表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JK、王様拾いました  作者: 殿水結子@「娼館の乙女」好評発売中!
第8章.神器「月兎」と王の婚姻

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/49

49.エピローグ

 長い儀式や晩餐を終え、アヤナとラウルは共に寝室へと戻って来た。


「ふわーっ、疲れた!」


 メイドがどやどやと入って来て、アヤナの、こんがらがった紐とリボンだらけの衣装を脱がしにかかる。一方のラウルは一人だけメイドがつき、さっさと普段の衣装に着替え終わっている。


「ね、いつものゆるいドレス持って来てよ。お願い!」


 アヤナがメイドにそう頼み込むと、胸元で切り替えたシンプルなシルクのドレスがやって来た。それに着替え、ようやく彼女は一連の式から解放された。


 アヤナが王のベッドに身を投げ出すと、ラウルがその隣に身を横たえる。まるでそれを合図にするかのように、メイド達はざざっと王の寝室から脱出して行った。


「ラウルも疲れたでしょ?」

「……そうだな」


 アヤナがぼうっと天井を見上げていると、そっとラウルが身を起こした。


 かと思うと王はアヤナに覆いかぶさるようにのしかかり、少し強引なキスをする。


「ちょっと、何……」


 アヤナがベッドとラウルの間で少しの抵抗を見せると、ラウルは体を少し浮かせて彼女の体を解放した。


「……駄目か?」

「何が!」


 叫んでから、アヤナはハッとする。


 そうだ、私達はもう夫婦なんだ。


「正直に言おう」


 急にラウルが独白を始める。


「なぜ私がこの城を取り戻そうと躍起になっていたのか、分かるか?」


 アヤナは目を丸くした。


「へ?国を救うためでしょ?」

「それもあるが、実際のところは違う。生活するだけなら、あの鯨の中でアヤナと暮らしても良かったのだ」

「えっ、そうなの?」

「改めて伝えよう。私が城を取り戻した理由──」


 王は威厳を持って言った。


「このベッドで、アヤナと寝たかったからだ」


 アヤナは顔を赤くし、驚きに開いていた口をぎゅっと結ぶ。


「鯨の中のあんな薄くて固いベッドや、宿屋の古いベッドなんかでアヤナを抱く気にはなれない。そなたと初めて寝るなら、絶対この最高のベッドの上だと決めていた」


 アヤナはあえて言う。


「ばーか」

「馬鹿で結構だ。もっと罵ってくれ」

「バーカ、バーカ!」

「……もう、いいか?」


 それからアヤナはラウルにゆっくりと体重をかけられ、幸福の中に沈み込むように押し黙った。


 二人で取り戻した白亜の城。


 危険や死線を潜り抜けた分だけ、お互いの体温を尊いと思う。


「アヤナ」


 ラウルはくぐもった声で呟いた。


「ありがとう」





 ラウル王はその後七人の子をもうけたが、そのうち六人の子は電撃能力を持たなかった。


 その代わりに子らは剣術と謀略に長け、広く試験によって平民から臣下を徴用し、電撃能力による貴族制を廃すことに成功した。


 生まれ持った力だけでなく学ぶ大切さを教えたラウル王は、死後四百年経った今でも尊敬の念を集めている。


「……ふーん」


 元の世界に帰って来たばかりのカイは、庭の片隅で本を閉じた。


「この書き方だと、電撃能力のあった俺の先祖がイマイチな奴みたいじゃん」


 若きテオが農作業をしながら笑う。


「歴史を書きかえますか?また白鴎に乗って」

「それは勘弁して。あれはもう疲れた。不明になっていた神器の場所も分かったし、ルキア王子殺害の謎も解けたし、傾国の美女扱いされてた王妃の謎も解けて、歴史マニアの俺は激動の時代を体感出来たことに満足してるよ。俺の代はテオの力も借りて王政を存続させることに成功したから、もうあとはのんびりすることにして……」


 その時だった。


 空に光が満ちる。カイが空を眺めて口を開けていると、どしん!と少女が落ちて来る。


「きゃっ!」


 カイとテオは走って行って、芝生に落下した少女を眺めた。


 黒髪ショートカットの、弓道着を着た少女だ。


「こ、ここはどこ!?私は壬生真理亜みぶまりあといいます。あなたは……」


 カイは頭を抱えて叫んだ。


「勘弁してくれ!!」



 最後までお読みいただきありがとうございました!


 感想や評価、レビューなどいただければこれほど嬉しいことはありません(評価欄はこのページの下部にございます)。それでは皆様、今度はまた違う物語でお会いしましょう☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