困惑は衝動を、無知は功罪を得られる。
土埃の中に見える、透明な人影の輪郭へ手を伸ばす。
「っ! ――なっ」
輪郭に触れたと思った瞬間、その人影をすり抜けた。
ノタの顔が仰々しく歪む。
姿形が透明になるだけではなかったのか! まさかここまで――。
ノタはそのまま腹に一発蹴りを入れられ、力が抜けたところをその者に抱えられた。
透明な者が、ぐったりとしたノタを荷台へ積み込もうとする。
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「やぁ、ルーズ。あっしはノタの兄さんを殺せとは言ってないよ」
土埃を少し被り、うっすらと輪郭の見える透明な者に対して、ゾイマーは口を尖らせた。
「気絶させただけだ。死んではいないよ」
ルーズと呼ばれた者は、淡々と姿を消したまま報告をする。
「しかし、ルーズちゃん。あっしは遺跡でやれって文書を送ったよね?」
ゾイマーがルーズへ、周囲が揺れんばかりの威圧的な視線を送る。
「ゾイマーさんがグダグダ旅をするからでしょ。うちらのこともバラして……」
ルーズはいつの間にか透明化を解き、大きなため息をついた。
「あっしらの組織は有名だし、問題ないっしょ」
飄々と、何事もなかったかのようにゾイマーは言葉を転がす。
「それ、処刑人が来たらおっしゃってくださいね。うちは知らないんで」
ルーズは運転席から手綱を奪い取り、馬車を走らせ始めた。
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「ごめんな、ノタの兄さん。あっしらの予定に少々お付き合いしてもらいますんで」
ゾイマーは頬を赤らめて、ノタの髪をそっと撫でた。
「ゾイマーさん、例の件は何か進展があったんですか」
ルーズは縋るように声を少し震わせ、ゾイマーに問う。
「あったよ。これは大きいぞ。なんせ、あっしらの予測は正しかった」
ゾイマーの声が低くなり、少し早口で答える。
「……居るんですね、忘れられた神が」
ルーズの頬を一筋のひんやりとした涙が流れる。
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「ルーズちゃん、ここで止めて」
ルーズが手綱を引き、馬車が止まる。
「ここらでショートカット、しようか」
ゾイマーは、ノタと彼のバッグを抱え、荷台から降りた。
ルーズも運転席から降り、ゾイマーと対面する。
「ノタの兄さん、次は遺跡で目覚めようね」
ゾイマーたちは、その場でかき消えるように姿を消した。
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~童話に隠された“世界の滅び”の真実とは?少年が辿り着く先に待つものとは何か。誰もが知る物語の、誰も知らない謎を追うファンタジー譚、開幕!~




