序章 2つの臨界点
~幻影に眩む青~
0と1を廻る数字の中で、歪む仮想と輪郭が崩れた。定められた終焉と、優しさが熔ける宝石の嵐。訪れた優しい亡骸は俺の手で、総て壊してしまうのだろうか?
「奇麗な街だ…。」
ただ自分と言う存在が居なければ完結した、64bit端末を握り締める。震える肩は、まるで拒む鳥をボロボロに引き裂く姿勢。殺傷能力の高い、云わば救済を造り出す。
「こんなもの要らないな…。」
因果は疾うに置き忘れて、大量にバラまかれた布地だけが、癒しを齎されたエゴとなった。
「青く何処までも…沈み込んだら楽だな…。」
溜息は消え。潰えた惑星は誰にも読み込まれることなく、さよならを言えずに欲の塊として葬られたのだった…。
~願う邂逅に染む白~
白銀の世界で秋桜は揺れている。淡く滲んで美しい憧憬を臨んで、私達は便りもない人生の終着を歩いてた。震える虹彩に色彩を数滴落として、身体を包み込んだ優しい手が、愛を伝えて。指先に触れ馴染む、枯れ葉と香水のオイルで貴方を知るから。
「涙は透明だから何色にも染まるよ。」
硝子ペンで綴られた小説や、刷毛で塗った青空が、極限まで拡がる映画のワンシーンが。全てが私の胸の内に収まって、鈍色に輝く。
「だけどやっぱり…。」
開かれた窓から見える飛行機雲と、一面の青空が大好きで。真っ白なキャンバスに、描かれた光景が何より綺麗だから。昼下がりに眠る、ベッドの中みたいな優しさに包まれてるから。
「だから大丈夫…。寂しくないよ。」
ぎゅっと抱きしめた、筆の先は少しぼやけていた。まるでここから何か、始まってしまうみたいに…。互いの境界が揺らぐような、未来が淡い白銀に色付いていた。




