初、給料!
すっくねええええええ!!!
初給料の明細を見て心の中で思いっきり叫ぶ。
世界の中心で初給料の少なさを叫ぶ。
知らなかった。
見習いって、お給料、少ないんだ。
恨みがましくジルさんを見つめる。
「…。いくら貰えると思ってたんだ、お前。」
「…。」
ドレス、はいかないまでも、手袋。とかは買えるかと。
「…お前なぁ、魔道士見習いの授業料やら光熱費やら食費やら住居費用が引かれるんだから、むしろ給料あるだけでも有難いと思えよ。」
「!」
そうでした。
忘れてた。
そうかぁ。授業料に食費に光熱費ねー。
やっぱり、ひかれるんだー。
「まぁ、週一の給料だからな。年4回の特別手当はそれなりらしいぞ。」
「おお!?」
そうか、週一だし。
生活費って感じなんだろうな。給料というよりは生活費支給程度なのか。
でも、そしたらどうしよう。
「…どうした。生活費を家に収めなきゃならんとかなのか?」
「それもあるんですけど。」
「?」
「妹が二人いまして。舞踏会に綺麗なドレスや靴やその他諸々を用意してあげたいと思っていたので。」
魔道士見習いになれば、お給料が出ると。
出ると聞いたので。
そうかー。見習いだもんな。学生、だもんなー。
「なるほどなー。…でも、毎年の事だからなぁ。適齢期の男女は自分で用意してあるんじゃないのか?それに、ドレスじゃなくても参加は認められているしなぁ。」
「そうですかね。」
「…お前の家の事情は知らないが…。そんなに心配なら、見習いでも出来る小遣い稼ぎに参加すればいいんじゃないか?」
「?」
「そうだよ、お前、金剛だもんな。お前なら多少稼げるかもしれないぞ。」
「本当ですか!!」
「ああ。」
「じゃぁ、その小遣い稼ぎ参加してそのお金を家に送れば多少は足しになりますかね。」
「そうだな、ドレスは用意してあるかもしれないし。ドレスやらを送るよりは金を家に入れた方がいろんな使い道があって喜ぶんじゃないか?」
ふむふむ。
そうしよう。
選んだドレスが気に入らない可能性だってあるんだしね!
プレゼントよりは現金よね!
よし!
「ジルさん!じゃぁ、早速ですがその小遣い稼ぎとやらの方法を教えてください!」
拳に力を込めてジルさんを見つめたのだった。