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悪役令嬢は全能ですっ! ~前世は女傭兵!? 四季咲きのミア・ローズ、最強の領地を目指して~   作者: 葉月双
四章

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1話 現代兵器はやっぱり強い


「目標を目視で確認!! 対空戦闘用意!!」


 号令台の上で、ローレッタが叫んだ。

 同時に、ローレッタの前に整列している弓隊100人が上空に向けて弓を構えた。

 槍隊20人は上空を見ているだけで、今はまだ動かない。


 ローレッタは桜色のふわふわした可愛い髪の毛を、ポニーテイルに結んでいる。

 うん、とっても似合ってるよ!

 どんな髪型でも、ローレッタは可愛い!

 さて、ローレッタの服装は暗い赤色と黒を基調とした軍服ワンピース。

 それを着こなしたローレッタがカッコよすぎて、私は失神するかと思ったね!

 まぁ私も同じの着てるんだけどさ。


 前世じゃ軍服ワンピースなんて着たことなかったけど、憧れはあった。

 だから正式に私たちの制服として作ってもらったんだよね。

 ちなみに現在は10月初旬で、まだ割と暑さが残っている。

 だから今着ているのは夏用の涼しい生地で制作したやつ。

 冬になるともっと分厚い生地のやつに衣替えする。

 ちなみにどちらもデザインは同じである。


 ローレッタが腰のレイピアを抜いて、切っ先を空中目標の方に向ける。

 ちなみに目標はワイバーンだ。

 ここはローズ領、東の平原。

 隣の領地を荒らし回った2匹のワイバーンが、ローズ領へと侵入。

 私らは迎え撃つためにここで待っていた。

 ワイバーンの見た目は、緑色の小型ドラゴンって感じ。

 ゴジラッシュを見たあとだと、酷く弱そうに見える。

 まぁ、実際の戦闘能力もゴジラッシュに比べるとカスみたいなもん。


「対空戦闘!! 弓隊、攻撃始め!!」


 ローレッタの号令で、弓隊が一斉に矢を放つ。

 ワイバーンは回避せず、即座にクルッと回転して地面に背中を向けた。

 そう、ワイバーンの背中の鱗は硬い。

 この距離で矢が通るのは腹部と顔だけである。

 ワイバーンの背中に当たった矢が弾かれる。

 ふむ。


 ローレッタが焦ったわけじゃない。

 基本的な対ワイバーン攻撃だった。

 弓で攻撃し、弱らせて、落ちてきたら槍で突く。

 それが一般的な戦闘方法だ。

 このワイバーンが、弓に対する防御方法を学習済みなのだ。

 なるほど、隣の領地で仕留められなかったはずだ。


「第二射、よ……」

「そこまで!!」


 私が叫ぶと、ローレッタがビックリした風に私を見た。

 私は号令台からちょっと離れた地面に立っている。


「あとは私がやろう!」

「了解しました! 部隊はおね……ミア・ローズ領主代行の攻撃に注目!!」


 矢がもう飛んでこないと分かったワイバーンが、クルッと回転してこちらを向く。

 私と目が合った、ような気がするけどたぶん気のせい。

 さて、私の隣には『ファランクスCIWS』が設置されている。


 ファランクスというのは、『20mm多銃身機銃』とレーダーを1つの砲台にまとめたシステムである。

 そして『CIWS』は近接防御火器システムと訳されるのだけど、難しいことは抜きにしよう。

 読み方は『しうす』か『しーうす』。

 アメリカでは『しー・あい・だぶりゅー・えす』。

 艦載用のバルカン砲と思ってくれていい。


 海上自衛隊では『高性能20mm機関砲』と呼ばれている。

 要するに、私の隣には現代地球の護衛艦が装備しているバルカン砲が置いてあるのだ。

 ファランクスの背の高さは5メートル弱なので、すごく大きい。

 もちろん私の仮創造。

 ワイバーンたちが一度大きく吠えて、すごい速度で降下。

 うちの兵たちを殺そうとしているのだ。

 まぁ関係ない。


「迎撃開始」


 すでに目標はセットしているので、私の言葉に反応してファランクスが自動でワイバーン迎撃を開始。

 もちろん魔力での操作。

 1秒間に75発の弾丸を発射し、二匹のワイバーンを順番に蜂の巣にした。


「はっはー!! 対艦ミサイル防衛が可能なんだから、君らなんか的だよ的!!」


 対艦ミサイルの速度に比べたら、ワイバーンの飛行速度なんて止まっているのと同じ。

 穴だらけになったワイバーンが地面に落ちて、砂埃が舞う。


「わぁ! さすがお姉様!!」


 ローレッタが号令台の上でぴょんぴょん飛び跳ねた。

 可愛い!

