らしてみるが、泣き止む様子はない。思わず固まってしまったプァナにパワルフは優しい口調で話しかけた。
「プァナ、話しかけてやれ。」
「え、ええ。ラシュンちゃん、お母さんですよ…どうしたの?」
ぎこちない揺れの中から、母親の声を聞いたのかラシュンは涙で濡らした睫毛を震わせて目を開ける。美しいガラス玉のような金色の目がプァナを見上げていた。
「うー…あー…あー」
「うーん、何言ってるのか分からないわね…どうすればいいのかしら…」
「…プァナ、ミルクが欲しいんじゃないか?」
困り果てたプァナにパワルフがふと口を開いた。確かにこの子にミルクをあげたのは生まれた時だけだった気がする…と慌ててプァナは胸元をはだけさせるが、不意にパワルフの視線がきになった。
「あの、横向いててくれない?」
「……見てたらダメか」
「ちょっと恥ずかしいのよ」
パワルフは寂しそうにプァナに背を向ける。それを申し訳なくも見届けてからようやくラシュンへミルクを与えることにした。
少しの痛みが胸から、とくとくという小さな心臓の音が手から感じた。生きてるのだと、無事に生まれてきてくれたのだと、また実感し涙が溢れそうになる。
「パワルフ、見てもいいわ」
「…分かった」
この実感を分かち合いたくなったのか、パワルフに声をかけ、涙のあとが残る顔を胸に押し付けミルクを飲む姿を見せてやると、パワルフの無表情だった顔が少し動いた。
「かわいい、な」
「ええ、とても。」
「小さくて壊れそうだ」
「そうね、だからこそ、私たち親がしっかりしなきゃなのよね」
弱くて脆い。すぐに壊れてしまいそうな程に小さく、泣くことでしか意思を伝えられないラシュン。夜中に起こされたとしても、パワルフもプァナも気にしていなかった。むしろ、自分たちを呼んでくれている気がして嬉しく感じていた。
やがて、ミルクを飲み終えたのか口を止めたラシュンを見て服を直してから、プァナは自分の肩を抱かせて背中をぽんぽんと軽く叩いてやった。
すると小さなゲップが聞こえ、それがあまりにも可愛らしいものだったからプァナもパワルフも思わず笑った。
抱き直せばもう眠そうな顔をしているラシュンを見て、二人はほうっと息をついた。
外が少し明るくなり始めている気がしたが、パワルフに促されるようにベッドに戻り、また、ラシュンを間に挟んで眠りにつくことにしたのだった。
のんびりゆったりと話を進めていきます




