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不可
シャルはこの日から悪夢しか見れなくなってしまった。
骸、腐った花、鳥の死体、そんな夢ばかり。
彼の目と心は濁ってしまった。
心を病んでしまったのだ。
だが、彼の才能は開花した。
そして皮肉にもシャルの心の病み具合が悪化していく程に、シャルの絵は美しさを増していった。
程なくしてシャルは自分の悪夢に出てきたものを描く事に快感を覚えるようになった。
シャルは、絵を生み出す機械になっていた。
そして生み出される絵はどれも、例外なく残酷で生々しく、美しい。
あまたの人間にそれらは高く評価された。
シャルは「絵を描いては寝る」を繰り返していた。
そんな中、昔の夢を見た。
家の裏山に登って、鳥や花を描く夢だ。
「そうだ、人に評価されなくてもいい、美しい鳥や花を描きたいんだ」
シャルは筆をとり、鳥や花を描こうと試みたが、キャンバスに描かれるのは、腐った花や死んだ鳥だけだった。
END
ありがとうございました。