 はい可愛い!

 領兵たちはファランクスの音に少しだけビックリしていたけど、取り乱すような軟弱者はいなかった。

 中にはローレッタを見て表情を緩める強者も。


「ローレッタ! 君は今、司令官だよ!?」


 私が言うと、ローレッタはキリッと表情を改める。


「みなさん、素材回収をお願いします! 壊れていなければ、牙も骨もいい値で売れます! 兵団の強化に使いましょう!」


 ローレッタはワイバーンの死骸をレイピアで指した。

 鱗や肉も売れる。

 ワイバーンの肉は食べられることで有名。

 ……素材回収のことを忘れていたよ。

 ふふっ、ちょっと撃ちすぎたかも……。



 やったぜワイバーン鍋だ!

 私たちはその場で巨大な鍋の準備をした。

 主に領兵たちが。

 領兵の一人が大きな深皿に中身をよそって渡してくれた。

 実に美味しそうだね!

 私はローレッタと並んで地面に座った。


「今更だけど、姫様たちは地面に座ることをなんとも思わないんだな」


 近くに座っていた領兵が言った。

 彼は槍隊の所属だ。

 どうやら令嬢というのは地面に座ったりしないみたい。

 知識としては知っていたけど、あまり実感はない。

 私の知っている姫様は山で大蛇を食べていたし。


「なんなら寝れるよ、私は」

「あたしも寝れます」


 私とローレッタが応えると、誰かが口笛を吹いた。

 それから、雑談をしながらワイバーン鍋を食す。

 脂身が少なくサッパリしたお肉なので、いくらでも食べられるね!

 おかわり!

 私はすでに3杯目で、ローレッタは2杯目。

 セシリアがいたら「ミア様、そのぐらいで」と止められそうだ。


 今日は領兵たちと一緒なので、側仕えも護衛騎士も連れていない。

 本来なら、領兵の部隊を率いるのは騎士の役目だ。

 公爵令嬢の役目ではない。

 けれども。

 領兵の指揮系統から騎士を外す提案をしたのだ、私は。

 最初は、騎士と兵を一緒にしようと思っていたけれど、完全に分けることにした。

 領兵団は海軍の設立が決まったらローズ陸軍として再編する。

 騎士団はもうSPとかシークレットサービスみたいな、要人警護方向に特化してもらう。

 時代の流れとともに、騎士の所属を警察に移す可能性もある。


「そういや姫様たち、もうすぐ王家とのお茶会でしょう?」


 女性兵士が言った。

 私とローレッタが頷く。


「いいなぁ。王子様。いいなぁ」と女性兵士。

「王子と言ってもジェイドですよ?」とローレッタ。


「ジェイド王子殿下も、顔はいい方でしょう?」女性兵士が言う。「アラン王子殿下が天使と見間違うほど可愛いというだけで、ジェイド殿下もそこそこ人気ですよ?」


「そうなんですか?」ローレッタがビックリした風に言う。「というか、年齢差がすごいですけど……」


 女性兵士はどう見ても30代である。


「ははは、ローレッタ様、別にわたしが王子様とどうこうなるとは思ってないですよ。可愛い王子様たちを愛でたいってだけで」

「その気持ち、なんとなく分かるよ」


 私は強く頷いた。

 ショタコンというわけじゃなくて、可愛い男の子を愛でたいってことだよね。

 分かる分かる。

 私は可愛い女の子も愛でたいけども。


「あたしはよく分からないですけど、王家とのお茶会は気が滅入りますね」

「あら? どうしてです?」と女性兵士。

「天使と名高いアラン王子も参加するので」

「そうそう、お茶会はアランも参加するんだよね! すっごい楽しみ!!」


 私は太陽のようにキラキラと笑った。


「……はぁ……」


 ローレッタがなぜか溜息を吐いた。

 ははぁん?

 さてはローレッタ、私がやらかすと思ってるね?


「大丈夫だよローレッタ。私もいい加減、学習したからね。完璧な公爵令嬢を演じようじゃないか!!」



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