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悪役令嬢は全能ですっ! ~前世は女傭兵!? 四季咲きのミア・ローズ、最強の領地を目指して~   作者: 葉月双
ExtraStory

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EX15 食の大国を目指そうと思う


「ふむ。神殿勢力か」アスラが言う。「少し厄介な連中だね」


「創世の世界樹ユグドラシルを祀っている神殿ですわね」ティナが言う。「世界最大の宗教で、正式名称は『ユグドラシル神殿』。ユグドラシル聖教の総本山ですわ。最大の聖地として大神殿があり、世界各国に神殿を作っていますわね。当然、うちにも神殿を建てろと言ってきましたわ」


「ローズ公国にも神殿を建てろってうるさくて」私が言う。「だから言ってやったんだよ。君たちの金で、君たちが人員を送ってくるなら、土地ぐらいは融通してもいい、って」


 ぶっちゃけ、ローズ公国に国教とかいらない。

 でもまぁ、ユグドラシルは創造主だし、信奉している国民もいる。


「へぇ」ラウノが面白そうに言う。「それで連中はなんて?」


「うん。ユグドラシル様を冒涜するのかっ! ってなんか怒って帰っちゃって」私は肩を竦める。「後日、手紙で最後通牒が届いたよ」


「内容はこうだろう?」アスラがニヤッと笑う。「聖戦も辞さず」


「そう! いきなり聖戦とか言ってきた!」私は興奮気味に言った。「その時は国がまだ安定してなかったし、仕方なく『予算の問題もあるし、考える猶予が欲しい』って宰相が返事をしたよ。その猶予期限が5月末なんだよね」


 まったくイカレた連中だよ。

 思い出すと腹が立ってくる。

 私はカレーをモグモグと食べて怒りを静めた。


「正直、戦力としての神殿はかなり強いですわよ」ティナが言う。「連中は神殿を建てた国に神聖連邦への加入許可を出しますの」


「ふふっ、現時点で世界最強にして最大の連邦だね」


 アスラはとっても楽しそうに言った。

 神聖連邦。

 加盟国と非加盟国の間で戦争が勃発した場合、加盟国は何かしら支援する義務がある。

 反面、自分たちが侵略された時も支援を受けられる。

 そして、一度聖戦が始まると、強制的に全加盟国が聖戦に参加する。

 あとメリットしては、神殿の最大権力者である教皇が、王様の正当性を保証してくれるってことかな。

 ぶっちゃけ、もしも教皇が私でなく宰相のスヴェンを正当な大公だと言ったら、世界的にはスヴェンが国主と認識される。

 そのぐらいの権威があるのだ。


「神聖連邦ってやっぱり」私が言う。「神の名を借りた拡張主義だよね?」


「その通り」アスラが頷く。「連中は世界中を手中に収めたいのさ」


 ユグドラシル聖教による世界征服、って感じか。

 そういえば、ハウザクト王国は神聖連邦には加盟していないが、神殿は建てている。

 そういう国も割と多いんだよね。


「それで結局、アスラたちはどうしたの?」


 私が言うと、アスラ、ティナ、ラウノが笑った。

 なんで笑うの!?


「いやー、君と私は少し似ている部分があるよね」アスラは上機嫌で言った。「こう言ってやったんだよ。君らの金で、君らが人員を送って、更に毎年土地の使用料を払うなら考えてやろう、ってね」


 わぁお!

 私とほぼ同じ!

 でも土地の使用料を取ろうとするあたり、私より上だね!

 何がどう上なのかは、よく分からないけども!


「そのあとがアレですわ……」ティナが溜息混じりに言う。「うちに来たのは大司祭でしたけれど、そいつが怒ってしまって、色々と暴言を吐きましたの。それで今度はうちのアスラが怒ってしまって……」


「ん? 別に怒ってないよ?」アスラがヘラヘラと言う。「ちょっと分からせてやっただけ」


「どう分からせたの?」

「半殺しにして全裸に剥いてゴジラッシュの足にロープで吊って大神殿まで飛んで、そこに捨ててきた」

「酷いっ!」


 さすがに大司祭が可哀想!

 分からせすぎ!


