第百四十一章 終わり?
ここは確かにその通りだ。今になって気づいたんだが、アネンクレトゥスを発動するたびに、しかもそれが第一レベルの繋がりからのものなら、そこで支払う代償は莫大で、数十人が死ぬことになる。派閥の守護者が簡単に大虐殺を起こせるってわけだ。でも、こいつは普通に暮らしながら一人ずつ(あるいは月額料金として指定された人数だけ)殺していくこともできたはずなんだ。
シールダーのモデルを再び選んだ王を撃ち続けながら、俺は近づいてマニピュレーターで一撃を叩き込み、盾を腕から弾き飛ばした。さあ、ニコ、考えろ! 毒と骨折、それが過去に俺を止めたものだ。
六つの特化を得てから、ネメシスがどれほど俊敏に動くか驚きながら、俺は後ろに跳び、再びマシンガンでの攻撃に移るふりをした。アネンクレトゥスはメイジに切り替え、雷撃をチャージしてさっきまで俺がいた場所に放ったが、俺はメカの中で可能な限り加速して、血の雨に濡れた磨かれた床の上を滑った。
軌道から逃れようと、アンは横に飛び込んだが、俺はメカから飛び出し、爪と加速を発動させ、王に跳びかかってその背中を浅く貫いた。
倒れた王は苦痛で息を荒げた。おそらく、こいつは強化と加速と魔法以外は持っていないんだろう。石の明滅とともに、静かな笑い声が響いた。
「よくやった」アネンクレトゥスの静かな声が響いた。「だが、お前は一つ考慮していなかった」
「発動確認――元素魔法」
「発動確認――元素魔法」
「発動確認――元素魔法」
「発動確認――元素魔法」
「もう百人間が死んだ。さあ、俺を殺せ。でなければ続けるぞ」王は床に転がりながら、かすれた声でそう言った。
「発動確認――元素魔法」
チェロ皇女を呼び出して急いで演奏してもらうと、哀しげな音楽が響いた途端、王は静まり返った。
ため息をついて、俺は総督の遺体に向かって歩き出した。そのとき、背後から再びクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「発動確認――元素魔法」
「発動確認――元素魔法」
「発動確認――元素魔法」
「発動確認――元素魔法」
「このクソ野郎が!」
アンに飛びかかり、首を斬り落とした。ネメシスの効果時間が切れた。ローランはどうにか残りの精霊を退けたが、雨が止んだところを見ると、彼女も消耗しきったようだ。皇女は効果が薄いので引っ込めた。
「発動確認――治癒」
毒は厄介だが、このクソ野郎が人を殺すのを止めはしない。そういえば、宇宙へ逃げるという手もあるが、俺に宇宙船の操縦なんてできるわけがないし、ステーションに穴を開けたら……繋がりが途切れた時に自分が無事でいられるかどうか。
アンが双剣のモデルを選んで襲いかかってきた。騎士に切り替えて左手で突きを弾き、チェーンソー剣を引き抜いてシャドマーの力を起動させた。ギザギザの刃が金属に食い込む。アンは双剣で防ごうとしたが、エネルギーの前に武器が削りカスになり始め、俺の圧力に耐えきれず砕け散った。チェーンソー剣が王の顔面に食い込み、頭蓋骨から皮膚と肉を剥ぎ取っていく。
「発動確認――治癒」
「この化け物が!」アンが金切り声を上げ、俺が意図的にオペレーター形態に切り替えた瞬間、稲妻を放ってきた。
電撃が身体を貫き、俺は死んだ。
アンはさらに数体のエレメンタルを召喚し、王の魔法支援を受けながら、全員で弱ったローランにとどめを刺した。
俺の上に立ったアネンクレトゥスは、無関心な目で俺を見下ろした。たっぷり一分は費やしただろうか、敵はこう言い放った。
「もう終わりか? どうやら本当に、アレックスにボコボコにされたらしいな」
もう少し様子を見た後、王は俺の身体を力任せに蹴り飛ばすと、総督の死体の方へ歩いて行った。
おい、まさか本当に死んだと思ってるのか? ここでは死すべき者をそこまで信用していて、何の用心もしてないのか? それとも、アンがルール無視でここに来たせいなのか?
