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あとがき
この物語では、「権力を持つ人間は、何も命じなくても周囲が勝手に動く」ということを一つの主題として考えました。
アルフォンスは、セシリアとユリウスを社会から排除するよう命じてはいません。それでも商人や雇用主たちは、公爵家との関係を損ねたくない、自分たちまで不利益を受けたくないと考え、先回りして二人を遠ざけていきます。公爵家と深い付き合いが無くても、公爵家ににらまれたくなければ二人を遠ざけます。
そこには忠誠心だけでなく、保身や打算、そして二人自身が失った信用もあります。
権力とは、命令を下した時だけ働くものではなく、周囲がその人の意向を想像した瞬間にも働き始めるものなのかもしれません。
本人は「何もしていない」。けれど、その何もしないことさえ一つの意思として受け取られてしまう。そんな権力と忖度の怖さを、よくある婚約破棄という題材の中で書いてみました。