「まぁ、当時の連中は今ほど大きくなかったからねぇ」アスラが言う。「今、同じことをしたらきっと聖戦が始まるね」


「あれ? 割と昔の話?」と私。


「そうだね。15年ぐらい前かな。神殿が勢力を伸ばし始めた頃だよ。私らを味方にできたらラッキーぐらいの気持ちだったんだろうね。それ以来、音沙汰ないけど、そろそろまた何か言ってくるかもね」


 アスラはとっても楽しそうに言った。

 いや、もう言ってこないんじゃない?

 神聖連邦が大きくなったように、《月花》も強くなったのだから。

 衝突したら被害甚大だよきっと。


「そういえばさ」私はふと思ったことを言う。「ユグドラシルって実在してるんだよね?」


「そうですわね」とティナが頷いた。


 どうでもいいけど、ティナのカレーはあまり減っていない。

 食べないのなら私が……。


「おかわりなら執事を」察したティナが言う。「ゆっくり食べているだけで、残しませんわ」


「いや、さすがにもういいかな。明日の朝食と昼食もあるし」


 何が出るかな!

 何が食べられるのかな!


「君が聞きたいのはこうかい?」アスラが言う。「なぜユグドラシルは神殿の暴挙を許しているのか」


 私はコクコクと頷いた。


「単純な話だよ。あいつは人類の自由を侵害しない。人類には……あいつ風に言うと知的生命体には、滅びる自由さえもある。この宇宙の創造主たちは、唯一のルールとして自由な進化を邪魔しないってのがあるんだってさ」


 へぇ。

 創造主っていっぱい存在してるんだね。

 まぁ、そりゃそうか。

 惑星の数だけ、世界の数だけいるかもだし。


「そんなユグドラシルだけど、異世界からの侵略や異世界の知識による急激な変化は許可していない」

「ああ、だから私に現代兵器は個人利用にしろって言ったんだね?」

「そう。まぁよっぽどのことをしない限り、前世の記憶がある程度の特異性はスルーされる。個性の1つぐらいの認識だったよ」

「よっぽどって、どれぐらい?」


 無意識にやっちゃいそうで怖い!

 さすがの全能でも創造主様には通じないかもだし。


「現代地球の空母打撃群を並べて世界征服とかだね」アスラが肩を竦める。「今の君や私みたいに、現地の人間たちに少しずつ知識や技術を渡す分には問題ない。今のこの世界で製作可能なら、それは私らが干渉しなくても、この世界で数年以内に作られる物だから」


「時計の針を5年進めるのはいいけど、100年進めるのはダメってことだね」


 我ながら素晴らしい例が出せた。


「そう。君、前世より頭いいよね?」


 アスラが笑顔で言った。

 あれこれ、前世の私がディスられた!?

 まぁ前世の私は割とアレだったからいいけど!


「てゆーかアスラ、創造主様と面識あるの?」

「あるよ」


 やっぱりか!

 直接会って話したみたいな言い方だったもんね!


「君もいつか会えるかもね。それより、神殿と聖戦するなら呼んでおくれ」

「分かったけど、聖戦になるかどうかは分からないよ?」


 ローレッタやスヴェンが神殿を建てる方に傾くかもしれないし。

 私としても、圧倒的に強い相手と戦争して国民に被害出るのも嫌だしね。

 個人的になら全然、いつでも戦ってあげるんだけどなぁ。

 ああ、そっか!

 大神殿に殴り込んでしまえばいいんだ!

 それで教皇を人質にして終戦させる。

 あれ?

 だったらローズ公国軍の練度を上げるために、一ヶ月ぐらい普通に戦争してもいいかも。

 こっちでコントロール可能なら、実戦に臨んだ方がいい。

 何がいいって、うちの軍を強くするためにいい。


「やる気になったみたいだね」アスラが笑う。「君はそっちの方がいいよ。とっても楽しそうな顔してる」


「アスラたちの出る幕はないかも」私が言う。「まぁよっぽど不利なら呼ぶかもだけど」


 そもそも、まだ聖戦が始まるかどうかも不明なわけだしね。

 ちなみに、翌朝の食事は焼き魚に玉子焼き、大根おろしにお味噌汁、そして白米だった!

 最高すぎるっ!

 ローズ公国を食の国にするぞぉ!

 正確には、軍と食が強い国!


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