死体に近づくと、王は男の両手首を切断し、じっと観察し始めた。短剣を取り出すと、指先の腹を一つ一つ丁寧に切り開いていく。
「はっ、本当だったか」アンは一人笑い声を上げると、片方の手首を投げ捨て、もう片方を手に取った。掌から何かを切り出すと、それを灯りにかざして嬉しそうに口笛を吹いた。
今度は自分の手を切り裂くと、アンは短剣を脇に置いた。
「治癒、寿命-1年」
脳寄生虫。
幼虫は素早く床を走り、王の背中に飛び乗ると頭部へ侵入した。青い石材が点滅し、アネンクレトゥスの体が霜に覆われる。幼虫が哀れな悲鳴を上げ、王の頭の中のどこかで破裂した。
「賢いな。俺が100%人間だったら、もしかしたら成功してたかもな」アネンクレトゥスは唇を動かさず、生気のない声で言った。「愚かな種族だ。くだらない家族の絆とやらに縋り付く哀れな世界。もううんざりだ」
だが俺を攻撃することはせず、代わりに総督から取り出した血まみれの肉片を自分の掌に押し込んだ。爆発音が響き、ステーションが揺れた。
メッセージが表示された。
「総督権限の奪取試行を検知。予防措置として、パンテオンへの門を封鎖、輸送シャトルを破壊」
「5分以内に総督チップが所有者に返却されない場合、セルヴィデウム派閥の最寄りメンバーから新総督が選出されます。該当者不在の場合、チップは最寄りの死すべき者へ譲渡されます。ご不便をおかけして申し訳ございません」
「ふむ。やはり、防御機構を組み込んでいたか」王は血まみれの手を見つめながら、困惑しているようだった。「さあ、死すべき者よ、帰還ブレスレットを渡してさっさとくたばれ」
エレメンタルを召喚し、アンが俺に突進してきた。今すぐ帰還することもできるが、こいつを止められるとは思えない。それに、メッセージの内容は……逃げたとしても、アンが最寄りとして権限を手に入れるってことか? 皮肉なもんだ。俺たちを憎んでるこいつが、どんな真似をするかわかったもんじゃない。
こいつを外に放り出すこともできない、動きを封じることもできない、でも……70ポイント。生きた壁で周囲を囲いながら、俺は素早く準備を始めた。
エリザベス、皇女たち、ローランド、ヴァイオレット、クリムゾン、ブラッキー、セバスティアン、ヴィンセント、ハミルトン、ミランダ。イビス、ギル、アイヴィ。フレッシャー。女王の護衛――15ボーナス。ハイヴの守護者×2――4ボーナス。ドローン3体。範囲上級力のエンチャント――8ボーナス。騎士モデル選択とセクスタ分割――15ボーナス。範囲上級加速のエンチャント×3――27ボーナス。
「全員、アネンクレトゥスを攻撃しろ」
幻のような影と化すほどの猛スピードで、アンデッドも、助手も、ロボットも、モンスターも、一斉に王へと襲いかかり、王が気づく間もなく、八つ裂きにされていた。
「発動確認――治癒」
クリスタルまで駆け込んだ俺は、六体の騎士と共にその周囲を取り囲み、一斉にグレネードランチャーをぶっ放した。サイレンが鳴り響き、金で覆われた床と壁が、ホール中に飛び散った。リロードして、もう一発! さらにもう一発!
「この馬鹿、何てことしやがる!」アネンクレトゥスが悲鳴を上げた、その一秒後には、再び細切れにされていた。
「発動確認――治癒」
「繋がりが無ければ帰還は機能しない!」王が掠れた声で叫んだ、その直後、ギルがその首を引きちぎった。
チェーンソー剣を起動させ、俺たち六体はシャドマーのエネルギーを発動し、ひび割れたクリスタルに食い込んだ。破片が四方八方に飛び散り、サイレンが不吉に鳴り響き、ホールの照明が明滅した。
「発動確認――治癒」
「てめえの可愛い嫁さんたちのことを考えろ、この腰抜け野郎! どうせ帰れねえんだからな!」アンが叫んだ直後、アイヴィの兵士装甲がやつを血まみれの肉片に引き裂いた。
咆哮を上げながら俺たちは中枢部に辿り着き、轟音と共に死すべき者の心臓が爆散した。連鎖爆発が響き渡り、ステーション全体が激しく揺れて俺は床に叩きつけられた。
「繋がり切断」
コピー体は召喚モンスターと共に消え去った。残ったのはアンデッドと助手だけだ。
俺は黙って王が苦しみながら死んでいくのを見つめていた。やつは機関銃で撃ち抜かれ、エクゾスケルトンのマニピュレーターで頭を潰され、剣で真っ二つに切り裂かれ、プラズマで焼かれ、ただ切り刻まれ、血を吸い尽くされ、心臓を引きずり出され、電撃で消滅させられた。
