Title:1 √y 〖目覚めれば……〗
気が付くと、僕は森の中にいた。
「………ここは……?」
僕は木に背中を預け、座って眠っていたようだ。
起き上がり、周囲を見回す。全く見覚えのない森だ。
「………なんでこんな森に………?」
ここに来るまでの記憶がない。そもそも僕はトラックに轢かれたはず。
「……うーん…………とりあえず人を探そう……。」
立って服から木の葉を払う。………そして。
「………ん?……なんか視界がいつもより低いような……。」
そして何より、なんか声が高いような………。
「……服も着てたのと違うし………。」
今、僕が着てるのは和服っぽい………てか、よく見ると女の子用の服だ。
「な、何か外見を確認できるものは…………!?」
しばらく適当に歩いてみると、平原が見えてきた。
「…………………いや………まさか…ね………?」
そこからは見渡せる限り平原だ。遠くに街のようなものが見える。
「……………異世界転生とか言わないでよ……?」
ラノベじゃあるまいし………。
「……………あ、水場発見。」
別に喉は渇いてないが、近づく。外見を確認する為だ。
「……………嘘だよね………?」
水面に映ったのは見慣れぬ少女だった。
美しく輝く金の髪。マリンブルーのような透き通った深い蒼の瞳。
雪のように白い肌。身長はかなり小柄だ。
「こ…………これが……僕………?」
とりあえず、現実を直視できないことはよく分かってしまった。
「………はぁ………あの街を目指すか………。」
多分もう前の世界に帰るのは無理だろう。なんせ死んだし。
せめて、この世界では普通に生きたいものだ……。
街を目指し、歩き出した………。
30分程歩いた辺りで違和感を覚える。
(………誰かが近くにいる……?)
気配のようなものをずっと感じる。
「………誰かいるんですか?」
声をだし、確認する。
「…………おっと、気づいてたのか……?」
「……………っ!?」
突如、何もなかったところから化け物が現れる。
外見的には………ゴブリン?
「ケッケッケッ………大人しくしろよ?……痛い目に遭いたくなけりゃな。」
「……僕に何をする気だ………?」
ゴブリンを睨む。
「俺たちは『魔王軍』の魔物だ。源界の生き物を襲うのは当然だ。」
「…………。」
………逃げ切れるか…………?
そもそも、この世界の強い生物がどれほどかも知らない。
ゴブリンがどれほどかも分からない。
「さて、大人しく捕まるか、痛い目に遭って徹底的な辱めを受けるか?」
「……………どっちも嫌だ!!」
「んじゃ、死ね。」
ゴブリンがナイフで斬り掛かってくる。
(……以外と遅く感じる。この身体は強いのか……?)
ゴブリンのナイフを避け、背後から後頭部を殴る。
「ゴパッ!?!?」
嫌な感触と共にゴブリンの頭が砕け、脳漿を撒き散らした。
「うひゃっ………!!」
かなり気持ち悪いモザイクシーンだったので、か弱い悲鳴を上げてしまった。
「うぅ…………一応、僕は強いのかな………?」
イマイチ分からないが、とりあえず街に入ろう………。
早足で街に向かった。