20回目を過ぎた頃には、アンはもう悲鳴を上げることもなく、出現した瞬間に死んでいった。訪れた静寂を破るのは、途切れないサイレンの唸りと鋭い打撃音だけだった。
「死すべき者の死亡を確認」
そんな同語反復に苦笑しながら、俺は疲れ切った目で引き裂かれたアネンクレトゥスの死体を見やった。首にかけた石材は光を失っていた。リッチを選び、俺はアンデッド生成を試みた。
「エラー:死すべき者からアンデッドを作成することはできません」
総督も同じようなエラーが出た。ただしこちらは彼の地位に関するものだった。アンデッドを解除して、俺は助手たちと残された。
「どうするの、いじわる? どうやって帰るつもり?」アイヴィが心配そうに尋ねた。
吸血鬼が前に出て、顎を撫でながら何かを考え込んでいる。
「友よ、軌道ステーションには救命ポッドがあるはずだ。総督たちは普通の人間だからな。戦闘能力で言えば、死すべき者より弱いくらいだ」ギルが考えてから言った。
「あんた、どうしてそんなこと知ってるわけ?」イビスがため息をついて、服に留めた羽根をちらりと見ながら言った。
「まあまあ、親愛なる君。アルヴァー派閥は中堅といったところだが、闇の派閥はね、なかなかどうして強力なんだよ」吸血鬼は誇らしげな口調で、長い爪を眺めながら宣言した。「とはいえ、私自身はそういう場所に行ったことはないのでね。もし私の言ったことが誤情報だったら、どうか許してもらいたい」
俺の手のひらが明るく光り出すのが見えた。
「総督権限の譲渡……完了。権限を取得」
「プリマ大陸総督、死すべき者――ニコライ・ヴィノグラードフ。
死すべき者の月額料金の解除……完了。
取得:最高位イニシエーション……完了。
派閥セルヴィデウムへの所属ステータス更新……完了。
シンセシススケールに関するデータ取得……完了。
派閥チップをプリマチップへ統合……完了。
強制イニシエーション時間を30秒へ短縮……完了」
まあ、俺自身は何も感じなかったけどな。ブレスレットを試してみたら、アンが言った通りエラーが出た。カオスポータルの生成――
「エラー。軌道ステーション内の安全のため、ポータル転移機能は無効化されています」
溺れた奴と同じくらいツイてるな。
助手たちを引っ込めて、俺が見つけた唯一のドアに向かって走り出した。壁が開いて、廊下を突っ走る。格納庫のドアの前で止まった瞬間、いきなり腕を引っ張られた。
「あんた、死にたいの!?」エスピが大声で叫んだ。サイレンをかき消そうと必死だ。「来なさい。あんた、今は新しい総督よね? そうじゃなきゃ、あたしたち死体確定よ」
エルフの後を追って、脇のドアの一つに飛び込みながら、ふと思いついて聞いてみた。
「『死は終わりじゃない』ってのは?」
走りながら振り返った彼女が、驚いた目を俺に向けた。
「誰がそんなくだらないこと言ったんだよ? 私は死ぬつもりなんてない、少なくともここでも今でもない。まだ結婚もしてないのに!」
やがて俺たちはかなり広いホールに飛び出した。ここも格納庫に似ていたが、壁には小さなドアがあって、その奥は非常に限られたスペースになっていた。カプセルホテルみたいな感じだ。
ドアに触れて、俺は二つ開けた。少し考えてから、俺は少女に手を差し伸べた。
「繋がりに追加させてくれ」
一瞬ためらってから、少女は同意して俺に触れた。
追加がうまくいったことを願うばかりだ。接続なしでは確認のメッセージも受け取れなかったからな。どこかでまた爆発音が響き、ステーションがさっきより激しく揺れた。
「急いで急いで!」エスピが急かしながらカプセルの中に飛び込んだ。俺はドアを閉めてスタートボタンを押し、隣のカプセルに入り込んだ。
「原子炉に致命的損傷」とスピーカーから声が告げた。
素早くドアを閉め、ベルトを締めて起動ボタンを押すと、俺は宇宙へと撃ち出されたような感覚に襲われた。三十秒ほど飛んでいたような気がしたその時、突然、周囲の空間が眩い閃光に包まれた。やがてカプセルが震え、透明な表面越しに見える限り、燃え盛る破片が飛び交い始めた。
◇◇◇
「これが私に蘇生できる最後の人たちです」フロルガは唇を噛み締めて言った。「ごめんなさい」
時間はまだ残っていたが、彼女は理解していた。たとえ今から丸一日眠ったとしても、もう何もできないだろうと。そしてもう一人でも蘇生すれば、彼女自身が衰弱死する可能性があった。
安堵のため息をついて、フェブリモールはアルヴァー派閥の兵士たちが全員回復したことを喜んだ。
「分かった。ありがとう」フェブリモールは言った。「合計すると、暫定集計で――インセクトイドが15体、テクガンの兵士が5名、ゴーストヴィルからの兵士が25名、捕虜が17名、テクガンの民間人が20名、それにアルヴァーの民間人が9名だ」
喜びの涙を流しながら、たった今蘇生された剣士たちは抱き合った。ただしシアディンだけはすぐさま鎖に繋がれ、「独房」へと連行された。
ニコが飛び去ると同時に雨はほぼ止み、疲れ果てたフロルガは転ばないよう杖を手に取り、そっと外へ出た。
ドムスとアルラムのかなり明るい光にもかかわらず、もう肌寒く、おまけに空気は湿っていた。身震いしたフロルガがもう戻ろうとしたその時、二つの光源に加えて三つ目――小さな点が現れた。
それよりも前、蘇生を終えた時、少女は力の衰えを感じていた。そんな偶然が、彼女には不吉な予兆に思えた。
「見ろ、あそこに何かいるぞ!」唯一無事だった見張り塔の上で、兵士の一人が叫んだ。
声を聞いた者たちは全員、ロートクの外へ出て、丘の上に明るい光点が現れ、その傍らに巨大な本が形成されるのを目にした。
「戦闘配置だ」フェブリモールが背中から盾を外しながら告げた。
◇◇◇
燃える破片がいくつかすぐ近くを飛び過ぎ、カプセルが突然いつもより激しく揺れた。
無秩序に回転し始めた乗り物を安定させられるものを何か探そうとしたが、そんなものはここには備わっていないと気づいた。必要な方向に単純に発射するだけの原始的な代物で、その後はAIか何か、この電子機器の中身が軌道を修正する仕組みだ。便利だが、俺の場合には役に立たない。
ブレスレットを起動しようとしたが、通信が切断されているというメッセージが返ってきた。
大気圏に突入しつつあるのを感じながら、俺は防護板が熱を持ち始めるのを恐怖と共に見つめていた。どうやら何かが完全に壊れたらしく、内部まで熱くなってきた。灼熱の空気で肺を焼かないよう、呼吸を抑えながら、再生するためにドラコニドに切り替えた。
「レギ?」「ラズ?」
だが、返事はない。それどころか、メンタルな余波すら感じられなかった。
痛みに歯を食いしばりながら、灼熱の空気を吸い込んでは再生を繰り返す。カプセルは容赦なく動き続け、減速する気配もなかった。
回転のせいで吐き気が止まらないが、どこへ飛んでいるのか確かめようとした。どこを見ても、白に覆われた大地が広がっている。
狂信者のように何度も何度もブレスレットを回してみたが、結局諦めた。カプセルはドラコニドの爪に対しても驚くほど頑丈だったが、もうどうでもよかった。
全速力で氷を突き破ったカプセルは、シューッという音を立てて湖面に激突した。だが湖は浅すぎて、水で減速する間もなく、俺は地面に叩きつけられた。
◇◇◇
ポータルがまだ一つの点だった頃、最初のアルヴァー派閥の者たちが近づいてきた。誰も近寄ろうとしないのを見て、フェブリモールはクリスティーナの手を取り、前に進み出た。
猫ちゃんが本に触れると、その巨大さゆえに全員に見える文字が浮かび上がった。
「親愛なる友人諸君! 遺憾ながら、アルヴァー派閥の防衛者は二人とも死亡した。その直前、防衛者の一人が神々の総督に対する犯罪を犯したため、今後このようなことが繰り返されぬよう、神聖なる浄化が宣言される。
大陸間ポータルはランダムな時間に開放される。開放まで:1~20日。
大陸の選択。セプティマ。
派閥の選択。テルビス」
この文章が現れた後、ポータルは急激にサイズを増していき、やがて数十メートルの高さになった。だがその表面はつや消しで、中央だけが七色に煌めく明るい渦を描いていた。
「注意されたし。この事件には他の派閥も間接的に関与していた。エクスマッハとデウスレギオを除く全派閥が有罪と宣告される。フレムテック、テクガン、シャドマー、キルハイヴ、アンジュヘルの領域には同様のポータルが生成された」
あまりに衝撃的な知らせに、全員が凍りついた。だが訪れた静寂の中、やがてすすり泣きが聞こえてきた。クリスティーナがその場に膝をつき、フェブリモールは驚きのあまり彼女を支えることができなかった。
「嫌……パパ、嫌よ」猫娘は両手で顔を覆い、囁いた。
少女は皆の前で膝をついたまま、なんとか堪えようとしていたが、他の連中はもう散り散りになり始めていた。それぞれが自分のことを考えながら。
「これからどうなるんだろうな」ファリンは独り言のようにそう呟き、空中を舞う最初の雪片を眺めていた。




